メイド、キティー
「さて、ドレスも選んだことだし、お茶にしましょー。エドモンドにタルトも持ってこさせるわー」
二人が出て行くと、静まった部屋の中は永遠とキティーだけになった。
永遠はもう一度じっくりとドレスを値踏みした。きっとこのドレスにも一つぐらい、いいところはあるわ。
結局諦めてドレスを床に落とした。ドレスを選ぶなんてよく言うわ。もう決めてあったじゃない、ステキなドレスに。
「お嬢様にはお似合いになりませんね。お顔の色が悪く見えます」
キティーは永遠の落としたドレスを摘み上げた。
「それに、これは侍女のものです」
この娘はいい人そうだわ。
「あなたはキティーというのよね?私は永遠というの。あなたは、メイドさん?」
ペコリと頭を下げられドギマギした。
「はい、なんでもお言い付け下さい。ぼっ、私、お嬢様のことは存じ上げております。皆、噂してましたから」
「そうなの。私たちいいお友達になれそうじゃない?年も近そうだし、私のことは永遠って呼んで。それと敬語は止めてね、偉くもなんともないんだから」
キティーの目がさらに大きくなる。
「そんな!滅相もありません。お嬢様のような身分の方がメイドなどと友人になるなんて、叱られてしまいます」
困らせてしまったようだ。どうしたものかと思っているうちにドアが開いた。
「永遠、ババアに苛められなかったか?」
「ブリス!その呼び方は止めなさいって言ってるでしょ」
ブリスの視線がキティーの手に握られた灰色の物体に落ちた。
「もしかして、これ…あのババアが?」
「ブリスったら!」
ブリスが永遠の手を引っ張り歩き出した。
「行こうぜ。そんなの着る必要ねーよ」
ババアが自分で着りゃーいいんだなどと言いながらずんずん進むブリスに引っ張られて、転ぶまいと小走りになりながら永遠は振り向いた。
「あっ、じゃあキティー、またね」
だがキティーにその言葉が聞こえたかは定かでない。キティーはボーっとブリスだけを見つめていたのだから。




