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ラストメモリー  作者: 黄昏アオ
病は気から?
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割れ物注意

 これまた大きなお屋敷だった。クリスチャンの館を初めて見たときもその大きさに圧倒されたが、これはそれ以上の大きさだった。そしてやはり外観は、黒い。

 気後れしてノッカーに手をかけたクリスチャンを引き止めた。

「ねえクリスチャン、やっぱりこの格好はふさわしくないんじゃないかしら」

自分の淡いクリーム色のワンピースを皺もないのに撫で付けた。

 「大丈夫だ、君に良く似合っている。それに、もう見られている」

 気付けば扉が開いていて、金髪をきれいに後ろに撫でつけ、銀縁メガネをかけた男性がこちらを見ていた。

 「まぁ!」

 「坊ちゃま、お待ちしておりました。お連れの方々もさぞお疲れでしょう。お部屋にご案内いたします」

 「永遠、執事のエドモンドだ。エドモンド、先に両親に会いたいのだが」

 「はい、愛の間でお待ちです」

 エドモンドの後ろをクリスチャンと並んで歩きながら、美しい装飾品も目に入らず、これから起こることを思って硬くなっていた。

 「永遠、心配しなくていい。わたしがついている。それに両親は君を獲って食ったりしないから」

 そうは言われても、生きているうちに「婚約者」の両親と会うなんてことが起こるとは思っていなかったのだから、やはり不安にならないわけがない。

 ガシャン!

 大きな音に驚いて振り返ると、ブリスの前に高価そうな、だがすでに原形を留めていない花瓶が散らばっていた。

 「どうしましょう!」

永遠はブリスの手を掴み、怪我はないか確かめた。血が出ていないことを確認した後、エドモンドとクリスチャンに顔を向けた。

「ごめんなさい。わたしが弁償しますから…」

 「気にしなくていい。ずっと使っていなかったのだから」

クリスチャンは口にはしなかったが、それは高価なもので永遠に弁償しきれるはずはなかった。

 エドモンドは家政婦を呼び片付けるように言いつけた。

 永遠はもうブリスが何も触らないよう見張るため自分の横を歩かせた。

 やっとエドモンドが足を止めた。

 永遠はそっと安堵の息を漏らした。

 「旦那様、奥様、坊ちゃま方をお連れしました」

 扉の先には仲良くソファに腰掛け、見つめ合う男女がいた。

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