儚い贈り物
永遠は眠っていた。
シーツをかぶり丸くなっている。見えるのは乱れた黒い髪が少しだけ。
ベッドの横にイスを運ぶ。腰を下ろしベッドの塊を見た。
そっとシーツをはがし、彼女の美しい顔をあらわにすると手の中の箱を弄びながら彼女の顔を見つめた。
この目に彼女をやきつけたかった。
彼女がいなくなった後もその姿を眺められるように。
視線が強すぎたのだろう。彼女の瞳が開いた。
「クリスチャン」
先ほどまでは永遠から視線をはずすことなど考えられなかった。
だが今は気後れして手の中の箱に視線を落とした。
「ああ…」
「君にその、あげたいものが」
彼女がベッドに起き上がった。彼女のために用意した白いナイトガウンが良く似合っている。
「ああ、だが、その…」
彼女が手を差し出す。
観念して箱を差し出した。
「砂時計ね」
それは精巧な細工の施された土台に、白い細かな砂の入ったガラスがはまっていた。
「きれいだわ」
彼女の手の中で砂がさらさらと滑り落ちていく。
その様子は美しくも儚い。
彼女の残り少ない時が無常に失われていくことを暗示しているようだ。
「すまない。いらなければ捨ててくれてかまわない。ただ店先で見つけたとき、それは君のものだと思ったのだ。それで…」
「いいえ、とても嬉しいわ。ありがとう」
そう言う永遠はとても美しかった。美しすぎた。




