不満のただなか
クリスチャンは自分の皿をブリスの前に置いた。
ブリスは不満そうにクリスチャンを睨んでいたが、クリスチャンが背を向けるとパンケーキを食べ始めた。
永遠は自分の皿に載っているパンケーキをつつきまわしている。
クリスチャンがそれをじっと見ているのを視界におさめた彼女は観念してパンケーキを口に運んだ。
ゆっくりと噛み、咀嚼する。
「それで、エリカが幼馴染で自分のことを理解しているから婚約者にしたというの?」
彼女が自分からクリスチャンの意識を逸らそうとしてそう言ったのがわかった。
クリスチャンは彼女をじっと見つめたまま言った。
「ほかの女とは違ってわたしが半狂乱にならなかったからだ。それで母が勝手に婚約者にした」
テーブルに肘をつき、右手の指に頬を乗せる。
「わたしは次から次へと女を送り込まれるのにうんざりしていたから、婚約者が出来れば煩わされずにすむと思ったのだ」
話している間に、永遠がこっそりとブリスに自分のパンケーキを食べさせていたが、半分ほどは平らげていたため気づかないふりをすることにした。
「そう」
会話が途切れた。
気まずい沈黙が広がり、ブリスがムシャムシャとパンケーキを咀嚼する音だけが大きく響いた。
昨夜ベッドを共にしたのが嘘のようだ。
…眠っただけだが。
クリスチャンは自嘲的な笑みを浮かべた。




