苦しみのさなかで
彷徨っていた思考が途切れると、あたりは薄暗く今が朝なのか夜なのかさえわからなかった。彼好みの日の光を遮るカーテンが今は不愉快だった。思考を妨げた原因に目を向けると永遠が目を開き、手を取り続けていたクリスチャンの手を弱々しく握り返していた。
「すまなかった。気づいてやれなくて」
永遠は弱々しい笑みを浮かべた。
「いいえ、あなたのせいじゃないわ。私、あなたと出会ってから、薬を飲むのを忘れていたの」
クリスチャンが出せる最速のスピードで飛び、永遠の家から取ってきた薬の入ったかばんを彼女はチラッと見た。
彼の部屋の彼のベットに横たわった永遠はとても小さく、少しでも目を離せば消えてしまいそうなほど頼りない。
クリスチャンは永遠の手をさすりながら互いの視線を絡ませた。
「君は自分をないがしろにしすぎだ。あいつには焼きすぎなほど世話を焼いて、わたしにも毎日三食飯を作ってくれている。君は自分に何をしてやっている?」
クリスチャンは首を振った。
「痛めつけているだけだ」
永遠は口元だけに笑みを貼り付けている。
「ごめんなさい。だけど傷つけているのは自分だけだわ。ほかの人を傷つけることはない」
彼女が感傷的な気分になっているのがわかった。
「何が言いたいのだ?」
永遠はクリスチャンの目をかすめると、視線を避けた。
「私の両親は私が小さいときに死んだの。私には痛みや孤独だけを残して。その後、私は親戚に引き取られたわ。叔父叔母は自分の子のようにかわいがってくれたけれど、それは私が親を亡くしたかわいそうな子だから。私がそう思われないようにいつも笑っていても、周囲は私のことを傷を負った壊れ物のように扱うのよ!私は望んでなどいないのに!私はただ普通に生きたかっただけなのに!」
最後のほうは心が叫びを上げ、今まで表せなかった苦しみが怒りとなって噴き出した。
永遠は言い終わると、力を使い果たしたようにぐったりとベッドに沈み込み瞳を閉じた。




