表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラストメモリー  作者: 黄昏アオ
残り3ヶ月
11/137

生け捕り

 『お願い、クリスチャン』

 彼女が初めて自分の名を呼んだ。彼女は気づいていないのだろうが。

 クリスチャンは狼を肩に担ぎ、館に向かって森の中を歩いていた。

 彼女はずっと狼に目を向けており、どこそこの傷がああだのこうだのと騒いでいる。

 クリスチャンは全く気に食わなかった。スコットランドに着てからはずっとそうだ。以前は安息の地だったのに、今では呪われた地のように感じる。次から次へと厄介ごとが舞いこんでくる。最初はエリカで次は狼だ。今度は何だ? 何が起きても驚くまい。

 クリスチャンはため息をつくと永遠を見やった。


 「ねえ、あなただけでも飛んで行ったほうがいいんじゃない? この子ぐったりしているわ。さっきまではあなたがわざとこの子を揺らして歩くたびに唸っていたのに」

永遠は、足音も立てないでそっと歩けるくせにとつぶやき、横目でクリスチャンを見やった。

 クリスチャンはにやりとした。

永遠がシチューを作った夜、クリスチャンは彼女を死ぬほど、いや、笑い転げるほど驚かせた。

「いや、こいつと君を抱えて飛ぶことくらいわけはない。だが、こいつは大丈夫だ。こいつはただの狼ではない」

クリスチャンは隣を歩く永遠を見た。

 「そんなこと見ればわかるわ、私にだって目はついているんだから」

 なんと、彼女は気づいていたのか。

 「きれいな目よね、グリーンとゴールド」

 クリスチャンは彼女から一瞬目を逸らし言った。

「ああ、そうだな。左右で色が違う目を何と言うか知っているか?」

 彼女が首を横に振る。

「オッドアイというのだ。オッドとは奇妙な、不揃いのという意味だ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ