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誤魔化し
永遠はドアが開く音で目を覚ました。幸いなことに眠ったおかげで少し気分が良くなった。
「永遠も腹減ったのか?」
ブリスが足で扉を閉めた。
「そうなの。チョコレートを食べたまま寝ちゃってた」
ブリスがカップと皿をサイドテーブルに置いて、ティッシュペーパーを手に取った。
「チョコ、ついてる」
ブリスが手を掴むと、永遠はさっと手を引いた。
「永遠?」
「いいの。自分で拭くから」
ブリスは眉間に皺を寄せたが、一時ためらってからティッシュを手渡した。
「キッチンに行ったらさ、キティーが菓子作ってたんだ。今日はハロウィンなんだって」
ブリスがベッドに腰を下ろすと、その重みで永遠の体がブリスの方に傾いた。
気付かれないようにそっとブリスから離れる。
手を拭いながら、チョコレートが望みどおりの役割を果たしてくれたかブリスを横目でうかがった。
彼は永遠の顔をじっと見ていた。
「…何?」
何気なさを装いながらも心臓は早鐘を打っていた。
「ついてる」
ブリスの親指が赤く腫れた唇に触れた。




