102/137
証拠隠滅
永遠は毒の恐怖も忘れて水差しに飛びついた。その水でハンカチを濡らすと、一心不乱に手についた血をこすり落とす。
乾いた唇を湿らせようとして舌をはしらせると鉄のような味がした。
今度は唇をこする。きつくこすりすぎてヒリヒリすることも気にしてはいられない。
赤くなったハンカチを握り締めて、必死に頭を働かせる。
どうすればいい?
二人は鼻が利く。私にはわからなくても、彼らは血の匂いを敏感に感じ取るだろう。
部屋を見回すと自分のトランクが目に入った。その中から小さなビニール袋とチョコレートを取り出す。
袋に血の付いたハンカチを入れてしっかりと端を縛り、ベッドに腰を下ろすとチョコレートの包みを開けて、ひとつを口に、ひとつを手に握り締めた。
これで誤魔化せればいいけれど…。
やることがなくなると気分の悪さが前面に出てきた。
ベッドを這うように進んでぐったりとヘッドボードにもたれかかった。
少しだけ。ただ目を閉じるだけ…。




