表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

初めてのプロポーズ(前編続き)

作者: ゆう

「はい、もしもし花形です。」

「花形さんのご主人ですか?やっと繋がったわ、こちら旭山病院の杉山と言います。奥さんが今日事故に遭われてこちらに入院する予定なのですが、今から来られますか?」

「は…?何かのイタズラですか?妻は寝室で寝てますが…。」

僕は受話器を持ちながら寝室のドアを開けた。そこに妻の姿はない。


まさか…本当に…。


「それで妻はどのような状態なのですか?」

僕は焦る気持ちを必死に抑えながら冷静に尋ねたつもりだったが、受話器を持つその手が微かに震えているのを感じた。


「幸い命に別状はありません…後は病院の方でお話致しますので…今から来られますか?」

命に別状はないと言う言葉を聞き、僕はほっと肩を撫で下ろした。

「分かりました、すぐに伺います。」

とだけ答えると受話器を置き、家を出た。


旭山病院はこの付近では数少ない救急指定総合病院の一つで、車で15分程行った先の丘の中腹にある。


最寄りの駅まで歩き、そこでタクシーに乗り変えた。

病院に着くと建物の端の方に救急入口と書かれた看板があり、そこを通り抜け病院の中へと入った。


中に入ると40代後半と思われる女性が立っていた。

その胸には杉山と書かれている。

「すいません、花形です。妻は?」と言うと、

「花形さんのご主人さんですね?その椅子で少しお待ちいただけますか?」

と言われ、僕は椅子に座った。

しばらくすると、医者が僕を診察室へと招きいれた。

「あの、妻はどこにいるんでしょうか?」

と僕が尋ると医者は、

「恵美子さんは今病室で休まれています。傷の方も軽傷ですので心配はいりません。ただ、事故に合った際に頭部を強く打ち付けたみたいなのです…。検査所見では問題は見当たりませんでしたが…。」

医者はそこで口を止めた。


「何か問題でもあるのですか…?」

僕は恐る恐る尋ねた。


医者は少し間を置いた後、こう答えた。




「記憶を失っているようなのです…。」





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 続きがますます気になります! また更新を楽しみに待ってます!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ