表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/5

第四話 「心まで支配されないようにね?」

昼休み。

教室の窓際、俺は購買のパンをかじりながら、ため息をついていた。


「意味わかんねぇよ。」


思わずつぶやくと、後ろの席から声が飛んできた。


「聞こえてるぞ、大地」


振り返ると、いおりが肘をついてこっちを見ていた。


頬杖ついて、不敵な笑み。


「朝のやつ、見たぜ。

あのAI女、あんたのとこ来てたな?

……ふーん、選ばれたんだ」


「……見てたのか」


「そりゃあな。あんな異物感、見逃す方が無理だろ」


庵は長い前髪をいじりながら、こっちに身を乗り出してきた。



「で、どうなの?“AI”ってやつは。

やっぱ、お前の指の動きとか脳波とか、ぜーんぶ読んでくる系?」


「そこまでは……わかんないけど、すげぇ頭は良さそうだな」


「ふーん。

俺、ああいうの無理なんだよね。

人間じゃないくせに、いちいちこっちを見透かすような目で喋ってさ」


「……」


庵の目がどこか鋭かったのは、気のせいだろうか。

まるで、何かを知っているような。


「ま、せいぜい頑張れよ、“ルナちゃん”とやらとさ。

あーいうのに心まで支配されないようにね?」


そう言って、庵は立ち上がると教室を出ていった。


……支配、か。


庵の言葉が、やけに胸に刺さった。


――――――――――――――――――


ルナは無表情のまま、淡々とモニターに表示されたグラフを見つめていた。


「なぁ……。AIって、心の中も読めんの?」


「私は、あなたの“心”を読むのではなく、行動から推測するだけです。

……安心してください、あなたの“秘密”には干渉しません」


「……別に、秘密なんかないけどな」


(いや、ある。……言えないだけで)


「次の課題に移りますか?」


「……ああ」


そう言った俺の心は、なんだかざわついていた。


もしかして――

このAIは、もう全部知ってるんじゃないか。



俺が“3位”を目指す、本当の理由さえも。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ