第四話 たかい
1
「うぅん…。」
今日は変な夢を見た。私は中学校の制服を来ていた。だけど私がいた場所は現在通っている小学校。そしてタタは夢の中で一日中寝ていた。様子は何も変わらない。しかし起こそうとしても返事はない。夢の中ではタタと話せなくて寂しかった。そのまま夜は普通に寝た。そこで夢から目が覚めた。私は次の日の朝が気になっていた。
私は初めてタタより先に起きていた。今日は月曜日だからね。
「タタ、昨日はごめんね。ゆっくり寝休んでね。」
私はタタを起こさないように静かに部屋を出た。
ーーー
私はいつも通り朝ごはんを食べた。
「はぁ…もう月曜日かぁ…。」
「始まりの日にそんなこと言ってたら最後の日までネガティブさげさげモードよ?」
「なに?ネガティブさげさげモードって?」
「その名の通りよ!」
私は口を隠してクスッと笑った。自分で言うのも変だが私は純粋だ。そんなちょこっとの言葉で少し元気になれた気がする。
私はご飯を終えて一言「ごちそうさま!」。
ーーー
部屋に戻るとタタがベッドに腰を掛けて水を飲んでいた。
「タタ、体調は大丈夫?」
タタは水を飲みながら「うん」とうなずいた。まだ半分寝ているのかな。
私は急いで着替えをして学校に行く準備をする。
「百合愛ちゃんなんでそんなに急いでるの?」
両手で持ったペットボトルを一度膝の上に置いた。
「今日は学校に行くんだ…。」
「がっこう?」
「学校はねお勉強をするところなんだよ…!」
私はランドセルに教科書を詰めながら話した。
「素敵な場所だね!」
「素敵な場所…か…。」
タタは首をかしげた。
「本当は素敵な所なんだ。でもユリは学校は素敵じゃないと思う。」
「学校は素敵じゃない?」
「あ!ごめん間違えた!学校は素敵な所なの!ただ…友だちがいないから学校に行くのは…素敵じゃない…。」
その時、タタは私の顔を覗いた。
「大丈夫?目からお水が垂れてるけど?」
私は知らぬまに涙を流していた。ただ、どうしてかはいまいち分からない。
「あぁぁ!ごめん。大丈夫だよ!全然…」
タタは私の顔を険しい顔で見た。すると、首を傾げてこんなことを言った。
「うぅん。百合愛ちゃん、無理してるでしょ?知ってるよ。目からお水が出るときは感情が激しく動いたときなんでしょ?本当は学校に行きたくないんだ。じゃあ私も行くよ!それか…今日はお家で休もう!」
そう言ってタタは私に満面の笑みを見せた。
2
「うわ来やがった。」
「来たぞ、花子だ。」
教室に入ると陰で男子がコソコソと言っている。私の机にはひどい悪口が書いてある。私は椅子に座る。
すると、私をいじめるリーダー、東田慎太が話しかけてきた。
「ねぇ、なんでお前が学校にいるの?キモいから帰ってくれない?」
そう言って私の机を思い切り蹴った。私は黙ってうつむいたまま。
「ねぇ!なんか言ったらどうなんだ!?」
東田は私の髪を引っ張った。
「い…いたい…よぉ…。」
その時、東田は私の髪を投げるようにして放した。そしてガタンッと大きな音を立てて机を元に戻した。
すると、前のドアをガラガラと開け先生が入ってきた。
「はぁい。朝の会するよぉ!」
そう言うとみんな椅子に座った。
東田は何もなかったように自分の席について先生の話を聞いている。
他の男子たちはコソコソと笑っている。
「おぉい、お前ら何笑ってるんだ。先生が話してるだろぉ。」
ーーー
「ねぇねぇ、百合愛ちゃん?さっきは何をしていたの?なんか嫌なことをしているようだったけど?」
私はそのタタの楽観的な話し方に少し不快感を感じた。
(ブルームにはいじめがないのかな…。)
私はトイレの蓋の上に座ったままうつむいた。
「ねぇねぇ百合愛ちゃん?大丈夫?」
「…」
私が黙っているとタタは「あっ!」っと一言、こちらを見た。
「ちょっと待ってて!」
タタなトイレから勢いよく出てどこかに走っていった。
すると、私の肩が縦に震えだした。堪らなく怖かった。
今はふれあいの時間だからチャイムがなるまでもう少し時間はある。しかし、いつか教室に戻らないと行けないのを考えたら怖い。
(行きたくない…。どうしたらこの状況から逃れられるかな?何が一番楽…なのかな…?)
私の体はいつの間にか動いていた。そして、大きな窓の前にいた。
「死んでみるか」
ここは三階のトイレ。運がよくても生き残ることはできないだろう。
私はゆっくりと窓を開けた。
「ふぅぅん…はぁぁあ…。」
一度だけ大きな深呼吸をする。それはため息のようにも聞こえた。
私は窓に身を乗り出す。
「きっと後悔はしない。」
私は大の字でスッと飛んだ。
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学生なので毎日投稿は厳しいですがなるべく頑張って投稿しますm(._.)m