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第一話 出会い

 「ママ!なんでお花って喋らないの?」

 「それはね。お花は喋ると魅力が消えちゃうからなんだよ。」

 ママはそう言って笑った。


1

 「お前、変だよ。花が好きとか。」

 「普通、ゲームとかアニメとかが好きなんだよ?」

 私はいつもクラスメートに馬鹿にされる。理由はお花が好きだから。お花が好きな人は変な人らしい。普通は。そもそも普通ってなんだろう。

 私はお花が嫌いな自分が嫌いだった。だけどお花を嫌いにはなれなかった。好きなものを否定されて嫌いになるものなんて「好きなもの」って言わないでしょ?少し不思議だけどね。

 私は泣きたかった。だけどここで泣いたら恥ずかしいからランドセルを背負って急いで教室から出た。先生は「さようなら」って言うけど私は顔を伏せたまま返事をしなかった。

 

2

 家に着いた。お母さんからの「おかえり」には答えた。だけど顔だけは伏せたまま自分の部屋に入った。

 やっぱり自分の部屋が一番心地良い。一言でいうと私の部屋は「虹」。部屋に沢山の種類のお花が置いてある。いろいろな色、形、大きさ。そして、もし香りに色があったとしたらこの部屋はもっと濃い「虹」。それぞれの良さ、つまり「色」がある。

 私は宿題をそっちのけにしてお花図鑑を開いた。図鑑には隙間なくお花の写真とそのお花の説明が書かれている。それらのお花は私が知っているものから知らないものがズラーっと並んでいる。

 私が図鑑を眺めていると一階からお母さんの声が聞こえた。

 「ご飯よぉ!」

 「はぁい」

 私は図鑑を閉じて階段を降りた。


 「今日のご飯はあなたの好きなオムライスよ。」

 「やったぁ」

 部屋はいい香りに包まれる。私はママと二人で机を挟むように座る。

 「いただきます!」

 二人で手を合わせる。

 「このソース美味しい!」

 「それは買ったやつよ…」

 私はモグモグオムライスを食べたかった。しかしスプーンがいつもより進まなかった。なぜなら "考え事" をしていたからだ。その考え事はは " なんで人は他の人に嫌なことをするのだろう? " ということ。

 私はその疑問をママに聞きたかった。だけどなんとなく聞きにくかった。


3

 結局私はママに相談できなかった。夜ご飯を食べたらすぐにお風呂に入ってきた。今の時刻は八時半だ。

 「少し図鑑を見てから寝ようかなぁ。」

 私は電気を消してベットでゴロゴロしながら図鑑を眺めた。

 「薔薇は…」

 私は図鑑を見てふと思った。

 (私の疑問、お花さんに聞いたらなんて答えるかな?)

 考え事をしていると少し疲れた。私は図鑑をパタンと閉じた。

 「今日は少し早く寝よう。おやすみ。」

 私は布団にくるまって、目を瞑った。しかしなかなか眠れにつけない。私の頭の中で考え事がぐるぐる回る。

 私は目を開けて天井を見つめる。すると私は意外と天井が遠いことに気がついた。そのうち天井には美しい夜空が映る。不思議な感覚になる。今なら多少ファンタジーなことが起きてもビックリしないかも。

 私は天井に手を伸ばした。すると、「ガシャ」っと音が聞こえた。窓が開くときの音だ。

 「何!?」

 私は首を振って窓を見た。しかしそこには何もいない。

 (鍵閉め忘れたかな?)

 私はベットから下りて窓の鍵を閉めた。そして後ろを振り返る。

 

「ねぇねぇ。」

 

 「え…?」

 なんかいる。そこには頭に紫苑の花が生えた小人が立っていた。

 「えぇぇぇ!」

 私は思わず尻餅をついた。

 「ごめんね。驚かせちゃった?」

 そう言って小人は顔を傾げた。訳が分からない。この子明らかに人間ではない。ただ…すごく可愛い。目はパッチリ二重で唇は薄くリンゴのように赤い。しかも肌が白くて、鼻も小さくて可愛らしい。一言でその子を表すなら「天使」。

 「だ、だれ?!」

 私は後ずさりながら問う。

 「うちタタっていうの。一応…妖精!」

 訳が分からない。全然分からない。とにかく今分かるのはこの子の名前はタタで人間ではないこと。

 「何しにきたの!?」

 「ちょ、ちょっと落ち着いてよ。うちは百合愛ちゃんが困ってたからここに来たの。」

 (ん?聞き間違えかな?)

 「え…?今…なんて言った…?」

 「百合愛ちゃんが困ってたからここに来たの?」

 「え…?えぇぇぇ!なんでユリの名前を?!」

 間違いない。この子は今、私を名前で呼んだ。もちろん名前を教えたつもりはない。

 「あぁ。そこら辺の説明は長くなっちゃうからまた今度ね!それよりも…」

 「いやっ!だめっ!なんでユリの名前を知ってるの?!」

 「しかたないなぁ…うちと百合愛ちゃんは小さい頃に会ってその時に名前を教え合ったの。」

 「そう…なの?」

 「そう!そういうこと!」

 「分かっ…た…。」

 それを聞いても尚私は少し怖かった。会ったことがある記憶なんて全くない。ただそれよりも他に聞きたいことがありすぎた。

 「でも妖精なんて信じないよ!だって天使も信じないもん!」

 「まぁ最初は信じないかもねぇ…でも一つ、絶対にいえるのは私百合愛ちゃんとすぐに仲良くなれるよ。」

 「どうして?」

 「百合愛ちゃんお花がすごく好きでしょ?私もお花がすごく大好きなの。」

 「お花が好きなの?!うれしい!じゃあ一つ聞いてもいい?」

 「いいよ。」

 「お花が好きな人って…変?」

 タタは柔らかい声で答える。

 「ううん。全然変じゃないよ。好きなものに普通とか当たり前とかはないよ!」

 私は気づいたタタはすごく優しいことに。本当にすぐに仲良くなれたかも。私は少しずつ安心感を取り戻していた。

 「良かった。じゃあユリたちお友たちだね!」

 「そうだよ!お友だちだよ!」

 タタはそういってニコッとした。

 「じゃあタタのことあまり覚えてないから自己紹介ね!」

 「自己紹介?いいね!じゃあタタから!名前はタタ!好きなお花は紫苑!よろしくね!」

 「よろしく!私の名前は星 百合愛!好きなお花は百合!だから自分の名前が大好き!好きな食べ物は…チョコマカロン!」

 私は完全に落ち着きを取り戻した。同時にさっき飛んでいった眠気が戻ってくる。

 「タタァ、ユリ眠たいから寝てもいい?」

 「いきなり眠たいの?逆にこの状況で寝られるの?」

 タタは笑いながら「おもしろい子だね。」と言った。

 「もう大丈夫だよ…なんか安心したぁ。まだまだタタのこと分からないから明日もっと一緒に話そ?じゃあ寝るねぇ…」

 私はベットに横たわり、布団を被って目を閉じる。

 「タタ…明日の朝消えてるとかやめてね。」

 「多分いると思うけど…タタも一緒に寝ていい?」

 「いいよ…てか妖精さんも寝るんだね。じゃあこっちきて…」

 私はそういって布団を持ち上げる。タタがそこに入ってくる。

 「朝は寒いから…しっかり布団被ってね。おやすみ。」

 「分かった。おやすみ。」 

 二人で一緒に目を閉じた。


 

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学生なので毎日投稿は厳しいですがなるべく頑張って投稿します。

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