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世界に余命宣告を  作者: mkn
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第二話 食料問題と小隊長

 ライは眼の前で髪を掴まれ、足をバタバタさせている妖族の子供をどうしようか迷っていた。

いや、どうするかは初めから決めていた。

しかし、相手が子供となると、好都合ではあるのだが、目にするまでは扱いやすい子供なら良いなとまで思っていたのだが、いざ目にすると気が引けてしまったのだった。

獣族も二千年間戦闘を経験していない。

よって、兵站のど素人であったのだ。

戦闘は訓練で何とか出来るが、ポータル一つでしか繋がっていない2つの世界間で食糧を運ぶのは知識不足も相まって、すぐに限界が来る。

そこで敵地で食料を調達しようという話になるのだが、この星に動物は一種類しかいない。

妖族の主食はそこら辺に生えている植物、我々は動物の肉。

そして妖族の身体の回復速度は獣族と比べると遅いものの、それなりに早く、足を切り落としても一日で回復する。

要するに、敵を家畜代わりにしようというと言う事なのだが、

相手は種族が違うとはいえ、同じ人型、そして言葉も伝わる。

同情するなというのが無理な話ではあった。

ライは目を背けながら命令した。

「魔力封じの手錠をして、第2テントに吊り下げておけ、拷問は、、 しなくて良い。」

「了解しました。」

髪を掴んでいた部下が答えた。

いずれにしても、妖族との絶滅戦争、敵は全員殺すのだ。

今更同情などするな、と自分に言い聞かせる。



同日夕刻 先駆部隊第二テント


 私は目を閉じて自分の置かれている状況を確認した。

もう少しの所で敵に見つかり、何故か殺されずに手錠で拘束されていた。

テントに拷問用具もなく、そもそも、田舎街の子供とも言える年齢の自分が、何か情報を持っているはずもなし、

そして敵をそれは承知のはずだ。

さっさと殺す事はあっても、わざわざ拘束しておく利点は無い、、はず。


 しばらくして、テントを開ける音がした。

物音に気がついて目を向けると、獣族の兵士と見られる人が、のこぎりのような物を持っていることに気がついた。

突如としてセラの顔が真っ青になる。

何をされるか理解した。

いやしてしまった。

天井から垂れる糸から手錠が外され、地面に投げ倒される。

逃げられないと分かっていながらも、暴れて逃げようとする。

兵士は特に焦る様子も見せず、私を抑え込んだ。

足を押さえられ、手も背中から伸びてきた触手のような物に押えられる。

「やめて、、お願い!」

必死にお願いするが聞き入れられる訳もない。

敵兵士が刃を振り上げ、下ろす。

柔らかい太ももに刃が入る。

そして骨をギザギザとした歯で削られる。

「やめてやめてやめてやめて!」

苦痛、想像もしない痛みが襲った。

必死に身体を捻るも、意味を成さない。

そして、切り取られる。

どく、どく、と血が流れ出るも、10秒もすると傷口が塞がった。

そしてゆっくりと足が再生していく。

しかしそれは、また切られ、食べられるために再生しているのだ。

そう思うだけで肉体的苦痛、精神的苦痛は想像を絶するものとなる。

敵兵士は足首を持って、血か滴る片足を持ち上げた。

その顔は哀れみと同情を感じさせるものであったが、それにセラが気づく訳も無かった。

そして、気づいたとしても何も意味をなさなかっただろう。

既に押さえつけていた手は話しているのだが、セラが暴れる様子は無かった。

むしろ恐怖で体が動かず、震えていた。

そんな様子を見て、流石に可哀想に思ったのか、獣族兵士は両足の予定だったものを取りやめ、再び手錠を吊るしてテントを出た。



数時間後 先駆部隊食事処


明らかに少ない軍からの食事と、収穫した肉。

獣族と妖族は本来そこまで食料を必要としない。

3ヶ月無食でも生きられる程度には少食なのだ。

しかし身体に怪我をしたり、魔力を使う軍は別だ。

そこを軍の食料担当は理解しているのだろうか。

軍人の食事としては、余りにも少なかった。

それを補う為の家畜、しかし、誰もが思う。

十分な量の食事を配給してほしかった、と。

出立前に小隊各自で必要なら食料を現地調達せよと命令されているので、認められているのだろうし、獣族は生肉もよく食う。

それでも、眼の前で生きた子供を見て、それが飯だと宣言されれば流石に食べにくい。

敵とはいえ、罪悪感も湧く。

骨付きとれたての肉、新鮮、などととても喜べない。

本来の家畜なら問題ないのだが、相手は人型なのだ。

さらに言えば、獣族の小隊は10人構成。

一人の体の一部位では少し少ないなぁ、とも思ってしまう。

とは言え文句は言えない。

収穫に行くのを押し付けあい、嫌嫌行ってくれたのだから、

ライは小隊長として、その状況を見かね、少し離れた所に持ってった上で刺し身風を切り分け、配った。

「はい、明日も軍務有るんだから、回復しないと、それにこれからも行う必要ありそうだし、慣れていこう。あいつらも姿が少し似ているだけで、明らかに我々と違うと言えるくらいには違う見た目なんだし。」

一番近くにいた部下が答える。

「隊長ありがとうございます。軍務と割り切り、善処します。」

「あぁ、頼む」

こんな事で頼もしさなんて見せたくないのだがと思いながら、夕食に移る。

案外、食べ始めれば気にしない。

食事が中盤に差し掛かった時だった。

突如として中央付近で騒ぎが起きる。

ライは中央方面から走ってきた人に話しかけた。

「おい、何かあったのか?」

「港に向かった部隊が帰ってきたんです。それがなかなかに酷い有様で。」

ライが走って向かうにつれ慌ただしい雰囲気が漂っていた。

服は破れ、体の一部が再生していない者、頭が吹き飛んだ死体を担ぐ者。

戦友の死に怒りを露にする者。

その様子は戦争を実感させるに足る有様であった。

今回戦闘に参加しなかった部隊の面々も顔が引きつっている。

戦場の日常が始まった瞬間だった。





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