表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
明日の風に・中世心火編  作者: 風城国子智
第二章 虚の見る夢
34/60

2-14

 暗闇に、目を凝らす。微かに明滅するモノを見つけるや否や、禎理ていりはその光に飛びかかった。


 明滅が終わる前に、震える欠片をそっと拾い上げ、両手で包み込む。その作業を、禎理は光るモノが見えなくなるまで、延々と続けた。壊れ易い、ものだから、大切に扱わなければ。その想いだけを、ずっと抱いて。


 だが。暗闇に光るモノが無くなり、集めたモノを掌に乗せてみて、口から出て来たのは、絶望の溜め息。これでは、足りない。しかしこれ以上、欠片は見つからない。仕方無いか。禎理は再び溜め息をつくと、自分の胸元から、明滅する欠片の大きなものを取り出し、掌の小さな欠片に合わせた。そして静かに、目を閉じる。再び目を開いた先に、見えたのは。自分と同じ姿の、少し華奢な、愛しい存在。


珮理はいりさん!」


 思わず、叫ぶ。しかし禎理の叫びは、暗闇の何処にも聞こえなかった。


 ああ。この出来事で、悟る。これは、誰かの夢。誰かの夢を、追体験しているのだろう。そしておそらく、その「誰か」とは。


風神かぜかみ


 心の中で、呟く。壊れた魂を繋ぎ合わせたり、自分の魂を割ったりすることができる『力』を持つのは、おそらく、この世界でもただ一人。古の神であり、『力有る石』がこの世界を壊すのを阻止する為に神の座を捨て、一つの魂として転生を繰り返す少年神、風神だけ、だ。


 驚いた瞳の色をした珮理が、禎理を見詰めている。その珮理に、禎理はどうしても聞きたかったことを、尋ねた。


「珮理さん。……怒ってない?」


「何のこと?」


 目の前の人物を禎理だと認めたらしい。珮理はにこりと微笑って言った。


「私は、感謝してるのよ。数にも、風神にも。……貴方にもよ、禎理」


 不意に、珮理の顔が禎理の目の前に来る。次の瞬間、珮理の唇が禎理の唇に重なった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ