第8話 結成!アルティメット・アライアンス。
「おおーい、母上、姉上!」
俺はアレクとノエルに挟まれたまま、二人に向かって手を振る。彼女達には、冒険者ギルドに行くと書き置きを残して置いたのだ。
「あ、見て下さい母上! アシャがキャロットに変身しています!」
「あらぁ、良いわね! また手ほどきしてあげなくちゃ。男性の扱い方をね♡」
うふふと笑いながらやってくる二人。また良からぬ事を企んでいるようだ。
近くまでやってくると、二人はまずアレクにお辞儀をした。
「これは大賢者アレクセイ様。本日は冒険者ギルドにいらしたのですね」
「娘がいつもお世話になっております」
「お久しぶりです、シャルファ様。セイラ様はとても飲み込みが早くて、その成長にはいつも驚かされます」
そう言ってお辞儀を返すアレク。俺の腰を解放し、右手を胸の前に置いている。
「今日はアシャに用事があってギルドに来ました。実は至高の冒険者パーティー【アルティメット・アライアンス】を設立する事になりまして。そのリーダーにアシャを任命させて頂いたのです。こちらにいるエルフの少年ノエル、そして僕とアシャの三人が現在のメンバーです」
「あら、それはとっても素敵ですわ。良かったわねアッ君。やっぱり見てる人はちゃんと見ていてくれているものだわ。初めまして、ノエルちゃん」
「アレクセイ様ほどの方に目をかけて頂けるとは。姉としても光栄の至りです。ノエル、弟をよろしく頼む」
二人はアレクにそう返しながら、しゃがみこんでノエルに挨拶をする。
「あ、は、はい! 初めまして、王妃様に、王女様! こちらこそ、よろしくお願いします! アシャカティ様は、王族なのですね! 驚きです!」
ノエルは俺の体からパッと離れ、モジモジしながら挨拶を返す。
周囲の冒険者達が、その会話を聞いてざわつき始める。
「マジかよ!? アシャカティって王族なのか!?」
「ヤベェ! 俺、結構無礼な事しちまってた」
「そりゃみんな同じだろ! 知らなかったんだから仕方ねぇさ!」
「言われて見れば、気品があるわよねアシャカティ様って」
「ええ。あれは王族の風格だわ」
俺が王族の家族として扱われている事に、みんな驚いているようだ。俺はノエルの髪を撫でながら、キュッと彼を抱きしめる。
「王族か。まぁ、十歳から十五歳で成人するまでの五年程だけどね。だから元、王族さ。だけど母上と姉上は今でも変わらず俺の家族だ」
「そうだったんですね。ちょっとびっくりしちゃいました」
えへへと舌を出して笑うノエル。可愛い。本当に男なのか疑わしくなる程の可愛らしさだ。
「ノエル、びっくりさせてごめんな。母上、姉上、良かったら二人もパーティーに入らないか? 二人程の実力者なら大歓迎さ。信頼も置けるしね」
そう伝えると、顔を見合わせる二人。そして笑顔になる。
「それはとても面白そうね。是非やってみたいわ。ママね、一度でいいからダンジョン探索してみたかったの。だけど、私もセイラも騎士団の団長だし、とても残念だけど無理ね」
「そうだな。今は少し休みをもらっているが、騎士団を辞めた訳ではないんだ。また復帰しなくてはならない。私もアシャと一緒に冒険したかったのだが......すまない」
シュンとした顔で落ち込む二人。
「それなら心配には及びませんよ。アルティメット・アライアンスはかなり高い権限を持っています。それに国王陛下の次に高い権限を持つ僕が口添えすれば、騎士団の者たちや国王陛下も納得するでしょう。後任もすぐに任命出来ます。ですから後は、二人のお気持ち次第です」
アレクの説明に、顔を輝かせる二人。
「まぁ! なら入るわ! 騎士団やめて、冒険者になるわ私! アッ君! いっぱいいっぱい、ママと冒険しようね!」
そう言って俺を抱きしめる母上。うわ、いつもながらおっぱいの圧力すごい! 今の俺、キャロットのおっぱいもかなり大きいが、母上と姉上はその数倍ある。
「嬉しい! お姉ちゃんも、いっぱいアシャと冒険する! アシャ大好き! これでずっと一緒にいられるね! ああ、アシャ、アシャ!」
姉上も反対側から俺を抱きしめる。普段はクールな姉上だが、テンションが上がると突然少女っぽい話し方になる。ぐああ、それにしても! 両側からおっぱいの圧力ハンパない!
「母上、姉上、人前だよ!」
「別にいいじゃないの。見られて減るもんじゃないわ」
「そうとも。それに私達は女同士。ただじゃれあっているだけの健全な行いだ」
そう言うものでしょうか......。
「うわぁ、いいなぁアシャカティ様。大きなおっぱいに挟まれて幸せそうですね」
羨望の眼差しで俺を見上げるノエル。
「あら、なら今度はノエルちゃんを挟んであげるわね。お近づきの印よ♡」
「ふふっ、可愛い奴だ。おいで」
しゃがみ込んだ母上と姉上に、むぎゅーッと挟まれるノエル。
「ふわぁ......幸せです。天国にいるみたい」
うっとりするノエル。その様子を眺めている俺の背後に、そっとアレクが近寄って来た。
「僕は沢山のおっぱいは要らない。アシャのおっぱいさえ有れば、それで満足さ」
そう言って抱きしめてくる。
「こら! どさくさに紛れておっぱいを揉むな!」
「ノエルには許してたじゃないか。僕にはダメなんて、そんなの理不尽だ」
「いやほら、ノエルはなんか女の子みたいだから、良いかなって」
「やだやだ! 僕も揉みたい!」
「駄々をこねるな大賢者!」
「なんてね。おっぱいを揉んだのはついでさ。本当はこれを渡したかったんだ」
アレクはそう言って、手のひらサイズの鍵を俺の目の前に差し出した。
「ついでにおっぱい揉むな。この鍵はどこの鍵なんだ?」
「これはアルティメット・アライアンスの為の居城、インフィニティ・キャッスルの鍵だ。空中に挿して回せば、どこからでも入り口が開く。試しにやってごらんよ」
「マジ!? そりゃ面白そうだ!」
俺は鍵を受け取ると、言われたと通りに空中に鍵を挿し、回してみた。




