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真のAランク冒険者

 珍しく二話投稿


洞窟を進み始めて十分ほど経過した。


「ここか。ライアー反応は?」


キリハたちはバネッサたちが引っ掛かったという罠の場所に来ていた。


「確かにあるな。そこの壁とそこの床、あとは、その岩に気を付けろ。あとは、そこ・・・」


キリハが指差した箇所は合計で十三ヶ所。


アレックスたちは、その数に顔を青くした。


「俺が先頭を進むからついてこい。いいな?くれぐれも、変なところに触れるなよ!特に、キリハッ」


「はいよ」


ライアーがジロリとキリハを睨む。睨まれたキリハはというと、知らぬ顔でライアーの後を進む。





ライアーのおかげで、無事に一本道を通過できたキリハたちは、大きな広間へと出た。


「敵感知に反応ありだ。数は二十くらいか、上だッ」


そういって、ライアーが指差す方を見ると、鋭い牙を持ったコウモリがいた。


「おっ、やっと俺の出番か」


そういって、アレックスは背負っていた槍を取りだし、コウモリたちに突き刺す。


「奥義 《乱れ突き》」


直後、アレックスの手元が震え、槍は分身したかのようにコウモリたちを襲う。


たちまち、コウモリたちは息絶え落ちてくる。


「さっすが、Aランク冒険者! 素晴らしい槍裁きだ」


キリハがアレックスを誉める。


「まぁな、俺様にかかればこんなもんだ」


そして、キリハはアレックスの後ろにいたクレアたちを見る。


「さて、進むか。また、先頭頼むぞライアー」


「・・・あぁ」


再び、一行は洞窟の奥へと進み始めた。


 




 一行はあれから順調に洞窟を進んでいた。道中で、先ほど戦闘があったコウモリ系のモンスターに、スライム系のモンスター、トカゲ系のモンスターなどが現れたが、アレックスに加え、クレアたちも戦闘に加わり、危なげなく進めた。


 いや、正確にいうと何度か危ない場面があったが、キリハとライアーがサポートし無事に戦闘を終えることができたのだ。


 「にしても、罠の対処さえできれば、こんなとこ余裕だぜ!」


 なんとも、呑気なものだ。アレックスは「アハハ」と笑いながら進む。


 「あれは・・・宝箱じゃねぇかッ」


 そして、アレックスは通路の端にあった宝箱を発見したらしく、すかさず開けにかかる。


 「ちょっ!待てッ」


 「なんでだよ、あっ、これは俺のだぞ。見つけたのは俺だからな、さて、中身は」


 そういいながらアレックスは宝箱を開けた。

 

 「罠だッ」


 ライアーがそういったときには、既に宝箱は開いてしまっていた。


 「えっ?」


 宝箱には何も入っていなかった。しかし、宝箱が開いた直後、ゴゴゴと、背後から何かが迫りくる音が聞こえる。


 「まずいぞ、みんな逃げろッ」


 キリハがすかさず、叫び先へ進む。


 アレックスたちも、キリハの声を聞いて、やっと状況を理解できたらしい。


 ゴゴゴと段々、音が大きくなる。


 「おいおい、まじかよ」


 キリハは先に進んでいたのだが、逃げ込んだ先は一本道だった。


 そして、後ろから襲い掛かって来たものの正体とは・・・通路ギリギリの岩石だった。


 「ちょ、これヤバいだろ」


 「アレックスッ!あんたなんてことしてくれたんだッ」


 「ダンジョン内にある宝箱には罠があることがあるって、習ったでしょッ」


 「普通に考えれば分かるだろ。しかも、ここは罠が大量にあるダンジョンだ。宝箱も罠に決まってるだろ」


 そういって、クレアたちはアレックスを責める。


 「う、うるせえなッ!だいたい、お前が悪いんだろ。もっと早く罠だっていえば良かったんだ」


 「黙れ」


 すると、キリハがドスの効いた声を出す。


 「ッ」


 その声を聞いてアレックスは黙る。


 「下がってろ」


 更にドスを効かせてアレックスたちを下がらせる。


 「お、おい、何する気だ」


 「黙ってみてろ」


 今度はライアーがアレックスに怒鳴る。


 「すぅ~・・・」


 キリハが深呼吸を始めると、岩石との距離はあと十メートルほどになる。


 「まさかッ」


 キリハが何をしようとしているのか気づいたのはバネッサだった。


 「ね、ねぇ、もしかして」


 ルーシィも気づいたようだ。


 「はあッ」


 キリハは掛け声とともに、自身の腰にぶら下げている刀を引き抜く。


 しかし、誰もキリハが刀を抜いたところを認識できなかった。


 カチャンと鞘に刀が収まる。


 それと同時に、迫ってきていた岩石はバラバラに崩れ落ちた。


 「ふぅ~大丈夫か?」


 再び深呼吸をしたあと、キリハは振り返り、尋ねた。


 「あぁ、にしても、相変わらず化け物じみた剣だ」


 「俺の数少ない取り柄だからな」


 ライアーは若干引きながらキリハと話す。


 「す、すっごーいッ」


 「なんだ、今の剣。全く見えなかった」


 「これは東方の国に伝わる刀か?始めて見る」


 女性陣はキリハの鮮やかな剣技(正確には抜刀術)を見てはしゃいでいる。


 「お、お前、なかなかやるじゃないかッ」


 すると、アレックスがそんなことをいった。


 「・・・」

 

 キリハは無言でアレックスに近寄る。


 「な、なん、グハッ」


 キリハはアレックスの顔面を殴り飛ばした。


 「にゃにすんだよなにすんだよ


 歯が折れたせいか、活舌が悪くなったアレックスは鼻を抑えてそういった。


 「お前、本当にAランク冒険者か?」


 「あはりまえだあたりまえだッ!」


 「嘘だ。お前みたいなダンジョンのことを何にも理解してない奴はAランクどころか、Bランクすらなれない。いや、Cランクだって無理だ」


 「にゃんだとなんだと


 「もういい、お前はもう何もするな。多少、槍が使える程度の初心者にはダンジョンは危険すぎる」


 「どうする?やっぱり、もう引き返すか?」


 「そうした方がいいだろうな・・・」


 「無理だな・・・」


 キリハは何かを感じ取ったかのように黙る。それに続きライアーも敵感知スキルに何か反応したようだ。


 すぐさま、腰に携えている二本のナイフを構える。


 「ゴブリンだな」

 

 「あぁ、雑魚だが、数が多いな」


 「というか、逃げようにも誰かさんが派手にやらかしたせいで通れない」


 「それは、すまん。俺は突っ込む。逃がした奴は頼むぞ」


 「おう、任せろ」


 二人は話を終えると同時に、奥からおびただしい数のゴブリンが現れる。


 「おいおい、このダンジョンは、そこまで危険度高くないだろ。なんだこの数・・・」


 ライアーが愚痴を漏らす。


 「な、なんて数なの」


 「ね、ねぇ、これは私達、めちゃくちゃヤバくない?」


 「・・・下手すれば、私達は・・・」


 「だ、だいひょうぶだッ。おれがいる」


 ゴブリンは女性冒険者の天敵といっても過言ではない。何故なら、ゴブリンにはメスが存在しない。そのため、ゴブリンは女を襲う・・・


 「大丈夫だ。キリハがやってくれる」


 顔を青くする三人にライアーは珍しく、優しい声をかける。


 「そうだ。俺に任せとけ。あんたらには指一本触れさせないぜ」


 キリハが振り返ってニコッと笑う。


 直後、ゴブリンたちの首が一斉に十は飛んだ。


 「「「えっ?」」」


 それだけでは留まらず、次々にゴブリンの首は飛んでいく。それはもう、面白いくらいにポンポンと飛んでいく。


 「おっと、何こっちみてんだよ。死ねッ」


 頭の賢い個体は地面に伏せて首が飛ばないようにしていたらしく、そのまま匍匐前進ほふくぜんしんの要領でライアーたちに向かっていたが、ライアーはゴブリンを見逃さなかった。


 すかさず、持っていたナイフでゴブリンの頸を斬ると失血死させる。


 それから、三対ほどライアーたちの元へゴブリンは来たが、ライアーは焦らず、確実に急所へ攻撃し、ゴブリン達を失血死させた。


 そして、それ以外のゴブリンはどうなったかというと・・・首が繋がっている個体は見つからない。


 数にして、およそ五十くらいだろうか、いや、それ以上かもしれないが、その全部が首を飛ばされている。

 

 辺り一面がゴブリンの血で溢れており、それと同じくらいゴブリンの頭が転がっている。


 「いやぁ~やっぱり雑魚はいくら斬っても面白くねぇな」


 そういって、キリハは置くから戻ってくる。


 キリハの姿を見ると、返り血を一滴たりとも浴びてない。


 「これがAランクだ。覚えてろ」


 ライアーが間抜けな面を晒しているアレックスにそういった。


  



 よかったら、感想とかジャンジャン送ってください。


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