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アイドル、異世界へ行く

はじめまして、よろしくお願いします。

「ーーーよ、目覚めよ娘」


誰かに声をかけられている。

ゆっくり目を覚ますと、知らない場所にいた。

目の前には巨大な老人。


「お主、宮居杏奈は16日21時53分、相田愛男に刺殺された。間違いないか?」

「間違いないかと言われても……」


老人が言う通りだ。

宮居杏奈(わたし)はアイドル、だった。

地道に活動してきたインディーズアイドルグループだけど、来月メジャーデビュー出来る予定だったんだ。

だけどいつものレッスン帰り、待ち伏せされていたファンの男に突然包丁で刺されたのだ。何回も何回も……

あの時はわからなかったけど、相田さんだったんだ。

思えば結構過激だったような。


「……そう。私、死んだのね」


18歳。恋も青春も友達も、普通の女の子らしい暮らしを捨てて毎日毎日レッスンにライブにレッスンにレッスンにレッスン……あれだけ頑張ってやっと掴みかけた栄光が、たったの一瞬で失ってしまった。

こんなのあんまりじゃない。


「お主は予定外の死を迎えた。

次の輪廻が巡るまでの間、お主がこの先生きたであろう寿命の分、お主に別の世界での生を与えたいと思う。

もちろん、お主が嫌だと言うのなら無理強いはしない。

その場合は寿命分を余生場で過ごしてもらうだけだ」


あら、これはもしかして異世界転生とかいうやつじゃない?

私も漫画やアニメが好きだったからある程度の知識はある。

そういう話をされたら気持ちが上がるのは当然だ。


「ところでなんで閻魔大王なの?」


そう。

この手のお約束に現れるのはヒゲの老人、女神様、謎のイケメンと相場は決まっているもの。

だけどさっきから私の前で喋っている赤ら顔でしかめっ面の老人はどこからどう見ても閻魔大王でしかない。

そして今気付いたけど私も死装束を気にているわ。

全くファンタジー感が感じられない。


「なんでもこうも、日本人の魂はここで受け入れる決まりになっておるからのう」

「ゆ、夢がない」

「それで、宮居杏奈。お主は何を選択する?」

「もちろん別の世界とやらに行きたいわ」


断言する。

私、まだまだやり残したこといっぱいあるんだから。

のんびり余生を送るのはまだ早いわ。


「それは良かった。正直、天国も地獄も余生場も定員オーバーだったからのう」


なんだその状況。


「さて、では転生の方で話を進めよう。これからお主が向かう先は最近人気のある剣と魔法の異世界の一つだ。

その世界での力がないお主に三つほど加護を付与してから送ることになっている。お主の希望としては何かあるか?」


きたわねセオリー。

最近人気があるとか、やっぱり他にも異世界に飛んでる人がいるようね。


「大体決まっているわ。

まず、その世界で一人で生きていけるだけの武力。

次に、装備はアイドル服。……わかるわよね?絶対に破れない感じがいいわ。

最後に、そうね……なんでも入るポーチ。かわいいやつね」


最後のやつはおまけ程度だけど即興で考えたにしてはいい案じゃない?


「ふむ、最初のはわかるがえらく変わった願いだな。

見目を良くしたい、とかはいらないのか?」


老人、もとい閻魔様が首を傾げる。


「私、アイドルを続けたいの。

今度こそトップアイドルになりたい。そのために必要な力は自分で手に入れるわ。

それに元々見た目は可愛いし」


ダンスや歌は頑張ればなんとか上達するもの。

見た目も努力すれば可愛くなれる。

でも、私がいくら凄いからといって突然の暴力に対応出来る力までは得られない。

人間万能じゃないんだから。

割と平和な日本にいてこんな目にあったんだから、剣と魔法の世界じゃ私みたいなか弱い女の子、薄い本案件か村人Cぐらいのモブ位置ですぐに殺されるわ。

だから、せめて自分の身を守れるだけのオマケはつけてもらわないとね。


「良かろう。では異世界への扉を繋げよう」


閻魔様がそう言うと、足元に魔方陣のようなものが展開された。

魔方陣の光の眩しさに思わず目を潜める。


「これからお主が暮らす世界はパンクローマ王国。

お主の願い通りの形で転生出来よう。

先にも説明した通り、残りの寿命分、生を全うすれば再びこちらの世界で輪廻転生を果たすことになる。

それでは、お主の異世界での旅が良きものになるように」


だんだんと光が強くなり、目を開けていられなくなってきた。

最後に見えた閻魔様、ちょっと笑ってた?

結構優しい顔も出来るのね。

ここまで読んで頂きありがとうございます。

ゆっくりマイペースに更新していきたいと思います。

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