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統治の原則
人間は動物の一種でありその知的水準には生物学的な事実上の制約がある。また、動物的な感情に対して限りなく理性的なわけではない。動物的な感情に起因して理性を制御していながら、主観的には理性によって制御していると自覚されることは普通である。
人間の振る舞いを制御するために最も有効な方法は恐怖である。恐怖によって、具体的な行動のみならず、精神や人格、考え方や価値観までも制御することができる。精神まで制御された場合には人間は、自分の考えが他者によって制御されていると自覚することができない。
奴隷を効率的に統治するためには、主人にとって不都合な人間を奴隷達自らの手によって殺害させる必要がある。
奴隷を効率的に統治するためには、奴隷は可能な限り自律的であるべきである。すなわち、主人にとって合理的な行動を、奴隷自身の欲求として行わせる必要がある。
ゆえに、民衆の人格を一定の形式に規格化することが、人間を統治する際の原則となる。