僕の主食は、異世界転生者の魂です。
僕の主食は、異世界転生人の魂です。
僕の名前は、一郎。
種族は、ケロベロスと言います。
そして、右肩に居るのが、二浪。
左肩に居るのが、三郎。
3人合わせて、ケロベロスです。
僕の使命は、異世界に転生してしまった人間の魂の回収です。
冥王様が言うには、本来死んだ人間は、一部の例外を除いて、冥界に送られて来るのが本来の姿だそうです。
それが、昨今、おかしくなっているって言ってました。
冥界に送られる魂が、別の世界に直接転生してしまい、冥界の秩序に、僅かですが狂いが生じているとの事です。
その為、冥界の番人である、ケロベロスこと、この僕が、異世界に転生してしまった魂の回収を冥王様から、仰せつかったのです。
ただ、他の世界に干渉する事は本来は厳禁な事です。
いかに冥界の王である、ハーデス様とは言え、蔑ろにする訳には行かず、いくつかの制限が設けられました。
1つ、その世界にいる馴染む存在になる事。
ケロベロスが居ない世界があるとの事。まさか、そんな世界が有るとは、世界って広いと思いました。
2つ、滞在期間は一年未満。
他の世界によって、時間の概念が違うとの事で、冥界での一年で良いとの事。
3つ、不用意な殺生は慎む事。
生きている人間の魂なんて、食べないよ。
僕が食べるのは、死者の魂だよ。
冥王様から直々に頼まれたのです、張り切って頑張って行きましょう。
僕には、頼もしい仲間?二浪と三浪がいるのですから。
いや、なんで俺たちがやらないといけないんだよ。めんどい。
グースカ、グースカ。
僕の脳内の宣言は、意識の一部を共有している二浪と、三浪にも勿論伝わっている。
だが、二浪は心底面倒くさそうに、ダラけきった態度で言う。
そして、三浪は寝ていて聴いてすらいない。
いや、これはケロベロスの特性で三体中一体は必ず寝ていなければいけないのだ。
二浪は、もうちょっとやる気出しなよ。何時も怠けてばかりだと、ケロベロスの沽券にかかわるよ。
毎日毎日、働かされてばっかでいい加減うんざりなんだよ。俺は、今回休ませ貰うから。好きにやってくれ。
そんな!
僕だって、初めて異世界に行くから不安なんだよ。一緒に行こうよ。
面倒くさい。三浪に頼みな。
確かに三浪は頼もしいけど、基本バカだもん。揉め事を起こす気しかしないよ。
俺よりやる気はあるだろう。
やる気が有れば何でも、出来ないんだよ。ってかそれ、三浪の口癖じゃないか。ねえ、二浪お願い。
偶には、俺に頼らず頑張りな。気が向いたら助言程度はしてやるからな。
絶対だよ。嘘ついたら、怒るからね。
はいはい。なら、俺も寝てるわ。
本当だよね⁉︎
って、もう寝てるし。三浪を起こすのも…いや、一人の方が楽そうだ。
これから行く異世界は、どんな所だろうかな。