四品目【ファンキーコングの肉煮込み鍋】
【忌刃】のモールドレド。
マルイデスク騎士団に所属する騎士であり、七色の神亀【藍亀の剣】の継承者。
同じくマルイデスク騎士団に所属するガヴェインの兄にあたる。
その大柄さ、そして黒い髪に浅黒い肌など弟に瓜二つだが……瞳は血が貯まった様な赤黒い特異不気味な輝きを秘めていた。
纏う鎧のカラーリングは夜闇を思わせる濃厚な藍色。片肩には漆黒のマントも装着している。
「………………………………」
モールドレドは、陰で【沈黙のレド】と呼ばれる程度には元々寡黙な男である。
だが、今、彼を沈黙に追い詰めているのは生来のクールな性分ではない。
ただただ、現在の状況に困惑呆然とし、言葉が出ないのである。
「………………………………」
落ち着け、余り慌てていては愚弟が「レド兄、こいつを飲むと落ち着けるぜ」と笑いながら夥しい量の紅茶を持ってくるぞ。
モールドレドは自身にそう言い聞かせて深呼吸。
状況の整理に努める事にした。
現在地は王宮。モールドレドに与えられた執務室。
生来無趣味な男であるため、室内は殺風景の一言に尽きる。
絨毯や壁紙は元々揃えられていたので王宮の他の部屋同様に豪勢な質だが、デスクや本棚は地味でシックな落ち着きあるシンプルデザイン。それ以外に物は無い。
モールドレドは今、そんな自身の執務室の中心に立っている。
もちろん、モールドレドは本日の執務に取り掛かるためにここへやってきた。
普段の事務作業に加えて、副団長ペルノアが激おこ聖剣へし折り事件のため謹慎中なので、彼が決済すべき書類の整理などの職務も回ってきている。
正直、ここの所のモールドレドは多忙だ。
もし彼が饒舌家ならば、冗談めかして「猫の手でもレンタルしたいくらいさ! HAHAHA!」とゲラゲラ笑うレベルで忙しい日々が続いている。
ただ、そこは沈黙のレド。
たまに疲れた様にボソリと「……にゃんこ……」と呟く程度で済まし、黙々と職務をこなしていた。
「………………………………」
……確かに、確かに、だ。
にゃんこの手も借りたい所存ではあった。
しかし、それはあくまで物の例えである。
実際、猫の手を借りた所で肉球をぷにぷにしたりくんくんして癒されるくらいしかできない。
「うー? あー? ぼーうあー!!」
「…………おぉう……ま、マントを、引っ張らないでくれ…………」
――ましてや、【ドラゴン娘】の手など借りて、何をどうしろと言うのか。
◆
それは、あまりにも突然だった。
今日も忙しくなるだろうが頑張るぞい。
モールドレドがそう決意して執務室に入ると、そこにはある人物がいた。
見慣れた御仁だ。カメロード王国王太子、アルサー・ヴェンドラゴー。
線の細い金髪の美男子……彼の本性を知らぬ諸外国のメディアが【サンシャイン貴公子】と呼ぶのも頷ける容姿端麗さ。
だが、その碧眼には童心の輝きが宿り、微笑む様は小生意気な悪戯小僧そのもの。
「やぁやぁ、レド卿。相変わらず図体デカいわ黒いわ、弟さん同様に岩石みたいであるな」
「……ぇ、あ……お、王子……?」
何故、とモールドレドが疑問に思った、その時。
ぐいっ、と、何かがモールドレドのマントを引っ張った。
「…………は…………?」
モールドレドが視線を下に向けると、そこにいたのは、地べたにお尻をベターとつけて座り込んだひとりの少女。
ただし、普通の少女ではない。
フリル満点の豪勢なワインレッドのドレス……その袖からこぼれ、モールドレドのマントを引っ張るお手手には……まるで紅鉄を加工した様な紅蓮の鱗がびっしり。
首筋から頬にかけても同様の鱗が見える。
「う? うー?」
モールドレドの視線に気付き、彼を見上げる琥珀色の三白眼。口内には獣めいた鋭い牙が綺麗に列を成す。
毛先に向かうにつれて桃色から緋色へとグラデーションを描く特異な色合いの髪の隙間から、数本の小ぶりな角も確認できる。
「……ま、まさか……」
この小娘、王子が拾ってきたと噂のドラゴン娘では?
確かに、三白眼は鋭いが顔つきはあどけなさが残り、可愛らしいと言えばその通り。胸部のフリフリのせいで目立たないが、御胸もそれなりの膨らみ。
何よりその鱗と角はどう考えても常人にあらず。
……実際に見た事はないが、聞き及んでいた噂と容姿は一致している様に思える。
「そやつは余の妹、ドラコ・ヴェンドラゴーである!! 初めて見るだろう!!」
「は、はぁ……」
本来、アルサーに妹はいない。
つまり、やはり件のドラゴン娘、もといドラゴン姫なのだろう。
「…………な、何故……噂の姫君を我が元に……?」
「よくぞ聞いたぞ、レド卿ッ!! 実は、余はこれから懲りずに聖剣を奪取しダンジョンへ赴く所であるのだッ!!」
「……!? な、お、王子……?」
「おっと、貴様らに余のこの行動をとやかく言う権利は無いぞ!! 余がダンジョンへ赴く理由は、貴様らがいつまでたってもドラコが食べれるものを見つけてこんからだ!! 情けない騎士に代わり、王子である余が事を成すと言っている!!」
別にこれ口実と冒険したい訳ではないぞ!! とアルサーはワクワク感を抑えきれていない笑顔で言う。
「と言う訳で、レド卿!! 余がダンジョンへ向かう間、ドラコの面倒を見るのだ!!」
「ぇ……」
「ドラコは少々やんちゃ者でな!! 一介の使用人連中では面倒が見切れんのだ!! 頼んだぞ我が国の精鋭たる騎士のひとりよ!!」
「ぇ、ぇぇ……ちょ……」
「いざ行かん!! 冒険のダンジョン!!」
◆
と言う訳で現在に至る。
「うー、うッ! うぃーッ!!」
「ぁ、ああ……マントが千切れてしまう……」
モールドレドが右肩から垂らす漆黒マントは、対魔法対物理あらゆる方面に優れた耐久性を誇り、知る者には【柔らかな防壁】と呼ばれる逸品なのだが……
流石は通常型よりも危険視される亜人型のドラゴンか。
先程から、マントがミチミチミチッ……と嫌な音を立てている。
「も、もう……!!」
破られるくらいなら、とモールドレドは急いでマントを外す。
「う? うぃー!!」
お、取れたどー!! となんだか喜びの歓声をあげるドラコ。
「………………ま、まるで赤ん坊………………」
赤ん坊は可愛くて好きだけど、面倒を見るのは苦手。
モールドレドは今、誰かに助けを求めたくて仕方がない。
だが、どうする。
この執務室は、集中力を保持するために魔導式通信機などの類は置いていないし、モールドレド自身も携帯していない。
ああ言うコミュニケーションツールはなんだか好きになれない性分なのだ。
つまり、誰かを呼ぶには部屋の外に出る必要があるのだが……ドラコを放置して行って良いものか。
今はモールドレドから剥ぎ取った戦利品に包まったりそのまま高速でゴロゴロ転がり回ったりして遊んでいるが……あの感じ、モールドレドの予想通りならばあと数分で飽きる。
そして新たな娯楽を求めて動き出すだろう。しかし、この執務室には幼児の娯楽願望を満たせる様なものは存在しない。
おそらく、放っておけばドラコは部屋の外へと繰り出す。
「ど……どうし、よう……!?」
モールドレドが大きな身体に似合わず、おろおろと狼狽えていると……
「うっうー!!」
「……ぇ、あああ……!?」
マントに包まりゴロゴロ状態のまま、ドラコは執務室のドアをぶっ壊して、室外へ転がり出てしまったのだ。
「うぃー!!」
なんか愉しくなってきたぜ!! と雄叫びをあげ、ドラコはどんどん転がり進んでいく。
「ちょッ……待って……待っ……!!」
モールドレドはもう、追うしかなかった。
◆
「うー!!」
「ッ……は、疾いィ……!!」
モールドレドは鈍重そうな巨体をしているが、決して遅くはない。
むしろ、マルイデスク騎士団に置ける走力ランキングでは上位陣に名を連ねる程度には健脚である。
だが、ローリングドラコとの距離が一切詰められないまま、王宮の廊下をズババババと走り回る羽目になっている。
「……な、なんで……私が……こんな目にぃ……!!」
いくら嘆いても、鬼ごっこは終わらない。
ローリングドラコは勢いのまま、突き当たりの窓を突き破って中庭の方へとすっぽーんと飛び出した。
「…………ッ…………」
モールドレドも迷わず割られた窓から跳ぶ。
ここは三階の高さがあるが、それくらいの落下ならマルイデスク騎士団の騎士として訓練を積んでいる者は耐えられる。
無論、ドラゴンであるドラコも心配する事は無いだろう。
「………………ぇ……!?」
しかし、モールドレドは落下中に予想外のモノを発見する。
「……あ、穴ァ……!?」
そう、窓の直下。中庭の隅に、謎の大穴が空いていたのである。闇で底が見えないほどの深い穴だ。
このまま行けば、ドラコもモールドレドも穴に飲み込まれる事になる。
昨日までこんなの無かったくない!? とモールドレドが目を剥くと、普段より広がった視界の隅にあるモノが見えた。
それは、一枚の立札。
『探し物中。危ないから近付いちゃ駄目よん☆ by皆大好きママーリン』
ああ、あの人の仕業か。
◆
穴はとても深く、ドラコとモールドレドの総落下高度は、実に一〇階建ての建物から飛び降りたに匹敵した。
「うぅ~~~~ッ!!」
流石のドラコも痛かったのだろう。マントに包まったまま頭を抑えて蹲っている。
「………………ッ!!」
モールドレドも両脚の痺れが半端なく、着地時の中腰姿勢のまま動けずにいた。
「ッゥ、ぐ、はぁ……い、一体……この穴は……!?」
数秒経って、ようやく思考に余裕が生まれたモールドレドは、首を振って周囲の状況を確認する。
薄暗い……だが、ほんのりと少々、薄緑色の光が穴の中にあり、完璧な闇ではない。
少し息を吸っただけで鼻腔を満たすカビ臭さ……どうやら、特殊な発光性質を持つコケが大量に生息している様だ。
おかげか、湿気もすごい。ただでさえ走り回って身体が温まっていたモールドレドはもう汗が次々に溢れ出してくる。
穴は縦方向だけでなく、横方向にも掘り広げられて、一本の果てしない洞窟道ができあがっていた。
「…………この感じ…………」
薄緑色の発光に、カビ臭さに、湿気……まるで、弟から聞いたダンジョンそのものだ、とモールドレドは思った。
――そう言えば、【大魔導師】ママーリンが最近、ダンジョンに興味を持ち始めたと言う噂は少し聞いた覚えがある。
…………興味を持ったは良いが、いちいちダンジョンまで出かけるのは億劫だったので、身近に再現してみた……と言う所だろうか。
あの人ならばやりかねないな、とモールドレドは溜息。
「うぅー……うぶぅぅうう……」
「……あ……な、泣いてる……?」
落下時に頭をぶつけたのが相当痛かったらしい。
マントに包まったまま、ドラコはプルプルと震えて咽び泣きを始めてしまった。
「えぇと……えぇと……」
モールドレドが思い起こすのは、昔の記憶。
幼少の頃、今と変わらず豪快快活だったガヴェインは怪我や生傷が絶えず、よく泣きながら兄である自分に擦り寄ってきた事があった。
その時、モールドレドは母に習い、やっていた【お呪い】がある。
「ぃ、痛みよ、痛みよ、アヴァロンの果てへ去り給え……」
震える無骨な手で、ドラコの頭をマント越しに撫で擦りながら、母を真似て唱える【なんちゃって呪文】。
効果のほどはイマイチだが、してもらわないよりはマシだった。
そう被験者のガヴェインは語っていた。
ああ、角が邪魔で撫で辛いなこの子……と思いながらも、幼少の頃を思い出しながら、必死に【お呪い】を続けるモールドレド。
「……ぶ?」
マントが開け、涙に滲んだ琥珀の瞳が真っ直ぐにモールドレドを見上げた。
「…………あー……え、ぇへ……?」
モールドレドは出来るだけドラコを刺激しない様に、微笑みを浮かべようと口角を歪めて頑張る。
……普段から笑い慣れていないので、お世辞にも良い笑顔とは言い難いが。
「……ぶぅ……」
ドラコは「まぁいいや」と言わんばかりに呟いて、頭を垂れ、大人しくなった。
しばらく撫で続けていると、すー……すー……と静かな息が。
「…………もしかして……寝た…………?」
……どうやら、その様だ。
よっしゃァ!! とモールドレドは心中にて天を掴む様なガッツポーズ。
このまま起こさぬ様に慎重に執務室へと連れ帰り、王子が帰ってくるまでスヤスヤ健やかに快眠していただこう。そう算段した。
――のだが……
「ゴォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
「ッ……!?」
突如、穴の中に響いた咆哮。
「むぃ……?」
「ッ~……!? お、ぉぉお起きてはいけないぃ……!!」
もそりと動き始めたドラコの頭を、モールドレドはいそいそと撫で撫で。
どうにか、ドラコを再び夢の世界へと送り返す事に成功する。
「……は、はぁぁ…………」
安堵の溜息を吐き、モールドレドはその目を細めた。
鋭く紅い眼光の尾を引きながら、彼が見据えるのは、先程咆哮が響いた横穴の向こう。
コケの発光も届かない闇の中からゆっくりゆっくりと這い出してきたのは……巨漢であるモールドレドですら、見上げざるを得ない巨大な怪物。
「ゴルルルル……!!」
「……その見た目……【ファンキーコング】……」
端的に言えば、極彩色の毛皮に包まれた巨大なゴリラ。
地上にも生息しているモンスター、ファンキーコングだ。
■ファンキーコング■
コングビースト種の上級モンスター。
意味不明なくらい派手な体毛が特徴的。
穴掘りが非常に得意。その穴掘りスキルはモグラ型のモンスターに匹敵する。
平地や洞窟に大きな穴を掘って住処とし、雑食性だが基本的に狩猟による肉食を好む獰猛な種族。
雌と去勢した雄は群生性質を持ち、群れで生活する様になる。
肉質は堅めでとても食えたものではないが、どうしてもと言うのならじっくり煮込んでみてはいかがだろう。多少マシになると思う。
主に装飾品として毛皮の方が重宝されている。
必殺技はその目にやかましい毛皮を活かし、見た者にまるで鈍器でぶん殴られた様な目眩を起こさせて状態異常:混乱を発生させる魔法のダンス【鈍器サンバ】。
……どうやら、ダンジョンの洞窟道だけでなく、モンスターまで再現してみたらしい。
迷惑なほどに芸が細かいと言うか、王宮の中庭でなんてことをしてるんだ。
色々とママーリンに思う事はあるが……まぁ、今は正直どうでもいい。
それよりも、だ。
「……それ以上、吠えるのは……ご遠慮願おう……厄介なのが、起きてしまう……」
静かに、だが確かな【激情】を込めて言い放ち、モールドレドはゆっくりとその腰の剣に手を伸ばす。
そして、柄を掴んだ瞬間、一切の音を立てずに抜刀した。
その剣の銘は【藍亀の剣】。七色の神亀の一亀。
外見だけならば、藍色の刃をした少し大振りな片刃の剣でしかない……が、当然、それだけであるはずがない。
「ゴ…」
ファンキーコングが威嚇の咆哮をあげようとしたのを察知し、モールドレドは即・動いた。
その手に握った藍色の刃、その鋒を、ファンキーコングへと向ける。
――ただ、それだけ。
「ゴ、ァ……!?」
「ご遠慮願う……そう言ったはずだ……猿が」
ただそれだけで、ファンキーコングに【異変】が襲いかかった。
何処からか湧き出した【藍色の禍々しいオーラ】が、ファンキーコングの全身あちこちに纏わり付き始めたのである。
オーラはまるで藍色の泥で造られたぐちゃぐちゃの人形の様な形状で、ファンキーコングの四肢や口にべっとりとこびり付き、その動きを制限する。
――【藍亀の剣】の加護は【連破】と【怨念】。
ひと振りの斬撃が【無数の破壊】を呼ぶ【連破】。
そして、敵対者に対し、装備者が抱いている【負の感情の量】に応じて【得体の知れない怨霊めいた何かを纏わせる】事で動きを制限してしまう【怨念】。
今、モールドレドは憤っている。
せっかく寝付いてくれたドラコを、あわや覚醒させようとしたファンキーコングに対し、激おこしている。
彼がファンキーコングに向ける【負の感情】は、軽く【殺意】に匹敵する量。その感情を元手に発生し、ファンキーコングに取り憑く【怨霊めいた何か】の量は、膨大無尽。
不気味不可解な怨霊を使役する、藍色の刃。
そしてその刃に選ばれた、赤黒い瞳の騎士。
――【忌刃】、モールドレド。
「……ゴィ……アァア……!?」
悲鳴をあげようとするファンキーコング。その口を、無数の怨霊めいた何かが無理矢理に塞ぎ続ける。
「……静かにしろ、猿。すぐに楽にしてやる……」
弟には及ばないが、モールドレドも腕力には自信がある。
そして、一撃で及ばない分は、【連破】で補えば良い。
「……散りくたばれ……」
技の名は、弟と共に代々受け継いできた縦割一閃のシンプル奥義【万墜王】。
それを【連破】により発展させた、万墜の連撃。
――【万墜王・連月刻】――
ひと振りで万をも斬り墜とす無数の斬撃が、極彩色の毛皮の上を縦横無尽に走り回る。
斬撃の軌跡をなぞって噴出する鮮血。その鮮血すらも、途端に新たな斬撃が斬り散らしていく。
時間にして一瞬。
生きながらにして、微塵に刻まれる事になったファンキーコング。
――その断末魔を聞いた者は、誰もいない。
◆
「よい、しょぉ……!!」
汗だくのモールドレド。
大穴から這い出し、片腕で優しく抱いていたぐっすりドラコをひとまず中庭の芝生に下ろす。
「………………災難、極まる………………」
やれやれである。
何故、こんな目に遭わなければならないのか。
……まぁ、全部が全部、王子のせいだろう。
ママーリンがダンジョンに興味を持ったのだって、あの王子のせいで騎士達がダンジョンへ頻繁に行く様になってからだと聞いている。
アルサー王子め……いつか復讐してやりたい。
そう思いつつ、モールドレドがドラコの方へと視線を下ろすと……
「う!」
ぱっちりと開眼した琥珀色の瞳と、がっつり視線が交差した。
「………………………………」
……ドラコ姫、お昼寝終了の模様。
「うぅぅーーー!!」
「……あッ……」
一時の休養を経て、ドラコ姫は元気マキシマム。
凄まじい速度で、またしてもゴロゴローリングを開始ッ!!
「………………………………」
涙を堪え、モールドレドは静かに走り出す。
――その鬼ごっこは、ドラコが眠りにつくまでの約半日間も続いたと言う。
ちなみに、一応で与えてみたがファンキーコングはドラコ姫の口には合わなかった。