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二品目【レッサーゴブリンの刺身】


 カメロード王国、さわやかな朝日に温められた王宮の中庭。


 騎士ガラハードは「今日こそは頼むぞ」と父である騎士団長ランスロンドの命を受け、ダンジョンへ向かう準備を進めていた。


 マルイデスク騎士団の騎士達に代々継承されてきた【七色の神亀じんき】のひとつ【白亀の盾】と呼ばれる白銀の鎧を装着。腰には上級鉄ギガメタルの剣を差す。剣と並べて腰から吊るした巾着は【大魔導師】ママーリンが作ってくれた不思議な逸品で、見た目の一〇倍の体積は物が入る。そこに充分以上の携帯水と簡易食糧をストックし、準備万端。


「……はぁぁ……」


 ……準備は万端だが、その瞳は相変わらずの屍様相。溜息も腐っている。

 そりゃあそうだ。ダンジョンがどれだけ臭くて暑くて恐い場所か、つい先日イヤァァァと言うほどに体験したばかりなのだから。


「あんなクソみたいな所より、女学生達の通学帰宅路を探索したい……」


 気分は至極乗らない……だが、行かねばなるまい。

 目が死に息が腐っても、ガラハードは王国に忠義を尽くす騎士なのだから。


 王国の名誉のために、そして何より可愛くて巨乳と噂のドラゴン娘のために、ガラハードは頑張らなきゃなのだ。 


「やぁやぁ、ガラくん!! ボクを【ダンジョン探索】に連れてってくれるって本当かい!?」


 そんなガラハードを目掛けて飛んできたのは、まるで元気過ぎてヤバい少女の声を思わせるキャピキャピとした声。


 声の主は、朱色のポニーテールを揺らしながらこちらへ走ってくる小柄な人物。「まだ子供じゃあないか……?」と思える様な小さな体には不相応な紅蓮のゴツい鎧が、ガシャガシャとやかましく鳴っている。


 その人物の名はパルシーバル。

 異名は【飛炎ひえん】。

 愛称はパル子。


 自身の身長の二倍ほどの長さがある炎色の十字槍【赤亀せっきの槍】を背負っている。


 そう、女児っぽい見た目に騙される事なかれ。

 彼も【亀跡キセキの金属で構築された装備】――即ち【七色の神亀】を継承した、立派な騎士様なのである。


 そしてその華奢な体や、そこらの女子より可愛らしいと思える童顔、声の高さからよく勘違いされがちだが……男性である。

 ただ【おすかる病】と言う奇病を患っており、男性器があるべき場所に女性器があるそうだが。

 やたら女子っぽいのもその奇病の影響らしい。


 ――家を継ぐ男子に恵まれなかった彼の父が、奇病をでっち上げて本当は女子である彼に家を継がせた……なんて噂もあるが、根も葉もないデマである。

 全くのデマである。

 デマでしかない。

 なんてお粗末なデマだ。

 こんなに可愛い女子がいる訳ない。

 もし仮に女の子だったら、騎士でありながら軟派主義者であるガラハードが放っておくはずもない。


「ああ、パル子。うん。ちょっと相方ガヴェがまだ精神汚染が酷くて復帰できないから、しばらく代わりに付いてきて欲しいんだ」


 前回、ガヴェインはだいしゅきスライムの巣窟に飛び込んで、洒落にならない数のテレパス魔法をその脳に叩き込まれたのだ。

 いくらママーリンの治療魔法が常軌を逸していても、流石にすぐ復帰と言う訳にはいかなかった。


「うっひょーい!! ボクね、実はちょっと【冒険】って憧れてたんだー!! パパ上が過保護だからそう言う事と縁が無くてね。【遠征】もほとんど参加させてもらえてなかったし……でも、王太子の命令だからこれは仕方無いよね。ありがとう馬鹿王子!! ボク頑張る!!」

「……よくそんなテンションで……ガヴェの話、聞いてないの? あいつまだ白目剥いてベッドの上だよ?」

「ボク、カフェイン卿よりも強いって自信あるもん!!」


 その小さな身体の何処からその自信が湧いてくるのだろう。


「それに、ボクには頼れる相棒もいるからね!!」

「お。もしかして【あいつ】も連れて行くの?」

「うん!! ボク達はいつでも一緒だから。ね、ディンドリャン!!」

「ごぉあぁぁぁーーーッ!!」


 パル子の声に応じる様に、中庭中に地鳴りの様な獣の咆哮が響き渡った。


 すると何処ぞから現れたか。

 雄々しい四肢で中庭の草葉を踏み散らし、まるで疾風の様な素早さでパル子の傍らに駆け寄ってきた【巨獣】。


 乾いた血の様な赤黒い毛皮で覆われた四足歩行の巨体。

 ギョロギョロと動く大きな黒い眼球に紅い瞳。

 一口でガラハードの半身をもぎ取れそうな大きな口には、研ぎ澄まされた剣の様な牙が並んでいる。

 尾の形状はまるで巨大化したさそりの尻尾。つまり先端に毒針がある。


 レオビースト種の上位モンスター【キメライオン】。

 パル子の父が凄腕のモンスターテイマーから買い付けた最上品質の護衛ペット。

 その名も【速達そくたつ】のディンドリャンちゃん(♀)だ。


 見た目は完全に猛獣だが、雨に打たれている子犬を見ると傘を差し出す優しき心根を持っている。

 一応、騎士団の一員として認定も受けている。


「ごごぼぁッ!!」 

「やる気まんまんまんだねディンドリャン!! ボクもだよ!! きゃはッ!! さ、早く行こうよガラくん!! ボク達の冒険が始まるよ!!」

「うん、じゃあ、行こうか」


 ディンドリャンも付いてきてくれるのは嬉しい誤算だ。

 きっとディンドリャンなら、大概のモンスターには勝てるだろう。頼もしい。



   ◆



「うひー……聞いてたけど……想像以上に暑いね、ダンジョン……もう全身が汗でぐしょ濡れだよう……」

「ごあぁ……」


 出発前の勢いは何処へやら。

 特殊なコケが薄緑色に照らす湿気パラダイスに足を踏み入れてみれば、前回のガラハード達同様、パル子もディンドリャンも汗だくハァハァ。

 特に、ディンドリャンは毛皮がヤバみを付加している様子だ。


 しかし、それでもパル子は微笑みが絶えておらず、ディンドリャンの目つきも鋭いまま。

 パル子は未だにダンジョンへ潜れるワクワク。

 ディンドリャンは死んでもパル子を守ると言う使命感。

 二名とも、湿気とカビ臭さに屈しない精神的な強さがあるのだ。


 ガラハードも、二度目かつ今回は充分過ぎるほどの水を持ち込んだので、前回ほど酷い有様ではない。

 やや股座がかぶれ始め、少々ガニ股になりつつあるが。


「……そろそろ、前回酷い目に遭った地点だね……」


 同じ様な景色が続く洞窟道。歩いた感覚で、ガラハードは大体の予測を付ける。

 ……おそらく、もう間もなくあの【巣穴】のあるポイントだ。


 ガラハードの額から頬へ流れ伝う汗に、体温調整を目的としていない感情的な汗が混じる。


「パル子。ここから先はちょっとした事で致命傷になるから、慎重に行こう。良いかい、まずは……そうだ、【落ち着き】。【落ち着き】が大事だと思う。すごく」


 前回は蒸し暑さへのイライラの余り、ガヴェイン共々余りクレバーとは言えない軽率な行動をしてしまった感が否めない。

 もっと冷静に思慮を働かせていれば、もしかしたら「あれドクスライムじゃあなくね?」と前もって気付けた可能性もあるのだ。


「一度、深呼吸……は肺がカビそうだから、少し瞼を落として瞑想的な……」

「あ、ねぇねぇガラくんガラくん、ここんとこになんか横穴が……」

「その横穴の事には言及するなァァァーーーッ!! アァァーーーッ!!」

「へ、ちょ、えぇ!? 全力疾走!? 落ち着きは!? 落ち着きはどうしたのガラくぅーん!? って言うか待って!! ちょ、疾ッ!?」


【豆知識】

 トラウマに直面した時、人間は冷静ではいられないゾ。



   ◆



「ありゃま……ガラくんと完全にはぐれちった……」

「ごぉお……」

「うーん……やっぱりさっきの分かれ道、右の方だったのかなぁ……なんか右の道は遠く奥の方から不可解な『だいしゅき……』って声が無数に聞こえてきて不気味だったから、左を選んだのに……」

「ごう、ごぁぁ」

「……ま、ガラくんもボクと同じ騎士団に七名しかいない【継承者】だもん。あんまり心配し過ぎるのも失礼だよね」


 ガラハードだって一人前の騎士。それもただの騎士じゃあない。

 あの基本的に穏やかと言うか軟派軽薄気味な気性からは想像もできないが、騎士ガラハードは【騎士団長ランスロンドの息子】と言う天性の付加価値のせいで半端を許されず、騎士の中でも人一倍努力を強いられた男だ(むしろ、現在のあの軟派具合は努力期の反動リバウンド的な節もある)。


 小柄かつ非力気味と言う天性の身体的ハンデで人一倍苦労して今に至るパル子としては、自身の境遇と少なからずダブる所がある。


 ひとりはぐれただけで身を案じられては、プライドに関わる所もあるだろう……と言うのは、容易に想像できる訳だ。


「と言う訳で、ボクはボクの冒険に専念しようと思うんだ!! どうかな、ディンドリャン!?」

「ごぉあ」


 お嬢がそれで良いんなら良いんじゃあないすか。

 そんなテンションでディンドリャンが吠える。

 ちなみにパル子は見た目と性器はあれだが男子なので【坊ちゃん】が正確である。

 ディンドリャンはそそっかしい。


「よぉーし、やるぞー!! 張り切って、ドラゴンのお姫様に、美味しい御飯を届けるよ!!」

「ごぉあああああああ!!」

「行こうディンドリャン!! 身も心も踊り狂う様な冒険と珍味が、ボク達を待っている!!」


 意気高揚の意図も含め、パル子が背に負っていた自身の身の丈二倍分もある紅い十字槍【赤亀の槍】を抜き、先果て見えぬダンジョン洞窟道をその穂先で差した。


 丁度その瞬間。


「およ?」

「ごぁ?」

「ぐぶ?」


 パル子が穂先で差した遥か前方、壁の横穴から、小さな影がのそのそぞろぞろと這い出してきた。


 影の数は四つ。


 泥を混ぜた緑茶の様な、濁った緑色の肌の小さな身体。パル子とどっこいどっこいの体躯。

 黄色い眼球、潰れた鼻、歪な耳、ヘドロみたいな涎を零す半開きの口。

 その手には、打製でこしらえたと思われる無骨な石の武器。


「ややッ……アレはアレはッ!? 巷に出回ってる創作冒険記なんかで【オーク】と並ぶスケベ行為大好きモンスターと言う立ち位置で描かれがちなせいで【安定の読者サービス要員】として有名な【ゴブリン】じゃあないかな!?」


■レッサーゴブリン■

 ゴブリン種の下級モンスター。

 基本的に三~五匹程度の群れで行動する。

 打製石器を作成できる程度には知力があり、もう少し発達すれば磨製石器も夢ではない。

 食用には向いていないが、あばら周りの肉は他部位に比べて脂が乗っていて、多少食べやすい(美味いとは言っていない)。

 創作ではオークなどと並び「女騎士やエルフにエッティ悪戯をしてまいっちんぐさせる助平な小物」としてコミカルに描かれる事が多い。

 実際ゴブリン種に属するモンスターは、大概の個体が好奇心旺盛で悪戯好きなので、完全な風評被害でもないだろう。

 必殺技は群れの皆で一斉突撃【レッサーゴブリンの突撃部隊】。攻撃力2300。


「ぐぶぶ!?」

「ぐぶぃ!?」

「ぐぼぉお!?」

「ぐぶばぁ!?」


 四匹のレッサーゴブリンがパル子とディンドリャンに気付き、一斉に驚愕の声をあげる。


「……うーん、あんまり美味しそうじゃあないけど……珍味って総じてそう言うモノだよね。むしろ、すべからくそうあるべき的な側面もある?」 

「ごぅあ」


 お嬢がそう思うならそうなんじゃないすかね。

 そんなテンションでディンドリャンが吠える。

 ……しつこい様だが、パル子は見た目と性器はあれだが男子なので【坊ちゃん】が正確である。

 ディンドリャンは本当にそそっかしいなぁ、もう。


「よぉーしッ!! 決めた!! ボクはあのゴブリン達をドラゴン姫様に献上するよ!! やぁやぁ!! 覚悟したまえゴブリン諸君!! 恨みはないけどごちになります!! ボクは食べないけどね!!」

「ごぁぁ!!」

「ぐぶぉお!? ぐぶぐぶ!!」

「ぐぶいあ!!」

「ぐっぶい!!」

「ぐぼぼん!!」


 なんだァあのメスガキは、ヤる気か!? おぉん!?

 上等じゃねぇのヤってやるぜ!!

 俺らのチーム舐めんなよアァん!? ヤっちまうぞコラ!!

 滅茶苦茶ぺろぺろはすはすくんかくんかァしてヤんよォ!!


 そんな感じでレッサーゴブリン達も各々石の武器を振り上げて臨戦態勢。


「戦いは数……でもね、それ以上に戦いは【射程】だよ、ゴブリン諸君!!」


 パル子……【飛炎】のパルシーバル。

 何故、彼女……じゃなくて、彼が【飛炎】と呼ばれるか。


「いっくよー!!」


 パル子が、その手に握った炎色の十字槍を逆手に構え、胸を広げて肩に担ぐ様な形で大きく振りかぶる。


 騎士パルシーバルの身体は、戦う者としては……余りにも小さい。

 正面から剣や槍で打ち合っても、彼に活路はそうそう無い。

 だから彼は、【打ち合う必要の無い槍術スタイル】を極めた。


 それは、【槍投】。


「必殺ぅ、【掃滅炎羅一直線ヴァンライン・スイープ】!!」


 槍を投げるため。

 ただひたすらその一点に絞り、虚仮の一念めいて至極愚直に磨き抜かれたその小さな肩の力は、大のガチムチ野郎と比較しても決して引けを取らない。


「せーのッ、おりゃぁーーーッ!!」


 紅蓮の輝きを纏う十字槍が、まるで水平に走る炎柱の様に、飛ぶ。

 紅い残像の尾を引いて空を裂くその様は、燃えるレーザービーム。


「ぐ、げべッ」


 放たれた槍はパル子の狙い通り、一番右端のレッサーゴブリンの頭部に直撃。

 まるで木刀でスイカを強打する様に、その頭蓋を木っ端微塵に吹き飛ばし散らし、紅い一閃は洞窟道の遥か彼方、コケの薄光も届かぬ闇の中へと消えていく。


「狙いばっちしビンゴ!!」


 レッサーゴブリン、残り三匹。


「ごうあぁ!!」


 ほんじゃ、次はアタシだよッ!!

 そう意気込む様に一吠えし、ディンドリャンが地面を蹴る。



 一陣の風が通り過ぎた。



 残り二匹(・・)のレッサーゴブリンは、そうとしか感じなかった。


「ごぁぁぁ……」


 気付いた時にはもう、レッサーゴブリン達の背後で、ディンドリャンが前足で【何か】を踏みつけて、唸りをあげていた。


 ディンドリャンの雄々しい前足に踏みつけられていた小さな物体は、さっきまで左端に立っていたレッサーゴブリン。

 その死骸は既にディンドリャンの牙で喉をズタズタに引き裂かれており、筋肉繊維数本で首がつながっている様な有様だった。

 傍に立っていた仲間が気付けないほどの一瞬で、断末魔の悲鳴どころか喘ぎひとつあげる暇ももらえずに、咬み殺されていた。


 まぁ、仕方の無い事だ。

 獣の身でありながらマルイデスク騎士団で【速達】と言う異名を取る健脚、レッサーゴブリン程度に反応できるはずもない。


「ぐ、ぐびぃ!!」

「ぐぼぼぉーー!!」


 何こいつら、いきなり超物騒。

 やだ恐い、逃げる。


 残された二匹のレッサーゴブリンは迷わず逃走を選択。


 でもしかし、何処へ逃げるか。


 少し、レッサーゴブリンの気持ちになって考えてみよう。


 巣穴に逃げても、奥は行き止まりだ。そこまで深くも無い。籠城しても無駄。

 背後、ディンドリャンの方向へ逃げるなんてとんでもない。すれ違い様に死ぬ。


 だったらば。


「ぐぃぶ!!」


 追い詰められたレッサーゴブリン×二が、槍を投げて丸腰と化したパル子の方へ走り出すのは、至極当然の帰結。


 だが、すぐに最後の一匹(・・・・・)は思い知る。



 こいつらに遭遇した時点で、自分たちに活路なんて無かったのだと。



 背後から飛んできた【紅蓮の一閃】が、レッサーゴブリン片割れの首から上を粉微塵に吹き飛ばして、パル子の元へ。


「ぐ、ぐべぇ!?」

「おかえり」


 パル子が軽いキャッチボール感覚でキャッチしたそれは――紅蓮に輝く十字槍【赤亀の槍】だ。


 ――七色の神亀がひとつ、【赤亀の槍】が持つ【加護】は【帰還と幸運】。

 その槍は、どれだけ遠くへ放り投げられ様と、装備者の手元へと必ず帰還する。

 そして、装備者に【幸運の祝福】をもたらすため、【装備者の攻撃が外れる】と言う【不幸】が【発生しなくなる】。


 決して失われず、決して外れない投擲槍。

 それが【赤亀の槍】。


「ぐ、ぶ……!?」


 もはや理不尽。


 死神の微笑とも思えるパル子の無邪気スマイルに、レッサーゴブリンが絶望の悲鳴をあげかけた……その時。


 背後より無音迅速に迫った無慈悲な牙が、その喉を食い破った。



   ◆



 一方、ガラハード。


「ハァ……ハァ……!! し、しまった……冷静さを欠いてパル子達とはぐれてしまった……」


 我ながら困ったものだ、とガラハードは深く溜息。


「でもまぁ、【奴ら】の巣穴からはかなり離れたはずだし、一旦落ち着いて、パル子達を探そ…」


 その時、ガラハードは【ある物】を発見した。発見してしまった。


 それは、壁にポッカリと空いた横穴。


「………………えッ………………」

(――だいしゅき――)


 だいしゅきスライムのコロニーは、ひとつとは限らない。



   ◆



 ――【ママーリンの儀式場】。


「坊や、ぬちょぬちょになって帰ってくるの好きねぇ。もしかして、お姉さんをのこと誘ってるぅ? やぁん」

「…………………………」


 もはやママーリンの言葉に「貴女にその気があるなら是非」と軽口を返す気力もなく。

 ガラハードは紫のぬちょぬちょに包まれて、棺桶の中に倒れ伏していた。




 ちなみに、このあと普通に帰ってきたパル子が大量に持ち込んだレッサーゴブリンの肉も、ドラゴン娘の口には合わなかったそうだ。


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