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ネジ飛び姫  作者: もぐもぐお
最終章
63/85

64 「その後のこと・・・ 第一話」

 お湯の沸くコポコポという音が静寂な部屋に音を加える時、私は手元のノートを閉じ、ため息をつく。

 未成年の少女が抱えるには、あまりにも大きな問題だった・・・。

 大人からすれば、人によってはきっと馬鹿々々しいほどの問題なのかもしれない。

 ただ、当時のエリちゃんの心情を考えれば、ため息しか出ない・・・。


 まるで私がノートを読み終わるのを計ったように、ユキヒコさんは熱い紅茶を私のもとに差し出した。


 「ありがとうございます、いただきます。」


 そう告げると、ユキヒコさんはニッコリと笑い、そのまま悲しげな表情で語ってくれた。


 「当時の私は、そのノートを読むまで、まだ彼女と逢う手段があるんじゃないかと思っていました。

 けれど、そのノートを読み終わったあと・・・、正直、嫌な予感しかしませんでした・・・。

 そして、その予感通り・・・。

 数ヶ月後、彼女が自ら命を絶ったことを聞かされました・・・。」


 そういって、彼は目を閉じ、苦痛な表情を浮かべた・・・。

 やっぱりそうだったのか・・・。

 薄々は分かっていた。多分そうなんじゃないかと。


 「あの・・・、直接の原因は何だったのでしょう?」


 口に出して、自分の馬鹿さを呪った。

 もしそれを自分のせいだと感じていたら、これほど彼を苦しめる質問はなかった。


 「正直、分かりません・・・。

 ご覧になられたとおり、そのノートには彼女が見られたくないと思ったんでしょう、かなりの箇所は消されて、塗りつぶされています。

 ただ、断片からも、彼女がかなり早い段階から、悩みを抱え・・・苦しんでいたのは分かります。

 たぶん、もう最後は心が折れてしまったんでしょう・・・。

 私も・・・、当時の彼女の親友だった石崎リョウコも・・・、悩んでいたことには気づいていましたが、命を絶つほどとは思っていませんでした。」


 「・・・。」


 「彼女が亡くなったと聞かされた時、それを話してくれたリョウコ・・・彼女の親友ですが、彼女の取り乱し方は、今まで見たことのないものでした・・・。こんなことになるなら、こんなことになるなら・・・。そう繰り返す声は、未だに耳を離れません・・・。

 私自身も、やはり自分の愚かさに後悔しかありませんでした・・・。

 あんなに一緒に居たのに、私は彼女の何を見て過ごしていたのだろうと・・・。彼女がどんな思いで一緒にいたのか・・・、私は何といい加減に彼女と向き合っていたのだろうと・・・。」


 「そんな・・・。」


 私は掛ける言葉を持っていなかった。

 部外者の私がどんな言葉を掛けても、そんな言葉は軽薄でしかない・・・。

 私は誤魔化すように、別の言葉をさがした。


 「あの・・・、エリちゃん・・・叔母のヒーローがユキヒコさんというのは、どういう事なんでしょう?」


 我ながら馬鹿らしい誤魔化し方だ。ただ、本当に気になってもいる。


 「それについては本当に分かりません・・・。私はまったく覚えていません。

 何となく、彼女と一緒だった記憶はあるのですが、彼女の言うキッカケはまったく心当たりがありません・・・。残念な事です・・・。」


 「そう・・・ですか・・・。」


 きっと、ユキヒコさんにとっては何でもないような事だったのだろう。

 自分の何気ない行動が相手に大きな影響を与えてしまうという事は、良くも悪くも往々にしてある事なのだろう。


 「私が彼女について知っていることは、残念ながらここまでです・・・。」


 そう告げると、彼はソファーに深くもたれかかり、静かに目を閉じた。

 この人は、その後をどう生きたのだろう・・・。

 この一連のお話を伺い、正直、私はエリちゃんに対して、叔母に対して怒りの感情を抱いていた。

 叔母の行動に同情する気持ちもある。きっと私などが想像も出来ないような辛さと生きづらさを感じていたのだろう。

 だけれど、人が生きるという事は一人ではないのだ。たとえ自分が一人だと思っていても、決して一人なんて事はない。

 叔母の軽率な死によって、彼も周りの人達もきっとそれぞれ傷を負って苦しんだはずだ。それは若さや青さなどという言い訳では片付けられない事だ。

 この人達は、その後どうやって生きてきたのだろう・・・。


 「あの・・・、もし差し支えなければですが・・・。皆さんのその後を聞かせて貰えませんか?」


 「え?」


 「その・・・。叔母がこんな事をしてしまった後、皆さんは・・・ユキヒコさんはどうなったのでしょうか。その・・・興味本位なのかもしれませんが、自分の身内がおこした事で、ユキヒコさん達がどうなってしまったのかが気になりまして・・・。」


 「いや・・・、そうですか・・・。しかし、きっと聞いても面白くない話だと思いますよ?

 もう彼女とは関係のない、私自身の話になりますからね。」


 「それでも、構いません。話していただけますか。(私は・・・知りたいんです。)」


 「分かりました・・・。ただ、ひとつだけ聞いていただきたいのですが。」


 「ない、なんでしょう?」


 「私は別に、彼女の行動を否定したり、非難する気持ちは無いのです。至らなかったのは私たちですから・・・。」


 「・・・。 (私はやっぱり、あなたの行動は間違いだと思う・・・。彼を見れば、分かる事じゃないか・・・。 エリちゃん、あなたは彼のこんな姿を望んでいたの?・・・。)」






 私達の前より「ネジ飛び姫」が消えた後・・・。

 それでも当然のように時は流れ、私達もそれぞれの時間を歩む事になります。


 この想い出を終わるにあたりまして、そんな「ネジ飛び姫」の仲間達の「その後」を・・・私の「その後」も含めまして・・・、私の知る限りではありますが、語ってみたいと思います。




 エーちゃんこと「兼末エイキチ」は、私の小学校時代からの親友だった事は、既に何度もお話ししてきましたが、残念ながら、進学先は私と違え、別々の道を歩む事になりました。

 あの一件以来、何となく気まずくなった私達は、まるで今までの友情が嘘だったかの様に・・・あるいは、その友情故か・・・、その後は特に交流する事無く、そのまま時を過ごす事になります。


 そのエーちゃんの最愛の人である「鷲尾タカコ」は、同じく私の小学校時代からの友人でしたが、その頃は色黒で精悍な顔立ちや、男勝りの態度から、男と区別がつかない程でしたが、中学に入って、エーちゃんと思いを遂げてからは、見違える様に女らしくなり、周囲を驚かせたものです。

 元々優秀な彼女は、我々とは違い、やはり優秀な進学校へと進む事になります。

 後年、久々に彼女に再会した私は、その美しく変貌した彼女の姿に驚く事になります。


 その鷲尾の一番の親友でありました「金丸シズカ」は、同じく小学校時代からの友人でしたが、やはり私達とは別々の学校に進学し・・・、それが原因かは定かではないのですが、あの相思相愛と思われた内山とは、別々の人生を歩む事になったようで。

 そしてその後、金丸はどうやら大変良い相手に巡り会えたようで、子どもにも恵まれ、小さな家庭を築いたとの事。 常に笑顔を絶やさない、周りを元気にさせる心の強い彼女には、大変相応しい幸せな姿が想像でき、それを風の噂で聞いたときは、私も嬉しく思いました。


 「言う時は言う男」として、数々の「男らしさ」を我々に披露してくれた内山は、残念ながら金丸との思いを遂げる事は出来なかったものの、有名進学校から有名大学、院へと進み、得意な学問の道を突き進んだようです。今後も、その得意な分野で社会に貢献していく事でしょう。


 私の恋のライバルとして、姫様の気持ちの行き先を争った「藤本ナオト」は、中学時代は様々な女子と浮き名を流し、常に我々男子の中では、一歩先を行った存在でしたが、その後は県外の高校へ進学した様で、それっきりとなってしまいました。まあ、マイペースな彼の事ですから、何処に行っても宜しくやっていく事でしょう。

 しかし、そのため・・・、残念ながら、山口の思いは、その時に終わりを告げてしまった様です。


 そして・・・。

 今回の一件で、私と同じく、いや、私以上に心に深い傷を負ってしまった「石崎リョウコ」は、実に儚くも健気な時間を歩む事になります・・・。

 彼女は、親友の死を知り、一時的に狂乱にも似た悲しみを見せましたが、その後は平然を装いながら、私達との残り少ない中学生活を過ごしていきました。

 恐らく、その辛さが、ついに爆発してしまったのか、卒業式直前に私は彼女の抱えた、あまりにも大きな悲しみを知ることになります・・・。

 あの時、泣き狂いながら私に吐き出した「心の重荷」は、私にもとても耐えきれるものではなく・・・。その瞬間から、私達は同じ真実の重荷を分け合い、共有し・・・、そして一生背負い続ける事になります。


 しかし、どんな傷であっても、それは時間と共に少しずつですが回復していくもので・・・それが人間の強さなのでしょうが・・・・、後年、彼女と再会した折りには、お互いが冗談を言い合いながら、心から笑いあえる程になっていました。

 その際、彼女から将来の夢を語られたのですが、どうも本格的に音楽の勉強をしているようで、それを人々に教える仕事に就きたいとの事。

 彼女の学力であれば、別の様々な選択肢を選ぶ事が可能だと思いますが、あえてその中で、その道を選んだのは、あるいは私達の心の中にいる、あの音楽を愛した人の思いを受け継ぐという、強い意思があったからなのかもしれません。


 それぞれが、それぞれの道を歩む中、私もやはり、時を進めねばならず・・・。

 それがたとえ、どんなに煩わしい事だと感じても、時は無常に流れて行きます。




 そして、私の「その後」の話・・・・。



 「いや~、渡辺! 彼女ってのは、本当に良いもんだぞ~!」


 「はいはい・・・、本当に良かったな、犬飼。 それでも、流石に聞き飽きたぞ。(くそっ、いまいましい・・・。)」


 「はっはっはっ! そうだっけ? すまんねえ!」


 「(この七夕野郎が・・・。)それにしても、ジュンコちゃんだっけ? ちなみに参考までに聞くけど、この野郎の何処が気に入ったの?」


 「う~ん・・・。 全部かな?」


 「ああ、そうですか・・・。 ご馳走様です・・・。(一生やってろ・・・。)」


 その日、私は腐れ縁で、小学校から、ついには高校まで一緒になってしまった犬飼が、苦節十六年にして初めて、女の子から告白を受けて彼女を作るという快挙の喜びを、まるで毒霧の様に浴び続けていました・・・。

 この「ジュンコちゃん」という女子は、奇特な事に犬飼を見初めたわけですが、なかなか容姿宜しく、明るくて感じのよい子で、実に犬飼には勿体ない程でした。成る程、コイツが自慢したくなる気持ちも分かります。

 正直な話、このいまいましい犬飼の顔を見るのもウンザリだったのですが、それは羨ましさや嫉妬とは少し違う・・・、もっと投げやりな感情からでした・・・。


 「どうだ渡辺! 彼女は良いぞ~! お前も早く作れよ!」


 「簡単に言いやがって・・・。 俺がいくら望んだって、相手が居なけりゃ、どうにもなんねえべな。」


 「嘘付け。 そんな気もねえくせに。」


 「・・・。」


 「お前、まだ無理なの?」


 「無理も何も、元々俺がモテるわけねえだろ。そんだけだって。 それに俺は、お前と違って、いろいろ忙しいんだよ。」


 「そっか・・・じゃあ仕方ねえよな。 まあ、そのうち、俺がイイオンナ紹介してやるからさ!」


 「おうおう、お前もずいぶん出世したのう、コノヤロウ! ラブレター一通書けねえで、泣きついてきた昔が懐かしいぞ!」


 「なっ! バッ! こっこんな所でそりゃねえだろ!!!」


 「うははは! まあなんだ・・・、気を遣わせてすまねえな・・・、犬飼・・・。」


 「まあ、人生いろいろあるべ・・・。」


 この時の犬飼の気遣いは、大変有り難くもあり・・・、そして、苦しくもありました・・・。


 それから一年も過ぎた頃。

 高校も二年に進級し、本来であるなら、新しいクラスメイトとも慣れてくるぐらいまでに時間が経過した頃・・・。

 ですが、私はこの学校に入ってから、一部の旧友のごく僅かな付き合いを除いて、他の連中からは、完全に一歩引いた付き合いしか出来ていませんでした。


 (人と関わるのが煩わしい・・・。)


 荒んだ私の心には、この「学校」という集団生活に、かつての様な輝きは感じず・・・、単にストレス以外の何ものでもありませんでした。

 そのやる気の無さは徹底したもので、それこそ何かの歌じゃありませんが、「風が吹いたら遅刻して、雨が降ったらお休み」していた程でした。

 今考えると、いや、良く留年せずに卒業出来たものです・・・。




 そんなある日の事・・・。


 「ごめん、渡辺くん。 今日さ、歴史の教科書忘れちゃったの。 迷惑じゃなかったら、一緒に見せてくれない?・・・」


 そう私に話しかけてきたのは、この時たまたま隣の席に座っていた「和泉」という女子でした。

 彼女の事は、この時はあまり良く覚えていませでしたが、たしか一年の時から一緒のクラスで、エリやリョウコとはまったく違うタイプですが、なかなか可愛い子でした。

 鷲尾程ではありませんが、身長も高く、スラッとしていて見栄えの良い子で、残念ながら他人にまったく興味の持てなかった当時の私は、この時点でそれ程印象には残っていませんでしたが、恐らく、結構モテるタイプだったのではと思います。


 「ああ・・・、良いよ。 俺、ロッカーに教科書全部入れっぱなしだから。」


 「ありがとう! って、えーっ!それダメじゃん! それじゃ渡辺くん、家で全然勉強してないの!?」


 「まあ、気にすんなよ。 外せない宿題の時ぐらいは、ちゃんと持って帰ってるから。」


 「あはは・・・。 渡辺くん、それ、全然自慢にならないよ。」




 その日の昼休みの事。

 私はいつもの様に、一人で弁当を食うために、誰も来る事のない校舎裏の穴場に移動します。

 ここは本当に穴場のようで、それまでに誰もやってくるのを見た事がなく、私はここを「隠れ家」と呼んで、時間があれば、一人で只々、ボーっとした時を過ごす事が日課になっていました。

 ただ、この日は珍しく・・・、私の知る限りでは初めて・・・、私以外の来訪者が来たようで・・・。


 「へえ・・・。 渡辺くん、いつもお昼の時間になると居なくなると思ったら、こんな所で一人で食べてたんだ・・・。」


 「何だ、和泉か・・・。 何か用か?」


 「用って訳じゃないけど・・・。 ねえ、良かったら、一緒にここで食べても良い?」


 「ああ・・・。 別に構わねえよ・・・。俺の場所って訳でもねえから。」


 「あの・・・、さっきはありがとうね。 本当に助かったよ。」


 「大袈裟だよ。気にすんな。」


 恐らく、全てのキッカケは、この時の出来事が始まりだった様に思います。


 それから、彼女は毎日の様に、私の隠れ家にやってきては、一緒に弁当を食べ、そのうち、私の分までおかずを余計に作って、持ってきてくれる様になりました。

 正直、最初のうちは迷惑に感じていた彼女の来訪も、時が経つにつれ、何となくですが、楽しいものになっていきました。



 それからしばらくした、ある日の事・・・。


 「(やべえ・・・。英語の教科書忘れちまった・・・。

 昨日、つまんねえ宿題出たからなあ・・・。 ノートは・・・、あぶねえ、入ってた。)

 すまん和泉。 英語の教科書、一緒に見せてくれねえかな?」


 「仕方ない! 一緒に見せてあげる!」


 「何だよ、ずいぶんと恩着せがましいな。」


 「あはは! でも、ノートだけでも入ってて良かったね。」


 「ホントな・・・。 俺、英語の成績悪いから、あの先生には目付けられてんだよな。」


 「あはは! じゃあ、渡辺くんが教科書持ってくれる?」


 「ああ。悪いな、助かるよ。」


 「なんのなんの。 困った時にはお互い様ですから。あはは。」


 この頃から、私の荒んだ心に、彼女の明るい笑顔が染み渡る様になっていました。


 「あれ・・・・。 あっ・・・。」


 「どうしたの?」


 「いや・・・。 和泉の名前・・・、「エリ」って言うのか・・・。驚いた・・・。」


 「何で驚くの? それより、渡辺くんヒドくない? 一年の時から一緒なのに、私の名前、知らなかったの!?」


 「いや、悪い・・・。 俺、一年の時は、ボーっとして過ごしてたから・・・。 いや、今もだけどな・・・。」


 「あはは。 渡辺くんって、大人しいけど面白いよね!」


 「(大人しいか・・・。 そんな事言われたの、初めてだな・・・。 変われば変わるもんだな・・・、人間って。)

 良い名前だな・・・、エリって・・・。」


 「え!? そっ、そう!? 気にいって貰えて、何だか嬉しいよ。あはは。」


 そう言って笑う和泉の顔は、まったくタイプが違うはずなのに、何故かエリの、あのお人形さんの様な笑顔とダブってしまい・・・、私は複雑な気持ちになっていました・・・。


 「エリ・・・。」


 「え? 何、渡辺くん?」


 「あ、いや・・・。 ごめん、何でも無い・・・。」



 その帰りの事・・・。


 「ねえ、聞いた? 何か、となりの北高の番長になった人が、今校門に来てるんだって!」


 「うっそ、なんで? 北高って、この辺じゃ一番荒れてて有名なところでしょ!? 何の用で来たの??」


 「良く知らないけど、この学校に昔の友達が結構居るらしいよ。」


 「え~! 何か怖いね・・・。 裏門から帰ろうか?」


 (北高か・・・。 そういや、エーちゃんも北高行ったんだったな・・・。)


 そんな事を考えつつ、チャリンコを押しながら校門に向かいますと、確かに、一角に人だかりが出来ています。


 (俺には関係ねえな・・・。)


 そう思って通り過ぎようとしますと・・・。


 「渡辺!!!」


 「・・・。 何だ、エーちゃんじゃねえか・・・。 久しぶりだな・・・。 今日はどうした?・・・。」


 「あ、いや、ちょっと用事があるヤツが居てさ。 お前に会えるとは思わなかったけどな・・・。」


 「そっか・・・・。」


 「それにしても、ホント久々だな。 お前、全然連絡よこさなくなったし、それに、お前、少し変わったな・・・。」


 「エーちゃんこそ、えれえ出世じゃねえか。まさか、北高で番格になってっとは思わなかったぞ。」


 「そんなの、周りが勝手に騒いでるだけで、俺にゃあ関係ねえよ・・・。」


 「そっか・・・。 それじゃ、俺、行くわ。」


 「お前、まだ落ち込んでんのかよ。 お前のそんな情けない姿、成海だって・・・」


 「まあ、アイツの事は良いじゃねえか・・・。 頼むからよ・・・。」


 「渡辺・・・。」


 「悪りいな、エーちゃん・・・。 また落ち着いたら、連絡するからよ・・・。」


 「分かった・・・。 待ってんからな・・・。」



 結局・・・、その後、私が彼に連絡を取る事は、一度もありませんでした・・




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