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ネジ飛び姫  作者: もぐもぐお
最終章
61/85

62 「告白のノート 前編」

■5月○日

 今日はあいつのせいでひどい目にあった。

 まだ胸がむかむかする。ご飯も食べたくない。

 ラーメンなんて当分見たくない。

 渡辺は本当にいじわるだ。

 本当に私のことが嫌いなのかな・・・。


■5月〇日

 渡辺の大事な時計を傷つける。

 悪いと思ってるけど、素直に謝れない・・・。

 嫌われるかな・・・。


■5月〇日

 林間学校はパートナーとダンスをするらしい。

 仕方がないから渡辺と踊ってあげることにした。

 最近、渡辺はいじわるだから、仕方なくだけど。

 少し練習した方が良いかな?

 何のダンスだろう?


■5月〇日

 こういうことは昔からたくさんあったから、なれてる。

 けど、やっぱりつらいし苦しい・・・。

 大丈夫、私は強い。

 スカーフ、買いなおさないと・・・。


■5月〇日

 林間学校に向けて、しおりづくりを頼まれた。

 みんなに手伝ってもらえる。

 長い時間、みんなと一緒にいられる。

 楽しいことがたくさん続くと良いな。


■6月〇日

 林間学校は楽しかった。

 夜はタカコたちともたくさん話ができた。

 タカコは渡辺といつも一緒にいる兼末が好きなんだって。

 幼なじみで、小さいころから好きだったらしい。

 少しうらやましい。

 そういう人がいたなら、きっとさびしさなんて、何でもないんだろうな。


■7月〇日

 先生から学級新聞を作るようにいわれた。

 これはチャンスだと思う。

 友達をみんな巻き込もう。

 すこし遠くまで取材に出てみるのも良いかもしれない。

 明日、リョウコにも相談してみよう。


■7月〇日

 明日はお寺まで取材。

 みんなで出かけるのは初めてだからドキドキする。

 眠れるかな?

 でも明日は早く起きて、リョウコのお弁当を手伝わないと。

 もっとみんなと仲良くなれるかな?

 これをきっかけに、うちにも来てもらおう。


■7月〇日

 どうしよう・・・。

 私は渡辺が好きみたい・・・。

 もらったお守りは大事にしよう。

 急にああいうヒーローっぽいことをしないでほしい・・・。

 昔みたいでカッコよく見える。

 少し、胸が苦しい・・・。

 急にこわい・・・。

 嫌われたくない・・・。

 でももっと仲良くなりたい・・・。


■7月〇日

 渡辺とどういうふうに接したらいいのか、少し困る。

 普通にしよう。

 今までと変わりなく過ごそう。


■7月〇日

 夏休みに入ってしまう・・・。

 学校がなければ、また私はひとりだ・・・。

 とりあえず、渡辺の友達がバーベキューに誘ってくれた。

 休みのあいだも、いろいろ理由をつけて、みんなを呼び出そう。

 だいじょうぶ、私ならできる。

 リョウコも居てくれる。渡辺もきっと、また助けてくれる。

 それに、私は強い。


■7月〇日

 今日は先生にたのまれて引っ越しを手伝った。

 渡辺も来ていた。

 おかめうどんだって、なにそれ。

 久々にリョウコと協奏。やっぱりリョウコのピアノは心地いい。


■8月〇日

 今日は渡辺とふたりっきりで先生の手伝いをした。

 最初は緊張して苦しかった。

 渡辺もいやそうにしてたけど、結局は一緒にいてくれる。

 でも、バザーは全然売れなかった。


■8月〇日

 みんなでプールに行くことになった。

 リョウコと水着を買いに行かなくちゃ。

 どういうのが良いだろう・・・、むずかしいところだ。

 さりげなく、渡辺に聞いておけばよかったけど、むずかしいよね・・・。


■8月〇日

 渡辺は遊びのことなら何でも知ってるみたい。

 この間のザリガニもそうだけど、今回の駄菓子屋もベーゴマも楽しかった。

 一緒にいると、本当に楽しい。

 けど、明日はクッキーを焼かないと・・・。

 リョウコにいろいろ教えてもらったけど、うまくいくかな・・・。


■8月〇日

 結局、クッキーは失敗だった・・・。

 けど、渡辺はほめてくれた・・・。

 すごくうれしかった・・・。

 きっとお世辞なんだろうけど。

 普段いじわるなのに、急にやさしくなるから困る・・・。

 どうしていいか、わからなくて叩いちゃった・・・。

 嫌われたかな・・・。


■8月〇日

 渡辺がお祭りに行けなくなっちゃった・・・。

 せっかく浴衣も買ったのにな・・・。

 でも、渡辺にも渡辺の都合があるから、仕方ないよね・・・。

 お祭りは・・・私も行かなくていいかな。

 本当ならこうだったのにって考えちゃうのが、きっとつらい・・・。


■8月〇日

 もうどうでもいい・・・


■8月〇日

 だめだ、リョウコに甘えちゃう・・・。

 泣かないようにしないと・・・。

 私は強い・・・。

 けど、このおまじないを教えてくれたのもユキちゃんなのに・・・。


■8月〇日

 別に付き合ってるわけじゃない。

 けど、私が感じてた気持ちは、私だけなの?

 渡辺もそうだと思ってたのは、私の思い込みなの?

 もう昔の約束なんて、覚えてないんだし関係ないのかもしれない・・・。

 けど、やっぱり嫌だ。

 リョウコはどこまでも私に味方してくれる。

 それに甘えると、渡辺が悪いんだと思えてくる。

 でも、きっとそうじゃないよね・・・。

 頭ではわかってる・・・けど、感情が追い付かないよ・・・。


■8月〇日

 休みが終わる・・・。

 本当ならうれしいはずなのに、渡辺に会いたくない・・・。


■9月〇日

 渡辺はいつも通りだった・・・。

 私が悪いのは分かってる・・・。

 けど、やっぱり許せない・・・。


■9月〇日

 渡辺と仲直りできた。

 きっとリョウコがいろいろ力になってくれたんだと思う。

 思いっきり殴ってやった。

 本当にすっきりした。

 でも、やっぱり私は渡辺が好き。


■9月〇日

 タカコと兼末のことは上手くいった。

 タカコが少しでも幸せになれたらいいな・・・。


■9月〇日

 渡辺にけがをさせた・・・。

 私は本当に最低だ・・・。

 体育祭も、あんなに練習してたのに、台無しにしちゃった・・・。

 けど、渡辺はどこまでも優しくしてくれた・・・。

 本当うれしい・・・。

 そして、自分がなさけない・・・。


■9月〇日

 文化祭で渡辺とふたりで演劇をやることに。

 また楽しくなる。

 ずっと続いたらいいのにな・・・。


■10月〇日

 シズカがあんなに傷ついたのは、きっと私のせいだ・・・。

 私がもっとうまくできていれば・・・。

 ごめんね、シズカ・・・。


■10月〇日

 明日は渡辺とふたりだけで稽古だ。

 私だけが楽しくていいのかな・・・。


■10月〇日

 劇は大成功!

 本当に無事に終わってよかったー!

 けど、楽しい時間はすぐに終わる・・・。

 頑張ろう。

 私は強い。

 私はずっとずっと、みんなと一緒にいたい。

 ここが私の居場所。私がいていい場所。


■12月〇日

 藤本から告白される。

 こたえてあげることはできない・・・。

 これでもう、友達としても無理なのかな・・・。

 うすうすわかってた・・・。

 私が藤本のやさしさに甘えてた・・・。


■12月〇日

 予定通り、週末はクリスマスだ。

 タカコと兼末は絶対にうまくいく。

 あのふたりは絶対に幸せになる。大丈夫。


■12月〇日

 あにあれ、最悪だ!

 ずっと待ってたのに、なんなの!

 全然カッコよくないし、ロマンチックでもない!

 でも安心した・・・。

 私の勘違いじゃなかった・・・。

 だけど、もう一回やり直しさせようっと。

 タカコたちもよかった・・・。

 きっと、もっともっと楽しくなる。


■12月〇日

 どういうことだろう。

 自分で告白したくせに、なにもないんだけど。

 バカなの?

 リョウコに相談しても、渡辺なら仕方ないだって。

 しょうがない、私から頑張ってみるか・・・。


■12月〇日

 リョウコは本当に強い・・・。

 私は新しい家族を受け入れることができなかった・・・。

 私ももう少しがんばったら、変わったのかな・・・。

 リョウコの今のお母さんは本当にいい人。ステキな人。


■12月〇日

 楽しかった・・・。

 私は本当に幸せなんだって実感した・・・。

 けど、100点じゃない。

 これはデートなのか?って、バカなの?当たり前じゃん。

 少し、先が思いやられる・・・。


■1月〇日

 今日はずっとずっと渡辺が一緒に居てくれた・・・。

 目が覚めた時、誰かがいてくれる・・・。

 こんなに幸せなことだったんだ・・・。

 ありがとう、本当に大好きだよ。


■1月〇日

 今日は奇跡的なものが見れた。

 渡辺は雪の境界線って言ってた。

 でも、私の方が綺麗だって。

 うれしいけど、はずかしいよ。


■1月〇日

 シズカを好きと言ってくれた子は、本当にいい子だった。

 あれなら安心してシズカを任せられる。

 シズカはどうなんだろう?

 前回の失敗がある。まだまだ慎重にやろう。


■2月〇日

 明日はみんなでバレンタインのチョコづくり。

 シズカも決心したみたい。本当に良かった・・・。

 私は義理チョコだけ作る予定。

 渡辺にはチョコはあげない。

 だってあいつバカだから、ちゃんとしないと進展しない。


■2月〇日

 まだドキドキが止まらない・・・。

 思い出すとはずかしい・・・。少し苦しいぐらい・・・。

 でも後悔はない。私は本当に幸せなんだなって思えたから。

 なんだろう、私はもうひとりじゃないって実感できる。

 こんなことになったんだから、渡辺には責任とってもらう。

 絶対に、あの約束を守ってもらう。

 忘れてるみたいだから、そのうちに思い出させよう。

 本当は自分で思い出してほしいけど・・・、バカだからなあ・・・。

 でも、世界一愛してる。


■2月〇日

 ヨウコの相談は他人事とは思えない・・・。

 できる限り力になりたい・・・。

 どうせ離れてしまうから無駄とかは思いたくない・・・。

 それなら私は何なのだろう・・・。

 無駄なんかじゃない・・・。

 私だって、生きてる。ちゃんと居ていい場所に生きてるんだから・・・。


■3月〇日

 最悪だ・・・。

 目に焼き付いてる・・・。

 同じものなのに、どうして全然違うんだろう・・・。

 気持ち悪い・・・。

 渡辺は頼りになるけど、たまに肝心な時に役に立たない・・・。


■3月〇日

 渡辺にいじわるされる・・・。

 何にもわかってない。

 でも悔しいから、漢字を少し勉強しよう・・・。


■3月〇日

 渡辺と一緒に鎌倉に行くことになった!

 なんでこんなにうれしいことばかり提案してくれるんだろ?

 私は本当に幸せ・・・。

 全部任せておけというから、任せちゃうけど、お弁当ぐらいは作ろうかな。

 頑張ってみよう。


■3月〇日

 お弁当を作ると言ったら、お昼はお店で食べようと言われる・・・。

 そこだよねえ・・・。わかってない。

 でも、朝ごはんはパンでも食べようと言ってたから、おにぎりぐらい作ろう。


■3月〇日

 本当に楽しかった・・・。

 また行きたいな・・・。

 また行けるかな・・・。

 私はいつまで、ここにいられるんだろう・・・。

 考えたくない・・・。

 みんなと一緒に居たい・・・。

 だめだ、楽しいことがあると、その反動で気持ちが落ち込む・・・。

 大丈夫、私は強い。

 それにしても、やっぱり約束は忘れてる・・・。


■3月〇日

 渡辺はいろんな人にいい顔をしすぎると思う。

 女ったらしとまでは思わないけど、面白くない。

 面白くない。

 面白くない・・・。

 でも吉川さんが卒業したのは、少し気分が良い。

 あの人、絶対に渡辺を気に入ってるから。


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