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自殺名所の営業マン(霊)??  作者: 井戸端 礼
9/10

帰ってきた少年の決意

その頃、少年はケイに言われた通りの道を歩き、無事に樹林を脱出して

駅に着いていた。始発の電車にはぎりぎり間に合ったようだ。

電車に乗り今日の事を思い返す。

(あの出来事は、夢なのかな?でも確かに見えたような?あのオジサン

は会社へ戻ったのかな?僕が死ねば、人間に生まれることができたのに

・・・・。死ねば何でも解決すると思っていたけど、そんな簡単な話

では、ないようだし・・・)

窓を眺めながらそんなことを考えていると、眠気が襲ってきた。無理も

ない、昨日から実質一睡もしていないのだ。徹夜をしたようなものだ。

ただ、彼も降りる駅を通り過ぎるわけにもいかないので、なんとか眠気

を我慢して、なんとか到着駅まで起きていることができた。

駅を降りて家に向かう。家は駅から歩いて15分位なので、そんなに

遠いわけではない。家に着くと鍵がかかっていたので、鍵を開ける。

家に入ると、居間では父が酒を飲んだままソファで寝ていた。

(いつものことか・・・)特に気にすることもなく、彼は2階にある

自分の部屋へ行くため階段を登った。2階に上がり、自分の部屋のドア

を開けようとした時、突然となりの部屋のドアが開いた。母だ。

「あれ、どこか出掛けてたの?夜遅くまで何してんの?」

そういうとドアを閉じて、また寝てしまったらしい。

母は、友達の家にでも、行って遅くなったとおもっているらしい。

僕が自殺をしようと思って樹林へ行ったなんて考えてもいないだろう。

部屋に入る。いつもの見慣れた風景。何一つ変わっていない。とにかく

少年は眠たかった。服を脱いでベッドへ潜ると、そのまま死んだように

眠りについた・・・・。

「よお!お前は馬鹿だな・・。せっかくいいこと教えてやったのに、

こっちの世界へ来るんだからな.]

「何言ってんだよ、僕は家に帰って寝てるだけだよ!おじさんなんで、

ここにいるんだよ!」

「まあ新しい客探しにと、思って流れてきたときに、お前の家に来た

もんだから、寄ってみたらこんなことになってるなんて・・・・。」

「だから死んでないって!夢だよ、夢。」

「残念だった・・・。こんなことならお前をあの時こっちの世界へ、

引っ張っておけばこんなことにならなかったのに・・。」

「だから夢だよ!夢!僕は死んでな~~~~~い!」


!!

絶叫と共に目を覚ました。あたりは暗くなっている。カーテンも閉めず

に寝ていたらしい。時計を見ると午後11時。実に半日以上は楽に寝た

計算となる。結局、日曜日の休みを寝て終わらせてしまった。

もったいない気も少ししたが、別にいいかとも思った。起きてたって、

やることなんてゲームをするか、動画を見るくらいしかない。そんな

ことはいつでもできる。ただ、半日以上寝ていたので、体の疲れは

取れたような気がする・・。

(僕はこれから、どう生きていくべきか・・・?)

最初に考えたのはその事だった。本来予定通り事が運んでいれば、少年

はこの世の人間ではなかったのである。それが結果として今も地に足を

つけて生きているのである。予定も何もあったもんじゃない。

だけど、これからも生きていかなくてはいけない。自分の人生を全う

すると決めた以上、今の状況がどうであれ、前に進むしかないのだ。

家に入り、ベッドの中に入っても、思い起こすのはあの時の風景。

あの時に、彼が言っていたセリフ「自分にも輝ける場所がある」

そんな場所が、僕なんかにあるのか?そう思うとまた心が暗くなって

くる。それを何度か繰り返し思い起こしてはまた暗くなる。

その時だった。結論が浮かんだ。

「結局、今、自分が一番やりたいと思うことを、夢中になってやること

だ。どんな目に遭おうが、どんなつらいことがあっても」

そうすることにした。それ以上は今の自分から答えを出せなかった。

「だって、約束?したんだ。僕は最後まで生きるんだって」

?というのは約束したかどうかは覚えていないから付け足した。

何はともあれ、少年は人生の再スタートをきることにした。

その後のどうなったかって?それは次回。


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