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自殺名所の営業マン(霊)??  作者: 井戸端 礼
10/10

エピローグ

朝、ガラス越しに入ってくる日差しが眩しい・・。


ここはアメリカの某所。会社内の個人部屋で起き上った

その青年はそう思った。今年からヘッドハンディングされて、

彼は今、アメリカのIT会社で技術職の一人としてあるソフトの

作成に携わっている。昨日はそのソフトのプログラムを夢中にやって

しまい、気づいたら朝だったというわけだ。目覚まし変わりに朝の

コーヒーとサンドイッチを頬張りながら。ふと彼は思った。

(思えば、こんなところで自分が仕事をしているなんて想像しても

いなかったな・・。)

彼とは、あの時の少年である。それでは簡単に彼の身に何が起きたの

か追ってみよう。

あの後も、苛めは続いていた。というかむしろ激しさは増していたかも

しれない。その度に、もう死にたいと何度も思ったのだが、彼はその時

には必ずあの樹林であった、ケイの言葉を思い出していた。

「どんな人間にも、輝ける場所はある」

その後、苛めを逃れるためというのも含めて、図書室で独学するように

なっていた。そこで色々な本を読んでいく中、結構いじめられていた偉

人が多いことに気づく。ケイが言っていた「バランスの法則」というの

が確かに存在すると思うことにしたのもこのころからである。独学とは

いえ、勉強し続けた効果は大きく、高校はレベルの高い進学校に合格

することができた。ここで高校生活で、劇的に人生が変わればいいの

だが、性格的なものもあるのか、ここでも苛めの標的になってしまう。

しかし中学校時代と違い、ここで何人かの友達ができたのが良かった。

図書室で独学することもあったが、教室で勉強できるような状況に、

変わっていくのはそう時間がかからなかった。また勉強も今まで以上に

やっていくなか、理系の大学へ進学して、さらに就職も日本で中の上と

言える大手のIT企業へ就職。そしてそこで自分の才能が開花したのか

、社内で実績をあげるようになり、数年したところでアメリカの企業か

らのオファーを受けて、今年の春から赴任をしたというわけだ。

周りを見ても、彼以上に出世した人間は中学、高校の同期生には一人も

いない。当時の彼を知る人間にしてみれば、皆驚くことだろう。

「ハ~イ、調子はどうだい」

ドアをノックして入ってきたのは、会社の同僚。気さくな性格で、結構

気が合うのか、よく自分の部屋へ入ってくる。

「また、徹夜しちゃったよ。少し休んで再開するさ」

「あまり無理するなよ。君がいい仕事してくれるのは上司もわかってる

から」

彼はこの会社に来てからも、只ならぬ貢献しており、会社でも、引っ張

ってきて良かったとの評価も高い。

「こうして仕事できるだけでも幸せだと思ってる。こんな人生を送れる

とは昔はとても思えなかったから。」

「そういえば、前に聞いたけど一度死ぬつもりでいたらしいな」

「ああ、でも死ななくてよかったよ。こうやって自分らしく輝いていけ

る場所で、君のような素敵な人間と一緒に仕事できるわけだから。」

「そんなこと言われたら、今日のランチ奢ってやんなきゃいけないか。

「期待してるよ」

「それはともかく、急ぎの仕事じゃないからじっくりやんな。じゃあ

昼頃迎えに来るよ」

「オッケー」

そういうと、同僚は出て行った。

椅子に座り、彼はふと思うのだった。

(これからも、色々つらいことや大変なことがあるのかもしれない。

それともあのおじさんにいったように、このまま穏やかな一生を歩める

のかもしれない。そんな未来のことはわからない。やるべきことは自分

の物語を最後まで全うすることだ。最後は五分五分か少しプラスになる

そうだよねおじさん)

ガラス越しに眺める風景は街中高層ビルの摩天楼が広がっていた。

彼はこれからも、自分の輝ける場所において、人生に立ち向かっていく

のだろう。もう彼は人生の勝利者になれたのかもしれない。

あきらめない限り。絶望しない限り。




この物語の主題は、自殺ということが、決して解決策ではないことと、

現実のいじめが一生続くわけでは決してない!ということ。

そして、どんな人間にも自分の居場所というのがあるということを

小説という形で書いてみようとおもって作成しました。

なんか説教臭い話になってしまった部分もあり、反省してますが、

内容的にはわかりやすく書けたかなとも思っています。

読んだ方の感想や、批評をお待ちしてます。

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