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②あの子が好きすぎて

「寝よ…」


(電車に揺られながら居眠りをしてしまおう)




電車の座席に座っている二人は社長と秘書、会話など滅多にしない。

しかし今日はその滅多な日。


「社長、何を見ているんですか」

眼鏡の男は社長である焦げ茶の髪の男、いつもクールな社長がいつも以上に威圧的かつ眉間の皺を深めながらじっとモニターを見ていることが気になった。


ノートパソコンの画面に目の前の少女の寝顔がうつっている。

あくまでうつっている。

撮ったり録画をしたりではないためギリギリ盗撮ではないにしろ、この社長が真顔でやっているのが恐ろしく思う。


皺がどうより、血管が心配になり秘書は声をかけた。

「何故この少女は無防備に居眠りをしている?」

社長はなぜそこに意識が向いたのだろう。

秘書は一生かかっても解けない謎に出くわした。


「電車内の居眠りは普通ですよ」

「…はあ」

聞きたいのはそこじゃねえんだよ、とでも言いたげな溜め息だ。


「あの可憐な少女を襲おうと思う」

「なぜ!?」

「顔がタイプだった」

「いや、だめですって社長を犯罪者にするわけには…」

「突撃してくる」

「待て待て待て」

「なぜ止める」

「せめて電車内はやめてください」

「皆寝てるぞ」

「なんで!?あんたら居眠りしすぎだろ!!」


「いざとなれば金で解決する」

「百歩ゆずってあの子が社長を好きにならない限り、俺は止めますからね!!」

「お嬢さん」

「イケメン!?目の前にイケメンがいる!?ああ、イケメン貴方はどうしてイケメンなの?」

「変な子だったああああ」

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