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自宅諜報員~家族をスパイ~
私は家族を信用していない。
なぜなら怪しいからだ。
丸一日会話を盗み聞くことが毎日の日課である。
盗聴機を使わない古典的な方法なので食事はサプリメントとゼリー飲料。
本当はステーキやアイスクリームが食べたいのを我慢して、怪しい会話をしていないか探るのだ。
と言っても私はスパイごっこを始めてまだ一週間にも満たない。
この不肖、今日からスパイ、始めます。
さて朝になって両親が起床してくる時間になった。
両親が部屋から出るまで扉の裏に張り付いておけばきっとバレないだろう。
「おはようあなた。食事は買って食べてね」
――――――え?
「…」
もしかしなくても夫婦中が悪い。
私の前では仲がいいのに、どうなっているんだろう。
仮面夫婦だったのか、知らなかった。




