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少年と少女のお話

田舎の少女

作者: 丸山円子

またしても迷走しながらなんとか書ききれました。

むかし、日本のあるところの

谷の水が美味しい田舎に住んでいる少女のお話です。


おばあさんがまだ少女だったころ

日本は戦争をしていたそうです。


と言ってもおばあさんが住んでいた田舎は

水と空気が美味しい以外に特になにもない田舎だったので、戦争中でも空襲もなく農家も多いの飢えるほど空腹になるわけでもなく過ごしていたそうです。


ある日おばあさん達が山で山菜を取りにいくと

上空に飛行機が飛んできました。

「B29だ!」

と誰かが叫んで木の影に隠れて無事に過ぎ去るのを待っていると

飛行機からパラパラと何が落ちてきました。

爆弾かと身構えましたが、それは手のひらほどの紙切れで片仮名で

『ニホンゼンコクカミノクニ。シチガツハチガツハイノクニ。』

と書かれていたそうです。


家に持って帰るとお父さんから

『アメリカ人の落としたものなんて縁起が悪い!さっさと焼き払わんか!!』

と叱られ釜戸にくべられましたが

今、思えばそれは原爆のことを示唆していたのではないかといいます。


1945年8月の6日、9日と続けて広島・長崎に大きな爆弾が落とされました。

8月15日に終戦が告げられます。

大人が涙を流し、重々しい雰囲気の中で

「これからどうなるんだろう」

とおばさんは不安を募らせたそうです。


終戦から数日も経たない頃

学校に行くと先生から

「アメリカから日本のお腹を空かせている子供たちのために食糧が届きました。感謝をして受けとりましょう。」

と言われ袋に入った菓子パンのようなお菓子を貰ったそうです。戦争中は嗜好品は贅沢なものであまり口に出来なかったため教室で直ぐに食べてしまう者、休み時間の度に鞄から出して見てみる者と各々に大層喜んだそうです。


おばあさんは、これは珍しい食べ物だと思い

すぐに食べずに家に持って帰り、お父さんに

「これはアメリカ人が日本の子供たちのためにくれたものだよ。」

と報告してから食べたそうです。とても美味しくて

今でもあれほど美味しいお菓子を食べたことはないと言っています。アメリカ人はあんなにいいものを食べていたのだから日本が戦争に負けてしまうはずだ。戦争が終ったお陰でこんなに美味しいものが食べれる。戦争が終わって良かったと喜んだそうです。なんて単純な奴なんでしょう。




おばあさんの家の玄関の近くの壁には

奇妙なお面が掛かっています。見た感じ呪術にでも使うのかというような気味の悪さです。

小さい頃の私は、怖くて直視することも出来ませんでしたが、獅子舞にも泣かなくなるくらい大きくなった頃、ふと思い触ってひっくり返してみました。

そこには『ニューギニア』とマジックで書かれていて一体これは、なんなんだとおばあさんに訪ねました。


親戚が旅行に行った際におみやげで買ってきたものだとおばあさんは答えました。

私は小さいころからこのお面が怖くて嫌いだったと言うと、おばあさんが少し声を落として話し出しました。


おばあさんは末っ子ですが、むかし年の離れたお兄さんがいたそうです。しかし、お兄さんは戦争中に兵隊さんにとられて戦地に行ってしまいます。ある日家に帰るとお兄さんの戦死を知らせる紙切れと小さな勲章、灰と土が入った壺のようなものがあったそうです。紙には戦死した場所はニューギニア島と書かれてありました。骨の一欠片も帰って来ず、何が勲章だと思いながらお葬式をあげ、どうしようもないのでその土を骨壺に入れて供養したそうです。

おみやげで貰ったものがニューギニアのものだと知り、おばあさんは壁にかけてたまに手を合わせながらニューギニアに眠っているであろうお兄さんを思い出すそうです。

自分はもう歳をとって現地にはいけないけど、現地の人が観光客ように日本兵の遺骨を集めたお墓を掃除してくれているらしいことを話すおばあさんの声は懐かしそうな、嬉しそうな、寂しそうな声でした。


おばあさんは戦争について悲しい話をするのははじめてだったので、私はおばあさんに戦死したお兄さんがいたことを初めて知りました。

子供のころ、仏壇の引き出しに2つの勲章が入っているのを見つたとき、私は飾ればいいのにと思いましたがおばあさんは

「それは縁起の悪いものだからあまり触らない方がいい」

と言ったのでそっと元に戻しました。

きっとおばあさんにとっては、大事な家族の命と引き換えとなった小さな勲章は誇らしいものではないのかも知れません。


もしもかして、日本が戦争に勝っていたら飾られていたのかも知れません。


少女だったおばあさんは今も谷の水が美味しい小さな田舎に住んでいます。

おばあさんのお兄さんは遠く離れたニューギニアの大地に眠っています。



つたない(ひどい?)文章を読んで頂きありがとうございました。特に深い意味なく、ありふれたお話がなんとなく消えてしまわなければいいなと書きました。文法などの誤り史実と違うなどあればご指摘頂けるとありがたいです。

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