表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/50

06.謝る妹

一旦は覚悟を決めたグレイスだったが、夜会への馬車の中で考える時間が出来てしまうとまた不安が押し寄せてきた。余計なことばかり考えてしまう。


人の集まる所が苦手な上に、久しぶり過ぎて勝手を忘れているかもしれないのだ。真っ当に振る舞えるはずがない。何をどう話せばいいのだろう。いや、それ以前に声が出せるのだろうか。ちゃんと立っていられるだろうか。また失態を見せてしまったらどうしよう。自分だけならまだいいけれど、妹にまで恥をかかせてしまうかもしれない。

馬車が揺れるたびに、どんどん気分が落ち込んでいく。


もうそろそろ到着するという時だった。

馬車の中はグレイスの緊張と不安で重い空気が立ち込めていた。

向かいに座っていたシャーロットも珍しく黙っていたのだが、ふいにポツリと呟いた。


「…ごめんなさい」

「え?」


その声は小さく、馬車の音にかき消されそうになり、グレイスには聞き取れなかった。

シャーロットの方を見ると彼女は少し俯いている。


「ごめんなさい。お姉様。こんな風に強引に連れてきてしまって…。怒ってるわよね…。…でも…こうでもしないと…駄目だって思ったから」


いつになく気弱な妹の姿にグレイスは狼狽えた。


「怒ってなんかいないわ」慰めるように言う。


「私…お姉様が大好きよ」


「わ…私も貴女が大好きよ。自慢の妹だもの」


「…有難う、お姉様。

……やっぱりグレイスお姉様は幸せにならないといけないわ」


その時馬車は止まり、御者が扉を開けたのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ