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17.気持ち

「お姉様、彼と上手くいっているみたいね。」


シャーロットがグレイスの部屋にやってきて嬉しそうに言った。


「ええ、まぁ。」


グレイスは少し目を逸らして答えた。

エドワードが上手くやってくれているおかげで、仲良くやれている。けれど所詮偽の恋人同士だ。

複雑な気持ちだった。今更ながら妹をはじめ周りを偽っていることに罪悪感を覚え始めていた。

喜んでもらえればもらえるほど、後ろめたさが増してくる。

自分までも偽っている。

エドワードに優しくされるとどうしようもなく嬉しくなって、彼が本当の相手だと錯覚してしまう。彼は親切で演じていてくれているだけなのに・・・。

いつか終わりが必ずくる事を思うと悲しくなる。


「エドワードはとてもいい方のようね。」


シャーロットが言うと、グレイスの顔が途端に明るくなった。


「ええ、とっても。あんなに親切な人は他にいないわ。エドワードはとても話しやすいのよ。そんな男性今までいなかったわ。それにね、なんだかね、彼といるとふわふわした気持ちになるのよ。おかしいでしょう?」


「ふふ、そうね、お姉様は最近少し変わったわ。」


「え?本当?やっぱり浮かれ過ぎているのね、私。気をつけないと。」


「あっ、そうじゃないの。いい意味で変わったのよ。幸せそうだもの。」


「ああ、それはきっとエドワードのおかげね。」


何の照れもなくそう言うグレイスにシャーロットは少し驚いてしまう。恋愛事には疎く、ちょっとでもそういう話が出るといつもは恥ずかしそうにするからだ。

姉は周りの人の気持ちに関しては人一倍敏感だが、反面、自分の事になると恐ろしく鈍く、なおざりなところがある。いつも自分の事は二の次に考えているからだろう。それは彼女の長所であり、シャーロットが姉を好きな理由のひとつであったが、恋愛においては命取りになる可能性がある。一体姉はどこまで自分の気持ちを自覚しているのだろうか。少し歯痒くなる。エドワードの名を口にする時の表情を一度鏡で見てみればいいのにと思う。


シャーロットはどうか姉のこの気持ちが無事実りますようにと強く強く願わずにはいられなかった。

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