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10.慰め

グレイスがそっと抱きしめると、シャーロットは泣き腫らした顔をグレイスの胸に埋めた。

まるで子供をあやす様に頭をポンポンと軽く叩くと妹は更に深く顔を埋めてしがみついてきた。

子供の頃と同じね…。

両腕で包みこむと温かな感触に懐かしさを覚える。

子供の時のシャーロットは強情っ張りなところがあって、一人で拗ねていることがよくあった。そういう時はたいていグレイスが宥め役になっていた。抱きしめて慰めてあげるとすぐ元気になる妹に、仕様のない子だなぁと思いつつも、姉らしいことができている様な気がして嬉しかった。


今姉として私がしてあげられることは何なのだろう。



「ねえ、シャーロット。本当はウィリアムと早く結婚したいのでしょう?」


「それは…」


「彼といると幸せなんでしょう?」


シャーロットは急に顔を上げて言った。


「ええ、とても。彼と出会えて、世界が変わったもの。彼が大好きだもの。こんなの今まで感じたことがないわ」


「ふふ…あなた、それただの惚気になってるわよ」


「だ…だって本当の事だもの。だからお姉様にも…。あ…私ったら…もう何も言わないって約束したのに…ごめんなさい」


「ううん、いいのよ。あなたがここまで言ってくれるんだもの。何だか少しやる気が出てきたわ。私がひとりで構わないって思ってたのは、自分が誰かとどうにかなるなんて無理だって諦めてたからなのかもしれない。自分に自信がないだけのよね。出来る事なら変わりたいわ。もう少し頑張ってみるわね」


何よりもこのかわいい妹の思いに応えてあげたい。


「え?」


「私も惚気れる様な相手が見つかるよう頑張ってみるから、あなたは、私のことは心配しないで素直に結婚しなさいね」


「……。お姉様」


「知ってる?私だってあなたの幸せを誰よりも願っているのよ?」


シャーロットは困ったような喜んでいるような顔をしている。


「いい?ちゃんと結婚はするのよ。ウィリアムをもう待たせちゃだめよ。分かった?」


シャーロットの顔を覗き込むように見つめて言うと駄々っ子はやっと言うことを聞いてくれた。



「…はい、お姉様」


姉はもう一度妹の頭をポンポンと優しく叩いてあげた。

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