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4話

や、やぁ……


「……」


次に少女と会えたのは、しばらく経ってからだった。

毎日通っていたのだがなかなか姿を見せてくれず、もう二度と会えないと思っていたので、やっと見つけた少女の背中に僕は慎重に声を掛ける。

そんな僕の心情を知ってか知らずか、少女のじっとりとした目とがこちらを向く。

いつものように胡坐をかいて座るってみるが、猫は少女の隣を離れなかった。

やはり、嫌われてしまったのだろうか……


「……何しにきたの」


言葉はいつもよりトゲトゲしいが、言葉の雰囲気は弱弱しい気がする。

何しに、と言われても困ったものだ。

答えは一つしかないのだから。


そりゃ、キミに会いに


当たり前じゃないかと言わんばかりの僕の言葉に、少女はパーカーの帽子をぐっと引いて顔を隠した。

その行動に何の意味があるのか、僕には分からなかったが……少なくとも嫌悪は感じないのでよしとしよう。


「ニャー」


猫が少女を心配するように一鳴きすると、少女はそれに答える様に猫の頭を撫で、そのまま手を下にずらして行って猫を持ち上げた。

少女が持ち上げると、猫は鳴き声一つ漏らさないらしい。

そのまま猫を運ぶと、少女は僕の目の前にポスンと腰を降ろした。

いつもの逆パターンと言った感じで、少女の膝の上に猫が乗り、その目の前に僕がいる。

これはつまり、そう言う事なのだろう。


……よしよし


僕は手を伸ばし、猫を撫でる。

猫を撫でていた、はずだったのに。


「……っ!」


「ナーゴ」


僕の手は真っ直ぐと、自分の思っていなかった場所へと伸びていた。

少女の頭を優しく撫でると、ふかふかの猫耳パーカーの感触。

これはやってしまったな、またしばらく会えないのかな、などと考えていた僕の想像と少女の反応は少し異なっていて、恥ずかしそうに上目使いにこちらを見ていた。

猫も今日は邪魔をする気は無いらしく、少女の膝上にごろんごろんと頭を擦り付けている。

しばらくそうして、時間が過ぎていった。

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