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beginning take 6
「今日はわりと落ち着いているわ。くれぐれもアプローチには細心の注意を払ってね。」
アニカの許可をもらい、ポーラと話してみることにしたんだ。特に理由なんてないんだけど、なんとなく話しをしたかったのが理由かな。
そっと、彼女のいる病室へ入る、もちろんアニカには同行してもらう事にした。一人じゃまだまだ不安だし…
「気分はどう?体調は?」
アニカがポーラに色々話しかける。
「…ええ、大丈夫。」
漸く聞こえるかな位のか細い声を、絞り出すかの様にポーラはアニカに答えた。
「あのね、今日は出来るだけ話しをしてほしいの、何でもいいの、話しをして、彼相手に。」
アニカがそう伝えると、ポーラはゆっくり俺のことを見たんだ。その目は瞼がどんより下がり、くまは出来、焦点が合ってるのか定かではないくらい虚ろではあったが、瞳の色は普通に黒かった。
「…何から話しますか?」
徐々にでいいんだよ!
取り敢えず彼女のペースに委ねる事にしたんだ。