表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
限界  作者: りらいず
8/13

愛原視点【2】

-四月八日 U学園中学校 二年D組 教室 始業式から数時間後-




 ハズレ・・・担任発表の時からそう思っていた。この担任は「ハズレ」だと。


直樹の予想通り女性であることはあるのだが、どこか挙動不審で、何かに怯えているみたいで正直これが「教師」だとは思えなかった。

直樹もがっかりした様子であった。



「そ・・・それでは・・・しゅ・・・出席を取ります・・・!」





怯えた声で、ある一点を見つめながら、鶴瀬先生はそうつぶやいた。


「あ・・・・愛原・・・君」



「はい」

俺は愛想悪く、でも少し大きめに返事をした。



正直この担任と「お近づき」にはなりたくなかった。




相変わらず鶴瀬先生はある一点を見つめている



「あ・・ああかくら・・赤倉・・・くん」

「はーい」と、直樹はいかにもつまらなそうに返事をした。




 そのあとも、淡々と、怯えながら出席を取っていった鶴瀬先生だが、ある生徒のところで急に声が止まった。







「っ・・・っ・・・・っ・・・・・っ・・・・・・・」

声にならないような声で、俺には泣いているようにも聞こえた。





「き・・・桐生きりゅう・・・く・・ん・・・」

以前にも増してか細い声で彼女はそう言った。




「はい!先生。一年間よろしくおねがいします♪」

桐生は満面の笑顔で担任の出席に答えた。



その反対に鶴瀬先生の顔はみるみるうちにひきつっていった。

桐生 春哉しゅんやという人間を、俺はよく知らなかったが、ここまで教師に対して愛想良くしていたのは初めてであった。

桐生は、何かを企んだ子供のような目で笑っていた。






その時、急に鶴瀬 由利は悲鳴をあげ教壇の上に倒れた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ