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『先生、仕事ですか?恋ですか?』――女性が苦手なTL作家は、なぜか私にだけ距離が近い   作者: 古東 白


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15話

「え?えと……『夢見る乙女の王子様スマイル』で、お願いしますって」


盛大なため息をつかれた。

何なのよもう。

……あっ!


「先生、すごく素敵です。私、男性のそういう柔らかい雰囲気のコーデ、好きなんですよね」


これはすごく本音だ。

綾野先生の見た目と、柔らかいニットと色合いが相まって、雰囲気を優しくしている。


「そんな煽てたって……撮影、ちゃんと見てろよ」

後ろを向きながら、そう答えた先生は耳が赤い。

褒められ慣れてるくせに。結構、照れ屋だよね。


「桜ちゃん。私も一緒に見ていいかしら?サクったら、張り切ってるわね」


快諾して、隣にずれて場所を譲った。

詩織さんは、楽しそうに先生を見ている。


先生、張り切ってるんだ?

私が見てもわからないけど、詩織さんが言うならそうなんだろう。

もっと、先生のこと理解したら――執筆の役に立てるのかな。


視線の先には、撮影セットでスマートにポーズをとる先生がいる。

シャッターが押される合間の表情は……ちょっと、読者には見せられないけど。

でも、あの表情も先生だし。カメラに向ける外面の表情も、先生だ。


「サクは、読者モデルをした事もあるから慣れてるのよ。まあ、私が無理矢理だけど」

詩織さんは、ふふふ。と笑った。


イケメンあるあるですね、それ。


「メンズファッション系ですか?」

そう聞いたら、詩織さんが一瞬ビクッとした。

変なこと聞いてないはず。


「あ、あー……まあ、そうね」

何か濁された。


ファッション雑誌でないのかな――どんな雑誌?


撮影が一通り終わり、画像をチェックする。

宮古先輩と詩織さんが、一枚ずつ真剣な顔で見ている。

私も見せてもらったけど、別人のようにキラキラスマイルだった。


「誰ですかこれ?」

「俺に決まってんでしょ。急に目が悪くなったの?」


あ、写真が喋ってる。

本当だった。


「綾野先生。完璧ね、さすがだわ」

「サク、良く撮れてたわ!」


先輩と詩織さんに褒められて、満更でもなさそうだ。


「当たり前だろ。それで?次は何するんだ」


真島さんが、待ってましたとばかりに、インタビュー用の席に移動する。

予め用意されていた質問に答えるだけなので、スムーズだった。


「綾野先生の恋愛についてお聞きしたいです」

読者アンケートで募集した、先生への質問みたい。

その中には、さすがに聞けないものもあるんだろうな――


「今まで、好きになった人は何人ですか?差し支えなければ、どんな方だったのかも教えてください」


「一人。いや、正確に言うと二人かな……しっかりしてて、意地っ張りな――」


へえ、一応二人もいたんだ。


――ちく

胸の奥が、痛む。


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