第6話 魔王、動き出す
魔王城では、頭の横から角の生えていてマントを羽織った銀髪の小さな女の子が玉座に座っていた。
「まだ倒せないの?勇者!」
と座りながら手をばたばたと暴れていた。
「申し訳ありません!魔王様。」
眼鏡をかけて魔導書を持った魔王の腹心の男が跪く。
「で、勇者はどんな悪事をしてるの?」
「最近では村を一つつぶしたと。」
「なんて悪いやつなんだ!早く倒さないと!」
魔王は騙されていた。
城から出るわけにはいかないことをいいことに、この親の世代から魔王の腹心だった男に騙されていたのだ。
今の魔王も前の魔王も穏健派で人間と仲良くしていた。
しかし、前の魔王が死に、今の子供の魔王になるとこれ幸いとだまし始めた。
この男のせいで、魔王と人間は敵対関係になったのだ。
「ではあいつを勇者のもとへ向かわせます。」
「あいつ?」
「ええ、あいつです。」
犬耳と尻尾が付いた女の子が来る。
「この地獄の番犬ヘルドッグの異名を持つミーナにお任せください。」
とミーナは魔王の前で跪く。
「うん!任せた!」
魔王は笑顔でそういった。
***
馬車に乗りながら私は移動していた。
「私は、仲間内ではヘルドッグって呼ばれてるのよ。」
「そうなんだねえ。」
運転手のおばあさんがそう言った時だった。
ガコンッと音が鳴った。
馬車がぬかるみにハマった。
私は馬車から降りて私は後ろから押していた。
「おばあさん!もう少しでぬかるみから出るわ!」
私は笑顔でそう言って、馬車を押していた。
「すまないね。ブルドッグのお嬢ちゃん。」
「ブルドッグじゃなくてヘルドッグ!いいから、いいから。」
そんな風に押しているときに三人の少女が来る。
「大丈夫?手伝おうか?」
一人の女の子が聞いてくる。
「ありがとう。お願い。」
そうして四人で押した。
あと少しで動きそうだが、全然動かない。
「あと一人いれば動きそうなのよね。」
私がそういうと一人の少女がおもむろに剣を抜く。
「エクセちゃんお願い!」
そういうと剣が女の子に変身した。
「どうなってるの!?」
「おい、びっくりさせちまってるじゃねえか。」
そう男の声が聞こえる。
「ごめん、ごめん。驚かせて。エクセちゃんは人間に変身できるんだ。」
人間に変身できる剣……そういうのものもあるのか……。
……というか今どこから男の声が聞こえた?
「今の男の声ってどこから……?」
「男の声?ああ、マジカル君だよ!」
と一人の少女が杖を見せてくる。
「あ、あんまり前に出して人に見せつけるなよ……」
杖がびくびくしながらそう言った。
杖もしゃべる時代になったのか……。
私たちは5人で押して、車輪が外れた。
「ありがとね。お嬢ちゃんたち!」
相場者の運転手は言った。
「ほら乗って。ブルドッグのお嬢ちゃん!」
「だから!……もういいわ。ありがとうあなたたち。またどこかで会いましょう。」
私は4人に手を振る。
「またね!」
4人も手を振り返した。
気持ちのいい人たちだったわね。
さて、勇者たちはどこにいるのかしら。
魔王様の命で始まった勇者を探す旅は始まったばかりよ。




