71 エルエル、ほっとする!
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≪フォークテイルタウン北・めがみはうす≫
ドンドンドンドン!!
「んんっ……?」
「な、なんですか……うるさいですね……」
何かの音で私は目を覚ます。気が付くと居間のソファーで寝ていた。
仰向けで寝ている私の胸の上で一緒に寝ていたアルルも不機嫌そうな顔でもぞもぞと起き出している。
あぁ、思い出して来た。あの後エミー達とフィオナは帰ってリンネットとボロニアはここに泊まったんだっけ。それでいつも私達が使ってるベッドはその2人に譲ってやったんだ。そんで掛け布団が足りなかったから一枚の掛け布団でアルルと一緒にソファーで寝たんだったな。
辺りを見回すとほんのり明るくなっている。もう日が昇り始めている時間の様だ。
「もー……なによ今の音~……」
「知らね……誰か来たんじゃないですか……?」
「アンタ外見て来てよ……」
「嫌ですよめんどくさい……」
ドンドンドン!!
なんて話してると、更に音がしてくる。
どうやら家の玄関のドアを乱暴にノックしている様だ。
「あー……もう!!!うるせーな!!」
「誰よ!!!」
「こーら♡!!起きなさいよ田舎者共♡!!」
玄関のドアの向こうから聞きなれたクソ野郎の声が聞こえてきた。
朝っぱらから迷惑な奴だ。無駄に朝早いんだよなコイツ。
「うるせー!!帰れ!!!」
「まだ寝足りないのよ!!!」
寝転がったまま玄関の方に叫ぶ。
「ふ~ん♡ じゃあさっき届いた"コンテストの優勝賞品"は見なくていいってわけね~♡
あんた達にも見せてあげようと思ったのにな~♡ あーあ残念残念♡」
「「え……ゆ、優勝賞品!!!!」」
私とアルルは同時にガバッと起き上がり、玄関の方に走った。
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≪フォークテイルタウン北・勇者テント前≫
私とアルルはベッドで寝ていたリンネットとボロニアも起こしてエミーの後ろについて歩きテントの前まで来た。
「あっ!みんなー!こっちこっちー!」
「これから開封するでござるよ~!」
ティオとユウギリがウキウキで手を振っているエミー達が住んでいるテントの前まで行くとそこには"大きい何か"があった。
それは白い布で全体を丁寧に包装されていて中身が見えなくなっていて、
"『蒼橙祭・催し物コンテスト優勝賞品』"と書かれていた。
「わ、わわっ!お、大きいですね~」
「あぁ……オレ達より高いぞ」
「うん!これが優勝賞品なんだよ~!」
「さっき町兵の人が持って来てくれたのでござる!」
その優勝賞品は私達の身長より1.5倍ほど大きくみんなでそれを見上げた。
「……で、中身なんなんですか?」
「食べ物じゃ無さそうだけど何よこれ?」
明らかに食べ物じゃなさそうで私とアルルは少しガッカリしたが、中身は気になるので聞く。
「ククク……♡ まだ中は見ていないけど大体分かるわ♡」
エミーが偉そうな顔をしながら手の甲で優勝賞品をコツコツ叩くと金属みたいな音がしてくる。
「この感じ……うん……"金"に間違いないわね♡!!」
「「「「き、"金"ンンン!!?!?」」」」
「そうよ!優勝賞品は"金の塊"だったってわけよ♡!!きゃーはっはっは♡!!」
「「な、なにぃいいいいいいいいいいい!?!!?!?!!?」」
ま、まさかそんな凄い物が優勝賞品だったなんて……。それをみすみすエミーなんかに取られてしまうとは……く、悔しい。
「すごーい!お金持ちだねー!エミー様ー!!」
「億万長者でござるー!!」
「す、すごいです~!!こんな大きさの金なんて……!!」
「ま、マジかよ!?る、ルピー換算すると……ど、どうなるんだ!?」
「う、嘘つけぇ!!そ、そ、そんな凄い物を町の祭の賞品にするわけにぇーだろおああおあああ!!!」
「そ、そ、そ、そ、そうよあおおおおあああああ!!!」
私とアルルは動揺して呂律が回らなくなる。
「そう♡? じゃああんた達は私が『気分が良いから誰かにこの金を分け与えてあげようかな~♡』って考えてる時も立候補して来ないってわけね~♡?」
「「あぁ~!!分けてくださ~い!!!」」
私とアルルは土下座した。リンネットとボロニアにとんでもない目で見られているが気にしない。
「って、そんなのダメに決まってるじゃない♡!!!指をくわえて見るのだけは許可するわ~♡!」
「「クソカス野郎!!!!」」
「さあ♡!!お披露目の時間よ♡!!刮目して見なさ~い♡!!」
エミーは優勝賞品を包装している布に手をかける。
「す、すげぇ!そんな物見れるのか~!」
「た、楽しみです~!」
「わーい!お金持ち!お金持ち!」
「金塊でござる~!」
エミーが布を勢いよく引き剝がすと優勝賞品がついに露わになり、私達も見れる状態になる。
「これがエミー様が実力で取った蒼橙祭の優勝賞品よおおおお♡!!!
………えっ?」
「えっ」
「えっ」
「えっ」
「えっ」
「えっ」
「えっ」
眼前に現れた優勝賞品を私達は声も発さずぽかんとした顔で見つめていた。
優勝賞品は――――
『町長(女神信者ジジイ)の胸像だった』
下は石造りの縦の長方形になっていてその上に町長の偉そうな顔をしたジジイの像が乗っている。
しかも金じゃなくて銅で出来ていた。
「「「「「「「………」」」」」」」
誰も幸せにならない沈黙がしばらく流れた。
「……うぎゃああああああああああ!!!!!!死ぬほどいらねええええええええ!!!!!!!!!!」
「……」
「……あはは」
エミーはその場に崩れ落ち、絶望した顔で叫んだ。
ティオとユウギリは半笑いしながら死んだ目で銅像を見つめている。
……。
私とアルルとボロニアとリンネットはショックを受けているエミー達からそっと離れていく。
その場を後にしながら私達はこう考えていた。
((((優勝しなくて良かった~……))))
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ラピス様へ
今回はお祭りで屋台をやりました。
金魚すくいって言って魚を道具ですくうお店です。
本来はもっと楽しい遊びらしいですけど微妙に
よく分からないまま終わってしまいました。
他にはトラブルもあったけど助けてくれた人がいました。
どうやらお祭りの喧騒に紛れて私の様子を
こっそり見に来ていた様です。
まったく……普通に会いにくるのが恥ずかしいんですかね?
あ、ラピス様には関係ない話でしたね。本当に。
エルエル
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≪現在の状況≫
【エルエル】
魔法 ≪グリーン・グロウ≫ ≪ボディー・ブロー≫
【アルル】
魔法 ??? ≪アルル式ドロップキック≫
所持品 手作り釣り竿x2 魚の干物 弓矢x1
所持金 6900ルピー
(日々の食費等 -300ルピー 無駄遣い-400ルピー 屋台の稼ぎ+600ルピー)
聖樹 開花率…………51%
お祭り回はこれで終了です。
次回からはダンジョン回!?です!
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