60 エルエル、祭りに参加する!
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≪フォークテイルタウン中央≫
蒼橙祭当日。
日が沈みオレンジ色に染まった町が更に暗くなっていく。
フォークテイルタウン中央はいつもにぎやかではあるが今日は特ににぎやかだ。
道に沿って露店がずらっと並んでいたり噴水前にはステージなんかあったりして、その奥には派手な櫓が何本も立っている。
「アルル見て!!飾りがいっぱいですよ!!」
「わあ……綺麗ね~……」
見た事のない楽しそうなランプやオブジェがそこら中に飾られていて町中を彩っている。とてもきれいだ。
町の人達も少しお洒落な衣装や仮装をしていたり今日は特に笑顔でワイワイ騒がしくしている。
お祭りが始まったら飾られたランプが一斉に点灯してもっと綺麗になるんだろうな。
私とアルルは家の方角から大きいバケツを片手に歩いて来た。
リンネットに"ある物"を頼まれた私達はお祭りの当日、つまり今日の朝から一度海へ出かけその"ある物"を調達して町の中央へやってきた。
リンネットが私達が出す屋台の準備をしていてくれてるらしいが……。
「あ、いたわよ!」
アルルが指をさした方向を見ると露店がたくさん並ぶ列の中にリンネットがごそごそと中で準備してる屋台が見える。
結局何をするんだかまだ聞かされていないが、とにかくあれが今日これから始まるお祭りで私達がお店をする屋台だ。
「おーい!リンネットー!」
「言われた通り"これ"いっぱい取って来ましたよーっ!!
……ん?」
私達は屋台に近付いていくとその中にある異様な物に気付く。
「よう!エルエルにアルル!!取って来たか!!」
「取ってきましたけど……な、なんですかこれ……?」
「す、"水槽"……?」
中には屋台のスペース半分くらいを占める平たく大きな水槽が置いてあり、中には並々と水が溜まっていた。
その奥で腕組みをしながら不敵な笑みを浮かべるリンネットは低い椅子に座っていた。
「ふっふっふ……これはこれからやる催し物に必要な物だ……」
「ったく、そろそろ何やるか教えてくださいよ」
「本当にこれで優勝出来るんでしょうね~」
「当然だ!!よし……もうお祭りも始まるし良いだろう教えてやる……
……これは"金魚すくい"だ!!!」
「「き、"金魚すくい"だって!?!
……金魚すくいってなに?」」
リンネットはずっこけた。
「こ、これはオレのばあちゃんの故郷で流行ってた祭りの屋台なんだよ」
「これで何をするんですか?」
「ふっふっふ……お客さんにはこれですっごく簡単なゲームをしてもらうんだ」
「ゲーム?」
「この水槽に小さくてかわいい魚を入れて料金を払ってもらい"すくう"ゲームをやってもらうってわけだ。"これ"を使ってな!」
リンネットは懐から見慣れない物を取り出す。針金を変型させて穴が開いたスプーンみたいな形になっている物。その穴部分には薄い紙?の様な物が貼り付けられている。
……見てもよく分からないな。
「なんですかそれ?」
「これは"ポイ"って言うんだ。針金で作ったこの枠に"ワシ"っていうばあちゃんの故郷で作ってる紙を貼り付けた物なんだ。」
「ほうほう。それで水槽の中の魚をすくうわけですか」
「でもその紙ずいぶん薄くない?魚なんて取ろうもんなら簡単に破れちゃわないかしら?」
「そう!そこがゲームなんだ!薄い紙が破れない様に魚をすくえるのか!そういうワクワクとドキドキが入り混じった楽しさがある!それが金魚すくいなんだぜ!」
なるほど。不安定な物で魚をゲット出来るかどうかっていう簡単なゲームというわけだ。単純だが面白そうだ。
「おー簡単な釣りみたいなもんですね!」
「面白そうじゃない!目新しいし確かにこれなら優勝出来るかも!」
「ふっふっふ……!!ま、そういうこった!!!
……ところでお前ら言われた通りの魚取って来てくれたんだよな!早速水の中に入れてくれ!」
「あ、そうですね」
そう、私達がリンネットに調達を頼まれていたのは魚だった。
なるべく小さい魚を取って来てほしいと言われそういう獲物を狙って海で釣って来たのだ。
釣り竿はティオとユウギリに借りるとかなり簡単にいっぱい釣れた。手作り釣り竿には劣るが市販の釣り竿も悪くないな。
そして私達はバケツの中に入った釣って来た魚を水槽の中に入れる。
「ふっふっふ……!これで口コミで広まれば優勝もすぐに………え……?」
取って来た魚を水槽にぶち込むとなぜかリンネットは笑顔が消え真顔になった。
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