39 エルエル、人魚に出会う!
聞こえてきたのは何かの歌だ。私の知ってる言語ではないけれどとても美しい歌声。
しかしどこか寂しげで悲しい曲。
海岸の西の少し遠くに見える岩場の方をよく見ると人影があるのが見えた。
「あそこにいる人が歌ってるのかな?見に行ってみましょう!」
「ちょっとエルエル!もう……しょうがないわね~」
「あ、お姉ちゃん達待ってー!」
私が走り出すとアルルとフィオナもついてくる。
「……あいつら、遠慮なくずかずか行く奴らね」
「あれが若さでござる」
「うふふ、やっぱりアルルとエルエルはおもしろいね~」
そそくさと私達6人で岩場の方に近付いてみる。
「~♪」
その岩場にいる人物を近くで見ると髪が長くとても美しい女性だった。年齢は私達とそう変わらなく見える。
頭に角?の様な物が生えていて貝殻の水着を着て遠くを見てとても寂しそうな横顔をしている。
そしてなんといっても一番目に留まったのはその女性の"下半身"。
岩場の先に座っているその女性は"下半身が魚だった"。
「な、なんですかあいつ……?アルル知ってる?」
「知らないわ……あんな種族私も初めて見たわ」
「綺麗な人なのです……」
「あれは≪ウォーラ族≫でござるな。泳ぐのが得意で滝や水辺に里を作って暮らしている種族でござる」
「"人魚"って事よ……でもあいつらあんまりこういう普通の海や川には出てこないって聞くわよ」
「どうしたんだろーねー?」
後ろで話している私達に気がついてるのか気がついてないのか人魚の女性は最後まで歌い続ける。
その姿はどこか儚げでミステリアスでもありかっこよく美しかった……。
それから私達は会話もなく立ち尽くしてそんな彼女の歌を最後まで聞き入っていた。
パチパチパチパチ!
私達は歌い終わった人魚の女性に向かってみんなで拍手した。
「ん……」
人魚の女性はこちらに気付き、ゆっくりと振り向き私達と目があった。
「うまああああああああい!!!!!!!!」
「すごい……!!綺麗な歌声だったわ!!」
「あんた勇者である私の次くらいに歌うまいわね!!」
「ブラボーでござる!!!」
「すごーい!!!」
「とっても素敵だったのです……。あ、ごめんなさいなのです。勝手に聞いちゃっ……」
「どひゃあああああああああああああああああああ!?!?!?!」
どひゃ?
人魚は私達が後ろにいたのに気付くと奇声をあげてとんでもない顔をしながら飛び上がる。その後べちゃっと打ちあげられた魚みたいに岩場の地面にひっくり返る。
「「「「「「……え?」」」」」」
「わ、わ、わ、わ、わあああああああああああ!?!?!?!」
顔が真っ青になりながら周りを激しくキョロキョロして自分で自分の顔をペタペタ触ったり明らかに困惑した後頭をかかえて地面にへたりこむ。いや……困惑しすぎだろ。
「う、う、う、う、う~~~!?な、な、な、なんですかあなたたちは~~~~~!?!?!?」
地面から上目遣いで私達をチラチラ見ながら頭を抱えて涙目になりながら丸まってビクビクしている。
「な、なによこいつ……」
「変わり身の術と言う事でござるか?」
「ねー人魚さん大丈夫ー?」
「……なんかさっきまでのイメージ違ってショボそうな奴ですねコイツ」
「こら!!エルエル!!!」
「ひ、ひ、ひ、ひいいいいいいいいい!?!?!?ご、ごめんなさいいいいいいい!!!!」
「なんでお前が謝るんですか……」
とにかく人魚が落ち着くまで私達は少しの間立ち尽くして待った。
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