22 エルエル、色々貰う!
後からその場に町兵の人が駆けつけて宝箱屋の大男達に何をされたのかひどい顔になっていた泥棒を連れていった。それを見届け広場に出ると街の人々に囲まれてびっくり。
「あなた達があの泥棒を捕まえてくれたのね!?ありがとう!!」
「おお、強くて素敵なお嬢さん達じゃ」
「ありがとう!!」
「助かったぜお嬢ちゃん達!!」
「おおおおお!!!女神様の再来じゃああああああああ!!!」
さっき被害にあった人達以外にも以前から泥棒の被害にあってた人もいっぱい居たみたいで予想以上の人達に感謝される。人助けの為に追いかけてたわけではないのだがちょっと良い気分。さっきの女神信者ジジイが手の平を返して叫びながらお祈りしてくるのが見えてムカついたけど。
「えへへ……い、いや!!ぜ、全然大した事してないわよ……」
横で飛んでいるアルルはちょっと恥ずかしがりながら困った様をしている。まったくちょろい奴だ。ルピー使ってしまった問題は何も解決してないというのに……ん?そうだ良い事思いついた。
「そうです……私達は大した事はしていません……」
私はある事を思いつき、その場で跪いて胸の前で指を組み、信心深いおしとやかな女性になりきる。まぁ普段からおしとやかではあるのだが。
「え……急に何なのよその態度、気持ち悪い」
「黙っててくださいよアルル!!!……コホン、私達……最近この街に引っ越して来たのですが……」
周りの街の人達から「おおそうだったのか」「よろしくね」と声が多数飛んでくる。しめしめ。やっぱり今の私達は街の人達から良い印象しかないな。
「実はここへ来る旅の道中、金銭を盗まれてしまって……家具や生活用品が全く足りて無くて……困っているのです……シクシク……」
私がそう続けると「そうだったのか……」「なんて可哀想な……」と街の人達の声が。さっきの女神信者ジジイは泣いている。ククク……そうだそうだ。
「どうか皆さん……この哀れな私めにほんの…ほんの少しでもいいのでお恵みを……ぶべっ!?!!」
「オオオオオオイ!!!アンタ何しようとしてるのよ!!!!!!!」
アルルに頭の後ろを引っ叩かれた。
「いてえな!!!何するんですか!!!!!」
「エルエルアンタ!!物乞いなんて真似してんじゃないわよ!!どんだけ落ちぶれれば気が済むのよ!!」
「うるせー!!!!!!私達、無一文なんだぞ!!!!こういうするしかないだろ!!!!お前もやれよ!!!!」
「い、いやでもこんな真似は……」
「お前もイチゴクレープ買った癖に常識人ぶってんじゃないですよ!!!もしルピーだけ使って何も買えてなかったらフィオナに申し訳が立たないでしょうが!!!!さあ!お前もやるんだ!!!」
「ぐっ……し、仕方ないわね……」
「「どうかお恵みを~~~~~~~~~~っ!!!!!」」
私とアルルは地面に跪き大きく手をあげ礼をするのを何度も繰り返す。
「……ま、困ってるならしょうがないか!」
「私の家に使わなくて余ってる棚があるからあげるわ!」
「貰って結局使わなくなかった照明があるよ!!」
「あの困った泥棒を捕まえてくれたしな!なんでも言いな!!」
「「あ、ありがとうございます!!!!」」
街の人達は苦笑いしながら次々に私達に家具やら生活用品やら買おうとしていた物を恵んでくれるよう言ってくれた。なんて暖かい街なんだ。ありがとうございます。生活が安定したらいずれ何かお返しします。気が向いたら。とてもいい人達ばかりなんだな。
「クラアアアアアア!!!キサマら女神様には敬語使わんかああああああああああ!!!!」
……一部の女神信者ジジイ以外は。
「とにかく……やりましたねアルル……フフフ……」
「ま、まぁ泥棒捕まえたんだからいいわよね……これくらい……あはは……」
頭を深々と下げ横目を合わせながら二人で邪悪な笑みを浮かべる。そして大きさが全く違う腕をガシッと組み合わた後、両手をあげて喜ぶ。
「「バンザーイ!!!!バンザーイ!!!!!……ん?」」
しゅわしゅわと謎の音が身体からした後、何か全身が涼しくなってきた気分になる。んん?なんだ?なにが起こってるんだ?私は視線を下に向ける。……と。
「「きゃああああああああああああああああああああっ!?!?!な、なんだこれーっ!?」」
自分の身体を見ると服が溶けて下着姿になっていた。アルルも服が溶けて私と同じような下着姿になっている。
きゃー!私とアルルはお互いの身体を隠す様に抱き合う。
宝箱屋のお姉さんがさっき泥棒が私にぶつけた瓶の欠片を拾ってこう言う。
「こ、こりゃ……""メルトスライムの体液""ね……。これをかけられると""服だけ溶かしちゃう""のよね……」
「「さ、さっき泥棒にぶつけられた奴ーーーっ!!!!えええええええええええっ!?!!?」」
「だ、大丈夫かね!キミ達!」
「こ、コラ!!男は見ない!!!」
「おお……これはこれは!!」
心配してくれる街の人達の視線が突き刺さる。くっ……ううう……!
「「う、ううう………み、見ちゃらめえええええええええええええええええええええええっ!!!」」
街中に私達の情けない悲鳴が響き渡った。
●
≪フォークテイルタウン北・めがみはうす≫
日が沈んだ頃、街の人から貰ったランプを天井近くの出っ張りに引っかけ設置し点灯する。
少しオレンジかかった光でめがみはうすの中は綺麗に照らされる。
街の人が持ってきてくれたピカピカのテーブルに食器やカーテンにベッド他色々……はまだ部屋の隅に置いてある。ちゃんと後日設置しよう。重労働になる予感もしたが今はそれよりワクワクが勝っている。
まだ床に散らかってる物が多いし草も生えてるしもう少し掃除しなきゃ完全に綺麗とまではいかないが少しはちゃんとした家らしくなってきたかも。
「アルル。明るいですねー!」
「……」
うんやっぱりランプ(光)があるのが良いなぁ。住んでるって感じする。
今まで夜の家は真っ暗でほとんど何も見えなかったからな。光があるだけで日が沈んだ後でもまだまだ起きていて良い様で居心地が良く感じる。
寝袋の上で体育座りをして死んだ目で半笑いしながら固まっているアルルの顔も照らされよく見える。
「生活用品もいっぱいもらっちゃいましたね~ほら!新品のタオルも!」
「あはは……」
「明日には大工さんが来て井戸を直してくれるんですって。いちいち川行かなくて助かりますね!!」
「へー……」
アルルは死んだ顔のまま返事をする。
いらっ。
「ああああああああ!!!!!!いい加減にしてくださいよ!!!いいだろ色々貰えたんだから!!せっかく元気づけてやろうとしてんだから元気づけよ!!!!めんどくせー奴ですね!!うざっうざっ!!!!!」
「うっさい!!!!!私はアンタみたいに単純じゃないのよ!!!!!うう……嫁入り前の私の身体が……」
「はあああああ!?!?!裸見られただけだろハゲ!!!いつまでおちんこでてんだ!!!!」
「んなもん出すか!!!!!ていうか裸じゃないわ!!!!下着つけてたでしょうが!!!!!!!」
「どっちでもいいわ!!!!!ていうかお前は私よりずっと小さいんだから見られる面積少ないんだから良いだろ!!!!」
「カチン……!!アンタ誰の何が小さいですって……!!!!!」
「いやお前妖精なんだから私よりそりゃサイズ小さいだろ」
「あっ、あぁ、身体のサイズね……胸じゃなくって……」
「何想像してんですかヘンタイ!!!うわエロ!!アルルむっつりスケベじゃん!!」
「だまれええええい!!!!ていうか面積の問題でもないわああああ!!!!!」
「そうだ!!お前買い物対決負けたんだからパンツ見せろパンツ!!!!!」
「だあああ!!!!なんであれでアンタの勝ちになるのよ!!!!!!!」
「「――――!!!!!!」」
紆余曲折あり、私達は目的の物を……いや元のルピーじゃ手に入らなかった様な物までいっぱい手に入った。想像以上の買い物が出来て新しい生活も順調な滑り出し。
だけどやっぱり……今夜も二人の言い争いで一日の幕を閉じるのでした。
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ラピス様へ
今日は街を歩きました。
なんといっても街はすごい所でした。
ぼったくりの店があって、ジジイがいて、泥棒がいて、
イチゴクレープがあってとても恐ろしい部分もあります。
でも私達が頑張ったら生活用品をくれたり
優しくしてくれる人達もいて、イチゴクレープもあって……
フォークテイルタウンは結構気に入りそうな街になってます。
ラピス様が来たら色々紹介してあげますね。
エルエル
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≪現在の状況≫
【エルエル】
魔法 ≪グリーン・グロウ≫ ???
【アルル】
魔法 ??? ≪アルル式ドロップキック≫
所持品 マッチ 寝袋x2 家具色々
所持金 0ルピー(借金1000ルピー(フィオナ))
聖樹 開花率…………16%
ここで街を歩くエピソード終了です。
次回は新キャラ登場のエピソードです!
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