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9 エルエル、罠をしかける!

 ●

≪フォークテイル草原・東≫


 私達は門から出て街の東にあたる林の中に入って行った。

 フィオナのペンダントを奪った犬の形をしたモンスターを探しに来たからだ。


 林は細くて背の高い木が密集して生えていて地面にはぽつぽつと草が生えていて所々に土が見え隠れする。小石から私の背ぐらい大きい岩もそこら辺にゴロゴロと転がっているその中を私とアルルは辺りをキョロキョロしながらモンスターを探す。


「勢いで飛び出して来たのはいいけど……。犬モンスターと言っても一体なんて種類のモンスターなのか分かんないなぁ」


「フィオナが言っていたのは犬じゃなくて狼……≪リザルウルフ≫よ」


「えっ。なんですかそれ」


「はああ……アンタねぇ……。……≪リザルウルフ≫は狼とトカゲが合わさった様な見た目をしたモンスターでたまに人里に入って物を持って行ったりする習性があるのよ。大きさは普通の犬ぐらいね。こういう林に生息して巣をつくってたりする。だからここに探しに来たの。ていうかアンタの森にもいたでしょ」


「あーそれな。そうですね。知ってますよそんなの。常識ですよね」


 全く知らなかった。きっとラピス様はどっかで教えてくれてたのかもしれないが興味ない話は全く聞いてなかったし、強そうなモンスターとかは大人のエルリア族がなんとかしてくれてたし自慢じゃないがそういった知識は私には全くない。


 しかし、このままアルルに知識マウントを取られたままなのは気にくわないな。よーし。


「大地の精霊よ……森の精霊よ……言の葉を生み出し、魂を張り巡らせる力を与えたまえ。我が意志は、枯れた大地を蘇らせ、新たな生命を育む……」


「あっ!!!アンタまたそのエロ魔法を……!!!」


 アルルはスカートの(すそ)をぎゅっとおさえる。


「お前のパンツなんか興味ねーよ!!罠作るんですよ!!!」


「わ、罠……?」


「この手に握る力よ、発現せよ!!!≪魔法グリーン・グロウ≫!!!!!!!!」


 私は魔法グリーン・グロウを使いそこら辺に生えてる雑草を2本だけ長く伸ばした。その2本を結んでアーチ状にする。そしてその先に犬一匹落ちそうな落とし穴をちょっと深めに掘る。掘って掘って……。


「ぜぇぜぇ……どうだ!!これぞエルエル特製≪雑草罠≫です!!!」


「なるほど……足元をちゃんと見ないでここら辺走ってきたモンスターはこの結んだ草に引っかかって転んだ先の落とし穴に落ちるってわけね」


 アルルは地面に降り、アーチ状になった草の罠を引っ張って強度を確認する。


「そう!そのリザルなんとかって奴をこの罠がある所に追い込んで、草の罠にひっかっけて穴に落ちた所をボコボコにしてペンダントを取り返すんです!!」


「ふーん、アンタにしちゃ頭使ったじゃない」


「これでいつも家の周りで騒いでたうるさいイノシシとか転ばせて遊んでたからこういう罠作るのはちょーっと得意なんですよね!!……今遠回しにバカって言いました?」


 ガササッ!


「「ひいいいいっ!?!?!」」


 横の大きい草むらの中に何かが動く。私とアルルはビビって抱き着きあった。

 ガサガサと音が鳴りやむ事はない。こ、これもしかして……。


「あ、あの草むらの中にいるのもしかしてリザルウルフじゃないの?」


「なにっ!?じゃあ行っておびき寄せてきてください!!!」


「なんで私が行くのよ!!!アンタが行きなさいよ!!!」


「虫みたいに小さくて素早いんだからこういうのに最適でしょ!!行けぇ!!」


「誰が虫よ!!さっきと同じ台詞言ってんじゃないわよ!!それにどこが最適なのよ……ってきゃあああああああああっ!?!!」


「えっ!?」


「な、な、なによこれっ!?いやあっ!!」


 アルルは草むらから出てきたヌルヌルした謎の触手に両手両足を拘束されてしまう。

 その時、草むらからガサッと大きいモンスターが私達の前に出て来た。


「うわっ!!!全然狼のモンスターじゃないですよこれ!!」


 草むらから出てきたモンスターは結構大きく、植物のような見た目をした私の胸くらいまであるサイズで触手を何本も携えていた。うわあ気持ち悪いモンスターだな。


「しょ、触手植物モンスターの≪プラント・ダンサー≫じゃない!!ひいいい気持ち悪い!!!……は、離しなさいよ!!!」


 両手両足を触手に捕らわれてバタバタするも全く抜け出せなくて困ってるアルル。私はそれをじっくり観察する。


「ワハハハ!!いい気味ですねぇ!!!」


「ちょ、ちょっとアンタ早く助けなさいよ!!!!」


「嫌です(笑)。グヘヘヘw触手プレイされてる妖精ちゃんのスカートめくっちゃおうかなぁ~w」


 こいつは出会った時から散々調子に乗ってたからな。ちょっとイタズラしてやろうと手をわざとらしくいやらしい動きでわさわささせながら拘束されたアルルに私は近付いていく。


「きゃああああ!!やめなさいよこのヘンタイ!!!バカ!!!クソバカエルフ!!!」


「うるせえ!!!本当にめくるわけないだろ!!!私がどれだけクズだと思ってるんですか!!!!」


「さっき本当にめくってただろ!!!!」


「あれはお前が先に手出してきたから……って、きゃああああああっ!?!!」


 何者かが私のスカートを後ろから思いっ切りめくりあげた。丸見えになったパンツを隠すようにめくりあがったスカートを戻しながら後ろを振り返るともう一体のプラント・ダンサーがいた。


「ギャアアアアア!!!もう一体居たんですかあああああ!!!」

ここまで読んでくれてありがとうございます!

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