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魔法の夜の、その前に

秋の夜風が心地よく吹き抜ける10月末、キャンパス内の一角で、ハロウィンパーティーの準備が進んでいた。大学のサークル仲間たちが集まり、広場を賑やかに飾りつけている。その中で、ハルカとケンジも忙しく手を動かしていた。


「このかぼちゃ、重すぎない?」

ハルカは肩で息をしながら、巨大なジャック・オー・ランタンをテーブルに置いた。彼女はハロウィンの仮装で、魔女の帽子をかぶっているが、その可愛い顔は汗で少し光っている。


「まあ、筋トレだと思えば?」

ケンジは笑いながら手伝い、隣にもう一つのランタンを並べた。彼は軽く冗談を交わすが、その手は器用に飾り付けを進めている。


「筋トレって…ハロウィンの準備なんだから、もっと楽しい気分でやりたいんだけどな」

ハルカはふっと息を吐き、ケンジに向かって微笑む。


「じゃあ、これでどう?」

ケンジはふいに自分の鞄から何かを取り出し、ハルカに差し出した。それは小さな、ふわふわとした黒猫の耳のカチューシャだった。


「これ、つけたら少しはハロウィンっぽい気分になるんじゃない?」

彼は軽い口調で言いながら、ハルカにそれを手渡す。


「え?これ、私に?」

ハルカは驚いた顔をしながらも、嬉しそうにカチューシャを受け取った。


「うん、似合うと思うよ。魔女帽もいいけど、こういうのも可愛いんじゃないかなって」

ケンジは軽く肩をすくめて笑った。


ハルカは鏡を探してカチューシャをつけ、ケンジの方を向いた。

「どう?変じゃない?」


「全然。むしろ、可愛すぎて他のやつらが驚くんじゃないか?」

ケンジは冗談めかして言ったが、その言葉に少し照れくさそうにしていた。


「ありがとう、ケンジ。でも、あんまり褒めすぎないでよ。こっちも頑張って準備してるんだから!」

ハルカは恥ずかしそうに笑いながら、また作業に戻った。


準備は次第に整い、広場はカラフルなランタンや飾りで溢れ、少しずつハロウィンの雰囲気が漂ってきた。


「さあ、あとは仮装してみんなを驚かせるだけだね!」

ハルカは満足そうに腕を組んで言った。


「そうだな。でも、ハルカが一番目立つかもしれないぞ?」

ケンジは笑いながらハルカの姿を見つめた。黒猫の耳が本当に彼女によく似合っていた。


「もう、からかわないでよ!」

ハルカは軽く彼の肩を叩いたが、その顔には笑みが浮かんでいた。


彼らは、これから始まるハロウィンパーティーを楽しみにしながら、最後の仕上げに向けて準備を進めていった。夜が更けるにつれ、賑やかな音楽と笑い声が広場を包み、ハロウィンの魔法が少しずつかかり始めるのだった。



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