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天上にいる人達 その2

家族で朝食をとりつつ今日の予定を伝えたり、子供たちからの報告を聞く。

「今日は会の集まりがあるからお茶会の準備をお願い。」

「かしこまりました。」リンドウが代表して答える。

私達の食事は分割している。この朝食は二回目で一回目は朝から仕事がある子供たちだ。

ちなみに私のお願いをリンドウが代表して答えたのはこの中で一番の年上だからだ。

「母様、一つ報告が。昨夜マナン様が泥酔状態で訪れてきました。客室にお連れしようとしたのですが・・・駄々をこねまして、今はリビングのソファでお眠りになっております。」カトレアが苦笑交じりに報告した。


朝食が終わり、私は早速リビングに向かう。

はぁ~。ソファでだらしなく寝ている彼女マナン

を見るとどうしてもため息が出てしまう。

マナンは最近こうして時間や用事関係なく訪れてくるようになった。そして大体が酒に酔って困った時という迷惑極まりないのである。

「起きろーーーー」私は酔っぱらいをたたき起こした。

マナンは勢い余ってソファから落下して、目を覚ました。

「んあ、おはよう。あれなんでウリカがうちにいるの?」

彼女は寝ぼけながら返事する。

「ここは私の家よ。また酔った勢いで来て。子供たちが困っているでしょ。」

私はマナンを説教する。これも何回も見た光景だ。

「ごめんて。けどここはいい所なんだよ。ほら水とブランケットくれたんだよ。」

ブランケットを見せつけながら力説する。

「それに今日は集まるでしょ。十分前行動ってことで許してくれ。」

「だったら今日の朝に来なさいよ。」

「あっ、朝ごはんある?」

マナンは私のツッコミを無視して朝ご飯を要求した。

この子供っぽく、思ったことをすぐに言う性格は好いてくれる人を選ぶ。

私は好いている方だがさすがに頭にきた。

「自分で作りなさい。」私はそう言ってリビングを後にした。


リビングを後にした私が向かった先は医務室。

「アセビ、ヒイラギいるー?」私は医務室にいる二人の医者を呼んだ。

「「はーい」」二人は同時に返事をする。

「いらっしゃい」低身長の医者アセビは私を迎えて

「どうしましたか?」パートナより少し背が高い女医師ヒイラギが要件を聞く。

「相談したいことがあるんだ」

私は今朝話した夢について相談した。

「人間が夢を見るのは睡眠時の情報処理から漏れ出た情報と想像力や感性が合わさった現象ですよね。だから、情報処理が完璧な私達には夢は見ません。」アセビは言う。

子供たちの脳は人間に似せているが人間以上に優れている。実際に子供たちは忘れたことがない。

読んだ本の内容は一言一句覚えているし、教えたことはすぐにものにしてしまうのだ。

「だから睡眠時に夢を見る機能をつけようと思うんだ。」

「それは意図的に処理中に漏らさせるということですか?」ヒイラギが問う。

「いや情報の一部を抜き取り、そこに他の要素を加えたオリジナルの情報を創るんだ。」

「他の要素とは具体的に」

「テーマを加えるんだ。楽しいや怖いといった感情や思い出をテーマにしてつくらせるんだ。」

二人はしばらく俯いて考え込んだ。作ることが可能か今までの知識をフル稼働させているのだ。


アセビとヒイラギは兄妹たちの中で唯一、子供たち=人造人間を修理できる。


子供たちがまだ五人ぐらいの時は自分ひとりで間に合っていたが、二桁行くと手が足りなくなったので十一、十二人目の子供は人造人間の知識をデフォルト時に入力した。

それからさらに話し合いを続けて、夢機能の開発が決定した

「わかりました。なんとかやってみよう思います。」

「ありがとう。私も時間があれば手伝うよ。」


気づけばもう集まる時間だ。

会場は屋敷から少し離れた丘の上にあり、子供たちはせっせと準備をしていた。

屋敷から持ってきた長方形の机に椅子。

どちらも見ればわかる一級品で机に彫られた木と花の模様は素晴らしい。

椅子は机のように机と比べると質素に見えてしまうが座ってわかる一体感。

座ることに特化した椅子なのだ。

机の上には世界各地の菓子が置かれている。王族でもこれほどの種類の菓子は集められない。

作ったものもあるが取り寄せたものある。各地に扉を繋げているので子供たちが集めてくれる。

「こんにちわウリカさん。いい天気ですね。」

椅子に座って先に紅茶を楽しんでいる男が挨拶する。

「こんにちはマーリンさん。娘の入れた紅茶はいかがですか?」

私も席に着き、スイートピーが入れた紅茶をいただく。ほのかに甘くとてもおいしい。

「ええとても美味しいです。このクッキーにとても合う。」

「あれマーリンじゃん。相変わらず早いねえ。」

マナンが陽気に丘を登ってくる。私の白のシャツとジーパンを着ている。

「こんにちはマナンさん。また昨夜飲んだのですか。酒はほどほどにしてくださいね。」

マーリンは若干呆れつつも優しく注意する。

「スイートピーちゃん、私もちょうだい。」

ガチャと扉の開く音。最後の一人が時間ぴったりにやってきた。

「んっ遅れてしまいましたか。」白衣を着た中年の男は聞いた。

「遅れていませんよ。オイゲン博士。」マーリンが答えた。

「全員揃いましたね。では天上会の集まりを始めましょうか。」


こうして人類の頂点に立ち、人類の規格外となった者達。

天上会の集会が始まった。




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