天上にいる人達
「模倣ーコピー」で”万能”と呼ばれるまで成りあがった私は今日も天上にいる仲間たちと暇を潰す。
この力に目覚めたのはいつ頃だろうか。
私が十九。いやもっと若いな十六か。
最初にコピーしたのは親友の秘密だった。
彼女は秘密と言っていたが、今思えば秘密にするにはしょうもない能力だな。
「発光」掌が発光する能力。
うん。やはりしょうもないな。
私の能力の方が秘密すべきだろう。
その力に気づいてからは貪るように多くの能力をコピーした。
賢者に出会い、「不老」を手にしたときはその強大な力に呆然としたものだ。
この場所を手に入れた時は能力の神髄に近づいた気がした。
複数同時発動。能力の応用。これらは今に活きている。
場所を手にした後は孤独だった。
孤独という穴を埋めるために子供たちを創った。だが穴は埋まっていない。
なぜなのか。
同等に話せる相手がいないのだ。
友達、仲間と呼べるものは全員死んでしまった。
私には友達が必要だ。
これが「天上会」が生まれた経緯だ。
「う~ん」大きく伸びをして周りを見る。
特に変わったことはないいつもの私の部屋だ。
いつもの朝なら起き上がってユリを待つところだが、今日はそういう気分になれない。理由は
「なんだこの能力。ただ本のあらすじのように過去を要約するだけじゃない。」
就寝時に発動した能力が期待外れだったからだ。
「第三者」本人の知らない誰かが語りかけてくるという能力
。
想像力を睡眠時に体験させる「夢」とかけあわせることで新たな発見があると期待していたが、その結果がこれである。
過去の出来事を要約して語りかけてくる。夢の中だったからそいつは体も獲得していた。
その姿を思い出す前に夢の内容を破棄する。
「これはボツだわ。」
コンコンとドアをノックする音。
「失礼します。おはようございます。ウリカ様。」末娘のユリが朝の支度にきた。
「おはよう、ユリ。」
「ウリカ様、大丈夫ですか。お顔が優れないようですか。」ユリが心配して顔を覗いている。
顔に出てしまったか
。
「大丈夫よ。ちょっと悪い夢を見てしまってね。」
朝の支度をして、食堂に向かう。
「ユリはよく眠れた?」ウリカのちょっと前に歩く娘に聞いてみる。
「はい。昨夜は夜番ではなかったので早めにスリープできました。」
「いい夢見れた?」
「いえ、私共はスリープ中は情報処理とエネルギー補給をするので夢は見ないのです。」ユリは困った顔で答える。
「情報処理をしている中で見ないの?」ウリカはユリを返答を承知したうえでさらに聞く。
「あれは記録の再認識ですので夢とは呼べません。」ユリはそう断言する。
ウリカは自ら創った娘を見ながら更なる改良が必要だと頭の中にあるやることリストに書き足したのであった。
「いつか夢が見られるといいわね。」
ユリはウリカを見つめた。
「はい!」と笑顔で返事した。
ウリカの言う”いつか”は必ずやることの暗示であると気づいているユリはご機嫌な足取りで食堂に向かった。
読んでいただきありがとうございます。
初めてなろうで書かせていただきました。これは人生で初めてのラノベを書いたことでもあります。
内容はファンタジーでハイかローかは正直どうなるかわかりません。
つまんない内容でしょうが暖かい目で読んでいたたければ幸いです。