ため息2
ため息をついている東条さんを見て、浅木さんが近づいて隣に座った。
「元気がないわね」
「ちょっとあってね」
「あら、珍しい。『君がデートしてくれたら、治るよ』って言わないのね」
「言えなくなった」
「そう。それより、大丈夫なの?」
「なにが?」
「占いよ。プロキオンの女性に変更するのは、私も反対よ。プロの占い師より真珠ちゃんのほうがいいと思うわ」
「あいつらが反対なのは女子高生じゃないからだろ。美人を連れてきたんだからいいじゃないか」
「でも、乗り気だったのは原西君だけね」浅木さんが笑った。
「あいつは年上だろうと女に見境がないからな」
「人のことは言えないでしょう。何かあったの? 真珠ちゃんと喧嘩でもした?」
「怒らせた」
「そう」
「初めてだよ。あそこまで怒られたの」
「あなたは上手にあしらってきただけよ。裏では怒っていた人も大勢いるかもしれないわね」
「そんなはずはない」
「真珠ちゃんは素直に反応が出る子だからね。怒っていても、尚毅には伝えない人もいたでしょうね」浅木さんが前も向いたまま言って、
「お前も怒ってたのか?」東条さんが軽く聞いていた。
「ため息ついてる尚毅なんて、初めて見たわ」
「占いができないからな」
「あら、大変じゃない?」
「それでも予約が入っているからやってるけど、本当はやめたいぐらいだ。どうしても気が乗らなくて」
「そう。珍しいわね。あなたは落ち込むことなんて、ほとんど見たことがないわ」
「俺もそう思ってたよ。あるときから、やめたから」
「あるとき?」浅木さんが聞き返した。
「俺もやめようかな」
「あら、なにを?」
「学園祭。俺も占えそうもないよ。あの人とやっても、何だかやる気が出なくて」
「あら、美人が好きだったんじゃないの?」
「ライバルじゃないからだろうな」
「それだけ?」浅木さんが東条さんを見たけれど、東条さんはため息をついていた。




