インスピレーション4
さっきの出来事で何だか散歩するのも馬鹿らしくなり、戻ろうとしたら、
「今度はどれぐらい、もつのやら」と言われて、そちらを見たら、この間の感じの悪い人たちがそばにいて、座っていた。
「かわいくない女」と聞こえるように言った人もいたけれど、
「そうか? 化粧したらそれなりにいけるかもよ」
「ないだろ」と勝手に言い合っていた。相当遊んでいそうだな。東条さんの類友だ。そこから逃げようとしたら、
「お前も直感女なんだろ?」と言われて、またか……と思ったけれど相手にしたくなくて行こうとしたら、
「インスピレーションを吸い取られて、ポイ」と小さい声が聞こえて、そっちを見たら嫌な顔で笑っていて、そこから走り出した。ああいうのは苦手だ。好きになれない。それにちょっと気分が悪くなった。波長が合わないからかもしれない。
東条さんに送ってもらうときに、さっき言われたことを確かめた。
「ああ、それね。そうだよ」簡単に肯定してくれた。
「付き合えばインスピレーションが増えるとでも言うの」
「そうなるかもしれないだろ」
「そういうのって、強い人と付き合うより、自分で磨いていくものじゃないの?」
「修行しろって?」
「そうよ」
「俺にはその方法は合わないね」と簡単に言っていて、
「私はあなたの修行代わりの女なの?」