インスピレーション1
秋になり、神宮寺と仲直りした後に、仕方なく東条さんと会うことにした。大学に連れて行かれて、
「あなたと歩くのは抵抗があるなあ」と言ったら、
「うれしいくせに」と笑っていた。
「神宮寺が怒るからね」
「怒らせておけばいいだろ。恋人じゃないんだから」デートに誘われても断った理由を聞かれて、仕方なく神宮寺が怒っているからと説明をしたけれど、東条さんは今と同じことを電話でも言っていた。
「でも、悪くてね。神宮寺は友達だから」
「友達ねえ。お前はそう思ってても、向こうが辛いかもな」
「そう言われても」
「それより、雪人さんとはうまくいったのか」と聞かれてにらんだ。
「当たりだな」
「あなたの占いって確かなの?」
「お客様は満足してくれる」
「当らないこともあるでしょ」
「おれは総合で判断してるしね」
「総合って?」
「お前の性格も加えてある」
「勝手に加えないでよ」
「大事だろ。積極的な人と行動が中々起こせない人に掛ける言葉は違ってくるからね」
「ふーん」
「お前は使い分けてないだろ。そのまま言うタイプだ。直感占いだな」
「いいじゃない、それも大事でしょ」
「相手に合わせて言葉を選んでいかないとな。まだまだだね」
「ふん」とそっぽを向いた。