夏の経験2
「困ったね。相談に乗れなかった」
「誰も乗れないだろう。本人が自分で考えて決めるしかないさ」
「でも」
「お前は学校が始まっても知らん顔してろよ。特に噂好きの連中には」
「分かってる」
「流れるのは時間の問題だ。検査薬を買ってるところを知り合いに見られているからな」神宮寺はその噂を知り合いの知り合いから聞いたらしい。
「何だか、色々あるもんだね」映画の途中で子供ができて、どうしようと言う場面があって、さすがにそのときは思い出してしまった。
「切り替えろよ。いつもならそうしてるだろ」
「だって、相談に乗って上げられなくて、力不足だよね」
「そうか? 誰も言って上げられないだろ。よく話し合えと、他の人でも言うと思う。それから自分で結論を出すしかないしな」
「そうだね。占い師って、色々な引き出しを持ってないとできないね」
「引き出し?」
「そう、人生経験をいっぱい積んでいないと難しいかもね」
「そうか? 話を聞いてもらえるだけでも違うだろ。占ってもらっても、最後は自分。相手の迷いに手を貸せても、そこまでだろ。決めるのは自分なんだから」
「そう言われても、気になるよ」
「切り替えろよ。他の相談者が来たら、どうするんだよ?」
「そうだったね、ごめん」
「学園祭、本当に行くのか?」と聞かれて、
「頼まれちゃったからね。それに宣伝しないとうちの店がマジでやばい」
「そうだったな」
「うちはプロキオンみたいに占い雑誌や女性誌にデカデカと大きな宣伝は載せられないからね。時々、小さく載せてもらってるけれど、それでもやりくりが大変」
「お母さんがカフェのほうをやったら違うだろ」
「卒業したら、それも考える。その前にお父さんを見つけないといけないけれど」
「やっぱり行くのか?」
「気になってるからね」
「宮城だったな?」と聞かれて、父の最期の滞在予定先を言われて、うなずいた。
「俺も一緒に行ってやりたいけど」
「え、それはちょっと困るよ。いくら友達でも二人で旅行するの?」
「恋人になればいいだろ」と言われて、
「何度か他の子とデートしたんでしょ」と聞いてみた。噂は出ていた。怜奈ちゃんが教えてくれた。神宮寺は苦い顔をしていた。
「駄目だったよ」かなり経ってからそう言ったので、
「ごめん」と謝った。




