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Fortune-teller  作者: marimo
16.相談の数々
75/266

相談の数々3

 様子を見ていたらしい母が来たために、

「なんですか?」お客さんは明らかにむっとしていて、

「お客様が『占ってほしい』と言った時点で、お客様との間に契約が成立します。そして、占い師は誠意を持って、相手のことを占わせていただきます。その代償が代金になります」と言われて、お客の子が、

「うっとうしいなあ」と、言い出して驚いた。

「お客なのに、その言い方、ないでしょ」

「お客様は大切です。でも、誠意を持って占うにはそれなりのものがあります。占いをするには集中力が要りますので体力も気力も使います。相談に乗り、話を聞き、占いを行う。そうして、代金いただくのです。簡単に、「当らないからお金を払わない」なんて言わないでください。占いを提供した後で、内容が気に入らなかったからと言って、払ってもらえないのは困ります」母がきっぱりと言い切って、さすがに中学生の子が、一緒に来ていた子に助けを求めていた。

「どうしよう?」と相手の子が言い出して、

「払うわよ、払えばいいんでしょ。何よ、こんな店」と中学生の子が引っ込みがつかなくて立ち上がって怒り出した。

「占い師が提供するものの対価を最初にお知らせしております。それが気に入らないのでしたら、最初からお断りください」母がひるむことなく、はっきりと相手の目を見て言ったら、さすがに迫力で負けたのか、相手の子がお金を渋々取り出して、

「こんな店、二度と来ない」と言い捨てて行ってしまった。

「大丈夫なの?」と聞いた。そうしたら、

「今の子って、例の子じゃない?」と知り合いがお店に入ってきた。様子を見ていたらしくて、

「大丈夫だった?」と聞いてくれて、

「知ってる子なの?」と聞いたら、

「あの子さあ、学校で何度か噂が出てたよ。お店にクレームをつけて、アイスクリームの代金を踏み倒すとか、ハンバーガーをタダで食べたとか自慢してるらしいよ」唖然。

「やっぱりね」と母が言ったので、

「分かってたの?」と聞いた。

「そうね。そういう人はなんとなく分かるわよ。波長が悪いものがあるから、そばに寄れない人もいるし」うーん、そう言われると途中で何度か気持ちが悪かったのを思い出した。バイトや家事などの疲れだと思っていた。

「困るね。うちの評判が悪くなっちゃう」

「誰も鵜呑みにしないよ。あの子の親なんて、もっと色々あるみたい。クレーマーの常習者だって聞いたことがある」

「親子で似てるんだ?」

「だから、二度と関わらないほうがいいよ。次から『タダでずっと占いをしてほしい』って言われ続けるだけだから」そういう子は時々いるけれど、さすがにさっきのはちょっとなあと思った。

「困るよね、ああいう子。それより、真珠に占ってもらおうと思って」

「なに?」

「成績が上がらないからさあ、それで」と言われて、

「どうぞ」と席を勧めた。

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