分からない男2
結局、強引に連れ出されてしまった。「学園祭のことで打ち合わせもあるし」と言われて渋々だった。こんなことなら、神宮寺の誘いのほうに乗ればよかったなと思った。
「お前、家事やってるなんて、意外と苦労してるという俺の占いは、また、当ったな」
「またって、なによ?」
「初恋は実りそうもないからな」
「がんばっているわよ」
「見てるだけだろ。せいぜい、挨拶程度。それで、どうやって進展するって?」
「そう言われても、勉強の邪魔になったらいけないし」
「ほらな、言い訳をするんだよな。自分ができないことを言い訳してごまかすのはやめろよ。まず、やってみてから考えろ」
「他のことならそうするんだけど。雪人さんは高嶺の花だから」と言ったら、思いっきり笑っていて、
「失礼なやつ」
「憧れを恋と勘違いしているうちは無理だね。男の本性なんて、分かったもんじゃないぞ。あの男も意外としっかり恋人はいると思うけど」
「知らないよ。多分、いないんじゃないかな?」
「あいつの大学での様子を聞いたこと、あるか? あいつの知り合いにでも聞いてみろ。意外と、恋人と大学で会ってデートしてるかもよ」
「一番不安に思っていることを言わないで」
「臆病なやつ」
「あなたとは違うわよ。軽い付き合いばっかりしてるから、分からないのよ。相手がどう思うか怖いなんて思ったこともないでしょ」
「俺は自分がどう思うかが重要だね」
「自分本位」
「相手だって同じだろ。目的なんてね」
「どういう意味?」
「お前だって同じだと思うけど。相手のことを思っているような発言でごまかしているけど、結果がはっきりするのが嫌なだけだろ。振られたら怖いからだけだね」
「あなたって、絶対に二重人格だね。お客さんとかわいい子の前だけ、性格を変えてない?」